日々の暮らしの中で「感謝の気持ちを伝える」ことは、とても大切だとされています。
ただ、感謝の気持ちを真直ぐに伝えるのは、気恥ずかしさが伴うこともあります。日本の伝統である俳句で、日頃の感謝を伝えはいかがでしょうか。
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— 桃花 笑子 (@nanohanasakiko) December 22, 2013
クルミ食い
自然に感謝
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そこで今回は、感謝の気持ちを伝える俳句を20句ご紹介します。
感謝の気持ちを伝える有名俳句【10選】
【NO.1】鷹羽狩行
『 母の日の てのひらの味 塩むすび 』
季語:母の日(初夏)
意味:母の日に思い出されるのは、母の掌の味で、幼少期から口にしてきた塩加減は、いくつになっても懐かしいものだ。
「てのひらの味」で表現しているのは“おふくろの味”で、塩むすびを握る母の姿を思い出されるのではないでしょうか。「母に感謝の気持ちを伝える日」とされている日にこそ、子を想う母の優しさや大きな愛を思い出し、温かな気持ちにさせてくれる優しい句です。
【NO.2】中村草田男
『 母の日や 大きな星が やや下位に 』
季語:母の日(初夏)
意味:たとえ母の地位が下位にあったとしても、母は自分にとって一番大きな星である。
強烈な男尊女卑があった時代において、家族内での母親の地位は最下位とされていましたが、そんな時代でも母の偉大さや大切な存在であることを讃え、感謝の気持ちを込めて読まれた句です。
【NO.3】与謝蕪村
『 春風や 堤長うして 家遠し 』
季語:春風(春)
意味:春風が吹く中、堤の上の道を歩いてはいるが、故郷の家がとても遠く感じる。
若くして離れたきり故郷へ戻ることのなかった与謝蕪村は、慣れ親しんだ故郷や母への思いを込めた句です。大切な故郷を離れ、旅立つときに感謝の気持ちと合わせて詠みたい一句です。
【NO.4】市橋一男
『 つばめくら 野良にいそしむ 母にくる 』
季語:つばめくら(春)
意味:田畑を守り、子どもを一生懸命に、大切に育てている母の姿が燕と重なる。
燕は命懸けで周囲と争うことがなく、ただひたすらに巣を守り、一生懸命に子育てをする鳥類です。その生態が人間に近いということから、燕は日本でとても大切にされています。
ひたむきに子育てに向き合う燕と母の姿を重ねることで、母への感謝の気持ちや偉大さを表しています。
【NO.5】及川貞
『 母の日や 大方の母 けふも疲れ 』
季語:母の日(初夏)
意味:母の日の今日もほとんどの母が疲れていることだろう。
母の日くらいはゆっくりと休んで欲しいと思う子ども心と、母の日でさえも休む間もなく忙しくしている母の姿が描かれている一句です。
子どもたちからの感謝の気持ちに反して、母親の実情が見事に表されています。
【NO.6】宮谷昌代
『 母の日の 何もしないで 母のそば 』
季語:母の日(初夏)
意味:何か特別なことをするのではなく、母の日は何もせずにただただ母の傍にいたい。
「母の傍にいたい」「ただ母と一緒にいたい」という子どもの気持ちと、「傍にいてくれるだけで幸せ」という母の思いが描かれた句です。母子の互いへの感謝の気持ちや大きな思い、深い愛情を感じられます。
【NO.7】星野立子
『 冬ばらや 父に愛され 子に愛され 』
季語:冬ばら(冬)
意味:美しい冬薔薇よ、父の大きな愛を受け、子どもも同じように愛いていることよ。
冬薔薇は色の濃い花が多いので、冬の淋しく侘しい雰囲気の中で、その美しさを際立たせています。
星野立子は、父である虚子から厳しい俳句指導を受けながらも、深く大きな愛情を受けていることを感じ、感謝をしていました。また、同時に立子も父を深く愛している幸せを冬薔薇の美しさになぞらえて表現しています。
【NO.8】中村汀女
『 たんぽぽや 日はいつまでも 大空に 』
季語:たんぽぽ(春)
意味:足元にはたんぽぽが咲き、大空には太陽が悠々と留まり、春の陽の長さが感じられる。
陽だまりに咲いているたんぽぽと陽が長くなった太陽を重ね、穏やかな春の訪れに感謝と喜びを表しています。
この幸せな時間が「いつまでも」長く続いてほしいという願いは、戦時中に詠まれたこの句だからこそ表現ができたもので、柔らかい句の中に秘められた“平和への祈り”が切実に聞こえてくるようです。
【NO.9】秋山深雪
『 クレヨンの カーネーション咲く 母の日よ 』
季語:母の日(初夏)
意味:色とりどりのクレヨンで描かれたカーネーションが咲いている母の日だ。
感謝の気持ちを伝えるために、子どもが一生懸命に描いたクレヨンのカーネーションが咲いている様子を表しています。
手描きのカーネーションが咲き乱れ、それを描いていた子どもの様子と想いが重なり、温かな気持ちにさせてくれる一句です。
【NO.10】廣畑昌子
『 母の日の 二歳はレタス ちぎる役 』
