「青春」とは、活力に満ちて夢や希望に満ちた様子のことを「人生の春」にたとえ、主に若くて元気な時代として青年時代をさす言葉として使われています。
年齢としては、13歳頃から20歳前半頃を指すことが多いようですが、厳密な定義はありません。
皆さんは「青春」と聞いて、どのような光景を思い浮かべるでしょうか?
今回は、青春をテーマにした俳句作品を30句紹介していきます。
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— hawk (@hawk_yama) January 14, 2017
青春をテーマにした一般俳句ネタ作品集【前編10句】
【NO.1】
『 青春の 二人が覗く 焼き芋屋 』
季語:焼き芋(冬)
若い学生たちを「青春」と表現しています。学生さんたちが覗いているものは焼き芋屋さん。美味しそうな香りに誘われたのでしょう。甘いもの・美味しいものをたくさん食べたいお年頃ですね。
【NO.2】
『 浴衣着て 今が青春 七十五 』
季語:浴衣(夏)
作者は現在75歳。作者にとってはまさに今が人生で一番輝いている時であり、「青春」の時なのでしょう。浴衣を着て、懐かしい時を思い出しながら、今が一番!と楽しむ作者の考え方がとても素晴らしいです。
【NO.3】
『 ユニフォーム 戻れぬ夏の においする 』
季語:夏(夏)
学生時代、部活を一生懸命頑張っていた作者。懐かしいユニフォームから学生時代のさまざまなことを思い出したのでしょう。たくさん汗をかいて練習に明け暮れた学生時代のユニフォームの香りはきっと、青春時代に一気に引き戻してくれるのではないでしょうか。
【NO.4】
『 青春は 冬眠したく なるらしい 』
季語:冬眠(冬)
若い青年たち、学生たちを「青春」と表現しています。この時期は何をやっても眠い。寝ても寝ても眠い、寝足りない。そのような様子を「冬眠」という言葉を使い、とてもユーモアのある一句になっています。
【NO.5】
『 秋草なら 泣く訳を はなそうか 』
季語:秋草(秋)
青春時代は、心がざわざわし大きく揺れ動くお年頃。なかなか周りに言えないこともあるのではないでしょうか。作者が抱えているものは何なのでしょうか。心の中にずっと残っているものを野原にある秋草になら話せるかもしれない。17文字に込められた作者の想いがとても深いです。
【NO.6】
『 目から汗 流れる夏の 甲子園 』
季語:汗(夏)
作者にとっての青春時代は学生時代の部活。野球部に所属し、甲子園に出場するという大きな夢がかなった瞬間なのでしょう。「目から汗」という言葉から、厳しい暑さの中での試合であることがよく分かります。青春時代の絶対に忘れられない大切な思い出なのではないでしょうか。
【NO.7】
『 音だけで 花火楽しむ 受験生 』
季語:花火(秋)
学生時代は楽しいことがたくさんあります。でも受験生として、その楽しいことを我慢し勉強に励む作者。本当ならば実際に見たいけれど、花火の音だけ、耳で花火を楽しみながら勉強する作者の頑張りが良い形につながることを願っています。
【NO.8】
『 飲むほどに 麦茶の氷 音を変え 』
季語:麦茶(夏)
厳しい暑さの中での部活の練習。作者が部活に全力で向き合っていることを感じます。こまめな水分補給のたびに氷がとけていることを感じるほど、気温が高くとても暑いのでしょう。「音を変え」ととても上手に表現しています。
【NO.9】
『 授業中 せ・し・す・する せみの声 』
季語:せみ(夏)
学校での夏の時期の授業の様子。教室でサ行変格活用を勉強している作者。とても難しくて集中しているようなしていないような、ありのままの雰囲気を感じます。リズムがとても良くユーモアいっぱいの一句です。
【NO.10】
『 青春の 終わりを告げる 卒業歌 』
季語:卒業(春)
青春時代=学生時代。そのように捉えると、その終わりは卒業式。皆で歌う卒業の歌が青春時代の最後の1ページということでしょう。「終わりを告げる」という言葉がとても良く、作者のセンスが素晴らしいです。
青春をテーマにした一般俳句ネタ作品集【中編10句】
【NO.11】
『 青春や バレンタインの 日のチョコ 』
季語:バレンタインの日(春)
バレンタインデーにチョコをもらうことはとても嬉しいことですよね。もらえるかな?というドキドキも含めて、たくさんのドキドキがある日なのではないでしょうか。学生時代ならではのドキドキがあふれる一日ですね。
【NO.12】
『 差し入れは レモンの輪切り 青春ぞ 』
季語:レモン(秋)
部活の練習中の差し入れでしょうか。レモンはビタミンC、疲労回復効果があるといわれています。作者にとって、「レモンの輪切り」は青春時代の部活での練習を思い出させてくれる食べ物なのでしょうね。
【NO.13】
『 定年の 今が青春 栗拾い 』
季語:栗(秋)
定年を迎えた作者。作者にとって、会社勤めを終え、自由に自分の好きなように過ごす今がまさに「青春」なのでしょう。人生で一番輝いている時が今なのですね。のんびり栗を拾いながら散策している作者の姿が目に浮かびます。
【NO.14】
『 合宿行く バスの中 蝉時雨 』
季語:蝉時雨(夏)
