日本の文化の一つである「俳句」。
俳句は5・7・5の17音で構成されているため、世界最短の詩とも言われています。
17音という短い文の中に作者の思いをのせて名人から素人、子供から老人まで幅広い人々によって詠まれています。
今回は、「2月」に詠みたいおすすめ有名俳句&一般俳句作品を30句紹介していきます。
今日は2月4日 立春
「梅一輪一輪ほどの暖かさ」
松尾芭蕉の弟子、服部嵐雪の句 pic.twitter.com/juy6Lu8CIe— わくわくドキドキの街暮らし (@ya4magurasi117) February 4, 2015
俳句に2月らしさを出す!2月の季語を知ろう
俳句には「季語(きご)」というその時の情景や状況、作者の気持ちをより具体的に読み手へ伝えるため、用いられる言葉があります。
例えば、今回のテーマである2月には「バレンタイン」「節分」「雪解け」といった季語があります。
季語は一見難しい言葉ばかりかと思われがちですが、馴染み深いものも多く、その季節の特徴…つまり、その季節らしい言葉であれば季語となるのです。
【立春】
読み方:りっしゅん
意味:暦の上で春が始まる日。2月4日ごろ。
【蕗の薹】
読み方:ふきのとう
意味:ふきの花のつぼみに当たる部分。
【ウグイス】
意味:スズメ目ウグイス科ウグイス属の1種である。 「ホーホケキョ」と大きな声でさえずるのが特徴。
【節分】
読み方:せつぶん
意味:2月3日。冬から春に変わる時。
【豆撒き】
読み方:まめまき
意味:節分の夜、鬼を追い払うためと称して煎豆を撒く年中行事。
2月の季語【一覧】
初春 / 睦月 / 旧正月 / 寒明 / 立春 / 早春 / 春浅し / 冴返る / 余寒 / 春寒 / 遅春 / 春めく / うりずん / 魚氷に上る / バレンタインの日 / 謝肉祭 / 才麿忌 / 野波忌 / 良寛忌 / 夕霧忌 / 義仲忌 / 実朝忌 / 右近忌 / 句仏忌 / 節忌 / 霽月忌 / 安吾忌 / かの子忌 / 鳴雪忌 / 多喜二忌 / 不器男忌 / 茂吉忌 / 逍遙忌 / 三汀忌 /梅 / 紅梅 / 牡丹の芽 / 薔薇の芽 / 三茱臾の花 / 黄梅 / ミモザ / 金縷梅 / 猫柳 / スノードロップ / クロッカス / ヒヤシンス / 菠薐草 / 如月菜 / 水菜 / 壬生菜 / 慈姑 / 烏芋 / 種芋 / 下萌 / 草青む / 駒返る草 / 草の芽 / ものの芽 / 末黒の薄 / 桔梗の芽 / 古草 / 節分草 / 洲浜草 / 犬ふぐり / 蕗の薹 / 雀の帷子 / 片栗の花 / 猫の眼草 / 菊苦菜 / 海苔 / 岩海苔 /
「2月」の季語を使った有名俳句集【20選】
それでは早速、2月の季語を使った有名俳句を紹介していきます。
【NO.1】原石鼎
『 鶯の 日に光りつゝ 枝うつり 』
季語:鶯(春)
意味:ウグイスが日の光に当たりながら枝をうつしている。
【NO.2】星野立子
『 梅白し まことに白く 新しく 』
季語:梅(春)
意味:白梅が本当に白く咲いていて、毎年同じものが咲いているけれど、今年も新しい気分で梅を楽しめる。
【NO.3】松本たかし
『 紅梅の 紅をうるほす 雪すこし 』
季語:紅梅(春)
意味:紅梅の紅を鮮やかに潤しているのは少し降っている雪である。
【NO.4】与謝蕪村
『 寒月や 門なき寺の 天高し 』
季語:寒月(冬)
意味:冬の冷たい空気で月の光がさえ渡った夜。門のない寺の上には澄み切った空が広がっている。
【NO.5】山口誓子
『 学問の さびしさに堪へ 炭をつぐ 』
季語:炭(冬)
意味:学問は自分自身との戦いであり孤独である。その寂しさに耐え、黙々と火鉢に炭を入れている。
【NO.6】中村汀女
『 咳の子の なぞなぞあそび きりもなや 』
季語:咳(冬)
意味:子供が風邪をひいて寝床で咳をしている。そんな子供にせがまれてやったなぞなぞ遊びが続いてきりがない。
【NO.7】鈴木真砂女
『 如月や 身を切る風に 身を切らせ 』
季語:如月(春)
意味:2月の身を切りそうなほど冷たい風を受けて寂しく感じます。
【NO.8】正岡子規
『 白梅に 魂入りし 月夜哉 』
季語:白梅(春)
意味:白梅に魂入りをした月夜のこと。