季語:母の日(初夏)
意味:母の日に二歳の子どもがするお手伝いは、レタスをちぎることだ。
母の日にお料理をプレゼントするために、家族みんながキッチンで料理をしている姿が描かれています。
二歳の子どもにも役割が与えられ、大好きなお母さんのために感謝の気持ちを込めながらお手伝いをしている様子が目に浮かぶ微笑ましい句です。
感謝の気持ちを伝える一般俳句ネタ【10選】
【NO.1】
『 今思う 感謝の気持ち ありがとう 』
季語:なし
意味:その時に気づくことはなかったけれど、今は感謝の気持ちでありがとうと伝えたい思う。
その時に気づくことはなかったけれど、成長し、様々な社会経験を積み重ねることで気づいた「感謝の気持ち」を率直に表現した一句です。
作者が気づけた「ありがとう」という素直な気持ちは、きっと伝えたい方に届いていることでしょう。
【NO.2】
『 出産終え 安堵と疲労の 麦茶かな 』
季語:麦茶(夏)
意味:無事に出産を終えて、安心と疲労の中で飲む麦茶は美味しいものだ。
10ヶ月もの時間をかけてお腹の中で育んだ尊い命を、無事に生み出すことができた安堵と感謝の気持ちの後に襲って来るとてつもない疲労感と達成感を描いた一句です。
命懸けで生み出した我が子との対面と麦茶が重なることで、読者にもホッとする瞬間を与えてくれる温かな句です。
【NO.3】
『 先生は 春日の如し 卒業式 』
季語:卒業式(春)
意味:先生は春の日差しのような眼差しで見守ってくれましたが、今日は卒業式です。
春の日差しのような眼差しで、毎日温かく見守ってくださっていた先生へ、精一杯の感謝の気持ちを伝えている一句です。
先生を「春日」と表現しているので、読み手側も柔らかな日差しや光り輝く春の様子を想像できる美しい句です。
【NO.4】
『 卒業子 恩師訪ねて 教務室 』
季語:卒業子(春)
意味:卒業していく我々は、恩師を尋ねて教務室へ足を運びます。
卒業式の後、感謝の気持ちを伝えるべく恩師を訪ね歩いている様子が詠まれた一句です。「恩師」や「教務室」から、在学中に多くの先生方にお世話になり、教室が感謝・涙・笑顔で溢れている様子が優しく描かれています。
【NO.5】
『 給食の おばちゃんに礼 卒業す 』
季語:卒業(春)
意味:毎日給食を作ってくれた給食のおばさんに一礼し、卒業します。
毎日おいしい給食を作ってくれた「おばちゃん」への感謝の気持ちが詠まれた一句です。
栄養士や調理師の先生をあえて「おばちゃん」と表現することで、その関係性の良ささえも読み手に伝わる温かい句です。
【NO.6】
『 桜舞う さよなら告げに 教室へ 』
季語:桜(春)
意味:桜が舞い散る日にさようならを告げるために教室へ向かいます。
想いを伝えられていない人に「さようなら」を告げるため、教室へ向かった作者の様子が詠まれています。
この「さよなら」にたくさんの感謝の気持ちが込められているように感じられるのは、満開の桜が舞い散る美しい様子が丁寧に描かれているからです。
【NO.7】
『 黒板に 「ありがとう」と書く 卒業式 』
季語:卒業式(春)
意味:感謝の気持ちを込めて黒板に「ありがとう」と書いた卒業式。
クラスメイトと一緒に、感謝の気持ちを込めて黒板アートをした様子が描かれています。
名詞を加えないことで対象が限定されず、この「ありがとう」には先生や教室、クラスメイトなど、様々な「ありがとう」が込められていることを感じさせてくれます。
【NO.8】
『 感謝する してもしきれぬ 恩師への 』
季語:なし
意味:恩師へ、感謝しても感謝しても、感謝しきれません。
お世話になった恩師への溢れる感謝の気持ちを表現した一句です。
溢れるほどの感謝の気持ちは読者にも伝わり、いかに素晴らしい師弟関係を築き上げてきたのかが分かります。
【NO.9】
『 卒業の 窓に飛び交う 「ありがとう」 』
季語:卒業(春)
意味:卒業式の日にたくさんの「ありがとう」が飛び交っている。
卒業していく生徒や見送る先生方の「ありがとう」がたくさん飛び交っている様子が描かれていますそれぞれの「ありがとう」に込められた温かな気持ちや賑やかな様子が詠み手にも伝わる晴れ晴れとした句です。
【NO.10】
『 一人ずつ 恩師の墓前 今日卒業 』
季語:卒業(春)
意味:今日、無事に卒業できたことを永眠する恩師に報告します。
卒業式に恩師は不在でしたが、無事に卒業ができたことを墓前に報告している様子を詠んでいます。
墓前にまで報告に訪れる様子から、師弟関係の深さが読み取れるだけでなく、たくさんの感謝の思いが溢れていることが分かります。
以上、感謝の気持ちを伝えるおすすめ俳句でした!
今回は、感謝の気持ちを伝える俳句 20選をご紹介しました。
十七音の中に込められた溢れるほどの感謝の気持ちは、温かさと優しさを丁寧に伝えてくれるだけでなく、十七音に秘められた思いをも感じさせてくれます。
あなたの中に秘められた溢れるほどの感謝の思いを十七音で紡いでみてはいかがでしょうか。