俳句は五七五の十七音に季節を表す季語を詠む文学で、江戸時代に成立しました。
現在では学校の宿題から個人の趣味まで俳句を詠む人は多く、海外でも「英語俳句」などのジャンルが作られています。
今回は、俳句を上手に作るためのコツを「あまり上手くない俳句」を例に解説していきます。
俳句の先生、本当に大好きです!笑
そのへんの下手な芸人より話が全然面白い。
言う事ははっきり言える、皆がなるほど〜て頷けるほど凄い実力のある方なんだなぁ…と。 pic.twitter.com/aH2etMR9DP— keema curry (@oboe330330) May 24, 2018
ぜひ参考にしてみてください。
目次
悪い俳句の例はこれ!悪い俳句の特徴【4選】
①切れ字が二つある
切れ字は「や」「かな」「けり」などの詠嘆の意味を表す言葉で句を切る技法です。
この切れ字が複数ある場合は「切れ字の重複」と呼ばれ、慣れない間は焦点がぶれてしまう技法とそれます。
「初雪や 野原を駆ける 子供かな」
この俳句を例に取ると、初句切れ(切れ字「や」)で初雪を強調しているのに、三句で「子供かな」と子供にも焦点を当てています。
初雪を詠みたいのか、遊ぶ子供たちを詠みたいのかわからなくなってしまうので、俳句を詠むのに慣れていない間は、切れ字を一つにして何を詠みたいのかはっきりと意識しましょう。
②季語の説明になってしまっている
俳句では無季俳句ではない限り必ず季語を詠みますが、季語をただ説明してしまっているだけの俳句になってしまうものもあります。
「桃色の 桜の花が 咲いている」
この俳句ではピンク色の桜の花が咲いている、という事実だけを説明している俳句になってしまっています。
季語を説明しているだけの俳句ではどのような風景だったのか、作者の心情はどんなものだったのかが全くわからないため、説明だけで終わらないように気をつけましょう。
③重複表現がある
ここで言う重複表現とは、「雪」が「白い」、「レモン」が「酸っぱい」など、単語から連想される事柄が重複していることを指します。
「飴細工 酸っぱいレモンは 恋の味」
この句では「レモン」が「酸っぱい」ことが意味の重複です。
「ファーストキスはレモンの味」という通説から恋と連想させて詠みましたが、レモンと言えば多くの人が酸っぱさを思い浮かべるため、意味が重複していることになります。
④動詞が二つある
俳句では動詞が二つあると、説明のような俳句になってしまいがちです。
同じ動詞を繰り返すことによって強調する技法もありますが、ここでは異なる動詞が二つ詠まれているケースです。
「ホトトギス 鳴いて枝から 飛びたった」
この句では「鳴く」と「飛び立つ」の二つの動詞を詠みましたが、状況をただ説明した文章になってしまっています。
また、鳴き声に注目しているのか、飛び去った姿に注目しているのかわからなくなり、作者が本当に伝えたかったこともぼやけてしまいます。
良い俳句とは?良い俳句の作り方やコツ・注意点
伝えたいことをはっきりさせる
俳句は、自分が何を伝えたいかをはっきりとさせることが重要です。
咲いている花の美しさを伝えたいのか、花を見たときの自分の心情を伝えたいのか、そばにいる誰かの反応を伝えたいのかによって何をどう詠むか変わってきます。
詠みたいものは季語になっていることが多いので、まずどのような季語があるのか「歳時記(さいじき)」で調べてみましょう。
(※歳時記:俳句の季題を分類して解説を加え、例句を載せた書物。)
切れ字は一つだけ使う
切れ字の重複について上記で解説しましたが、「降る雪や 明治は遠く なりにけり」といった名句とされている中にも切れ字が重複しているものもあります。
ただし、強調や感動を表したい主題がボケてしまいがちなため、慣れない間は切れ字は一つだけ使いましょう。
「閑けさや 岩にしみ入る 蝉の声」
松尾芭蕉の有名な俳句ですが、「閑けさや」と初句で切ることによって周囲の静寂を伝えることで後に続く「蝉の声」に対して強い印象を与えています。
上記の「伝えたいこと」と組み合わせて切れ字を使うのがおすすめです。
比喩表現や擬人化を使おう
俳句では比喩表現がよく使われます。
そのままの文章として詠んでしまうと「状況の説明」となってしまいますが、比喩を使うことで「作者がどう感じたのか」を表現することができます。
太陽や月の動きを「走る」と例えたり、花が咲いているのを「笑う」と例えたり、擬人化することも有効です。
直接的な説明ではなく、何かに例えたり擬人化してみたり工夫して詠んでみましょう。
最後に、俳句作りの参考になる一般の方が詠んだ俳句を5つ紹介します。
とても上手!おすすめ一般俳句ネタ集【5選】
【NO.1】
『 君と解く 桜の下の 方程式 』
季語:桜(春)
「方程式」という言葉から中学や高校の数学の課題を、2人で解いている様子を詠んでいます。「桜」は卒業式や入学式の時期を表すため、同じ志望校に向けて勉強している、もしくは進学が同じ学校になったのかもしれません。
【NO.2】
『 草刈って 風を失くして しまひけり 』
季語:草刈って/草刈り(夏)
雑草とはいえど風の複雑な動きを伝えてくれていたのになぁ、とどこか惜しんでいる一句です。草刈りは必要なこととはいえ、風情も愛する複雑な心が伺えます。
【NO.3】
『 干し柿も 笑っちゃうほど 日本晴れ 』
季語:干し柿(秋)
干し柿を吊るす秋頃は、空が澄んで快晴になる地域が多いことでしょう。見ている方も思わず笑ってしまうほど見事な日本晴れへの感動を、吊るされている干し柿に託しています。
【NO.4】
『 冬の月 黒いベッドで 眠ってる 』
季語:冬の月(冬)
「月が出ている」という単純化をせずに、「ベッドで眠る」という擬人化を使っている一句です。冬は空気が乾燥しているため、月は煌々と照る表現をされることが多いですが、作者が見た月は傾いて眠っているような月だったのかもしれません。
【NO.5】
『 鍋の中 二泊三日の おでんたち 』
季語:おでん(冬)
鍋の中のおでんが次の日もまたその次の日も具材やスープを足されながらあった、という冬ならではの光景を詠んだ句です。繰り返しを表現するのに「二泊三日」という鍋の中で泊まりがけの旅行をしているようなユーモアのある表現を使っています。
さいごに
今回は、あまり上手くない俳句の技法や実例、よい俳句を作るためのコツを中心に解説してきました。
基本的には五七五の韻律を守り季語を詠んでいれば問題ないですが、今回は初心者の間は避けておきたい技法を特に解説しました。
俳句においては「まず作ってみて推敲する」という作業も大切なので、とにかく作ってから悪い例に出したような俳句になっていないか確認してみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。