(※魂入りとは→死者の霊を祀るため、戒名や法名を記して、家庭の仏壇や寺院の位牌壇に安置する木製の牌を位牌(いはい)といいます。その位牌に魂入りの儀式である「開眼供養」をすると真の位牌となります。)
【NO.9】皆吉爽雨
『 佇める 人にひろごる 野焼かな 』
季語:野焼(春)
意味:佇んでいる人に広がっているのは野焼だろうか。
【NO.10】尾崎紅葉
『 何はさて 命大事の 春寒し 』
季語:春寒し(春)
意味:何はともあれ命は大事だと春が立ってからの寒さを感じた。
【NO.11】松尾芭蕉
『 梅が香に のつと日の出る 山路哉 』
季語:梅(春)
意味:梅お香りにひかれてのっと日が出る山の道だなぁ。
【NO.12】松尾芭蕉
『 山里は 万歳(まんざい)遅し 梅の花 』
季語:梅(春)
意味:山の中にある里では正月に行われる「万歳」が来るのも遅いのだ。梅の花が咲いている。
【NO.13】小林一茶
『 雪とけて 村いっぱいの 子どもかな 』
季語:雪とけて(春)
意味:雪がとけて、村にはいっぱいの子供たちが遊んでいるなぁ。
【NO.14】正岡子規
『 雪残る 頂ひとつ 国境 』
季語:雪残る(春)
意味:雪が残っている山頂が一つある。あそこが国境だ。
【NO.15】河東碧梧桐
『 春浅き 水を渡るや 鷺一つ 』
季語:春浅き(春)
意味:春はまだ浅く寒い。そんな中で水の浅いところを渡っている鷺が一匹居る。
【NO.16】河東碧梧桐
『 赤い椿 白い椿と 落ちにけり 』
季語:椿(春)
意味:赤い椿、白い椿と落ちていった。
【NO.17】山口誓子
『 流氷や 宗谷の門波 荒れやまず 』
季語:流氷(春)
意味:流氷が流れているなぁ。宗谷海峡に打ち付ける波は荒れ続けている。
【NO.18】村上鬼城
『 残雪や ごうごうと吹く 松の風 』
季語:残雪(春)
意味:残雪があるなぁ。ごうごうと松に風が吹いていく。
【NO.19】三橋鷹女
『 みんな夢 雪割草が 咲いたのね 』
季語:雪割草(春)
意味:みんな夢だったのか。雪割草が咲いたのね。
【NO.20】細見綾子
『 春雷や 胸の上なる 夜の厚み 』
季語:春雷(春)
意味:夜に春雷の音で目を覚ます。胸の上には春の夜の厚みがのしかかってくるようだ。
「2月」の季語を使った一般俳句作品集【10選】
ここまでは、有名俳句を20句紹介しましたが、一般の方が詠んだ俳句も様々な人の気持ちや目線、表現方法がたくさん詰まっているので勉強になります。
そのため、ここからは一般の方が詠んだおすすめ俳句作品を30句紹介していきます。
【No.1】
『 恵方巻 壁に向かひ もくもくと 』
季語:無季
意味:恵方の方角が壁だった。壁に向かい恵方巻をもくもくと食べる。
【No.2】
『 豆撒きや 年の数だけ 食べられず 』
季語:豆撒き(冬)
意味:豆撒きをするとたくさんの豆を使うのでそれを消費するために年の数よりも食べなければいけない。
【No.3】
『 おちつかぬ バレンタインの 日の生徒 』
季語:バレンタインの日(春)
意味:バレンタインの日は、生徒みんなそわそわとして落ち着きがない。
【No.4】
『 角まがり 我が家の梅の 見えて来し 』
季語:梅(春)
意味:角をまがると我が家の梅が見えて来る。
【No.5】
『 時折に どすんと音す 雪解かな 』
季語:雪解(春)
意味:時々、屋根からドスンと音がしている。雪が解けているのだろうか。
【No.6】
『 塀越しの 蕾ふくらむ 二月かな 』
季語:二月(春)
意味:塀越しに木を見ると蕾が膨らんでいて、二月を感じる。
【No.7】
『 夕暮れの 村に残りし 野焼の火 』
季語:野焼(春)
意味:夕暮れの村の畑には野焼きの火がまだ残っている。
【No.8】
『 早春や 唇の色 明るくし 』
季語:早春(春)
意味:早春に春のため、唇紅の色を明るい色にした。
【No.9】
『 打ち寄せる 波に残雪 消えにけり 』
季語:残雪(春)
意味:波打ち際に残る雪が打ち寄せる波によって消えていった。
【No.10】
『 春菊を 刻む香りに 亡き母を 』
季語:春菊(春)
意味:春菊を刻むとその独特な香りで亡き母を思い出す。
以上、「2月」に関するオススメ俳句集でした!