部活の生徒全員で合宿先に向かうバスの中。元気あふれるにぎやかな雰囲気を感じます。「蝉時雨」とは、まるで時雨が降ってきたかのように大音量で蝉の声がいっせいに鳴くこと、またその声が聞こえることをいいます。うまく言葉をかけているとても上手な一句です。
【NO.15】
『 青春は 先の見えない 曇りガラス 』
季語:青春(春)
学生時代。自分はこの先どうなるのか、いろいろ考えてしまう時なのかもしれません。将来の夢や希望があるようなないような、明確ではないからこそ、先が見えず不安になる。「曇りガラス」のようであるという表現がとても素晴らしいです。
【NO.16】
『 青春を 分かち合ふラガー ノーサイド 』
季語:ラグビー(冬)
作者はラグビー部に所属するラガーマン。暑い日も寒い日もいつも一緒に練習に励んできた仲間たちとは、たくさん同じ時間を過ごし共有できる思い出が数多くあることでしょう。仲間を信頼し想うことが大切なスポーツであるラグビー。「分かち合ふ」という言葉がとても深いです。
【NO.17】
『 青春の 心忘れず 老いを生き 』
季語:青春(春)
人生の中で、若く元気な時、主に青年時代を指す言葉として使われることが多い「青春」。作者は、自身の青春の時の気持ちを忘れることなく、今をしっかりと生きようとしている。年を重ねてきたからこその重みのある言葉だと感じます。
【NO.18】
『 青春の 真っ只中の 卒業子 』
季語:卒業(春)
卒業を迎える生徒たちの年代は今まさに「青春の 真っ只中」。この時をどのように過ごすのか、自分と向き合い考えることも大切なことなのかもしれません。とても分かりやすいシンプルな俳句ですが、作者のいろいろな想いが込められているように思います。
【NO.19】
『 綿菓子と 金魚に君の 手を取られ 』
季語:金魚(夏)
学生時代の恋愛は、とても深く心に残るものではないでしょうか。作者は想いを寄せる「君」と夏祭りに出かけます。手を握ろうという想いがあっても勇気がなくなかなかできない…作者の自分自身に対するもどかしい気持ちがとても上手に表現されています。
【NO.20】
『 学び舎に 青春置いて 卒業す 』
季語:卒業(春)
学生時代の終わりは青春時代の終わりと捉える時、卒業式は一つの大きな区切りになりますね。「青春を置いて」という言葉から、作者の切ない想いを感じます。言葉の選び方が素晴らしい、とても素敵な一句です。
青春をテーマにした一般俳句ネタ作品集【後編10句】
【NO.21】
『 夏祭の 帰路よたこせん 食べ歩き 』
季語:夏祭(夏)
「たこせん」とは、せんべいの上にたこ焼きを乗せてさらにせんべいで挟んだもので、主に大阪の屋台でよく見かける食べ物です。夏祭りも終わり、帰り道を歩きながら戦利品のたこせんを食べている様子が伺えます。
【NO.22】
『 春休み 風の吹くまま ポタリング 』
季語:春休み(春)
「ポタリング」とは、サイクリングよりもゆっくりとしたペースで走る、自転車版の散歩のようなものです。春の風の吹くままに、行きたいところにゆっくりと進んでいく様子が心の余裕を感じる一句になっています。
【NO.23】
『 気がつけば 花火の数だけ 無口なり 』
季語:花火(秋)
気がつくと、花火の数だけ無口になっていたというお互いの気まずさと花火の見事さを詠んだ句です。始まる前は色々話していたのでしょうが、花火が上がる度に言葉を失って見入っていたのでしょう。花火が終わったあとは感想を言い合っていたのでしょうか。
【NO.24】
『 春スキー くちも滑らせ 君が好き 』
季語:春スキー(春)
春スキーに遊びに来ていて、雪を滑るように口も滑って告白してしまった、という青春の一幕を詠んだ句です。スキーで遊んで満足しているうちにうっかり「君が好き」と喋ってしまったのでしょう。果たして恋は成就したのでしょうか。
【NO.25】
『 初詣 昭和の風情 茶屋の窓 』
季語:初詣(新年)
初詣に、昭和の風情を感じられる茶屋に入り、窓の外を見ているという一句です。最近では昭和レトロが流行しているため、昭和が青春時代だったのか、昭和レトロを楽しむ青春世代なのかで感じ方が変わってきます。
【NO.26】
『 青春は 甘く儚く ソーダ水 』
季語:ソーダ水(夏)
一瞬で過ぎていく青春をソーダ水の炭酸が弾ける様子に例えた一句です。ソーダ水を友人や恋人と飲んだ思い出もあるのでしょう。「儚く」という言葉から、甘い青春を思い返している様子がよくわかります。
【NO.27】
『 青インク にじむ青春の 古日記 』
季語:古日記(暮)
青いインクで書かれた古い日記を読み返して、青春を思い出している一句です。インクの滲みとそこから連想される青春を上手く掛けています。整理をしている時に出てきた日記を読み返して、その当時を思い出しているのでしょう。
【NO.28】
『 青春の きっぷでたどる 春の路 』
季語:春(春)
「青春のきっぷ」という言葉から「青春18きっぷ」であることが伺えます。春休みなのか、特殊な切符を使って行ける所まで行ってみようという心の内が感じ取れる一句です。時間がある青春時代ならではの旅路でしょう。
【NO.29】
『 青春の 肌みずみずし 夏蜜柑 』
季語:夏蜜柑(夏)
青春と言えば、甘酸っぱさや爽やかさをイメージする人が多いでしょう。みずみずしい夏のみかんと、青春で輝いている人達の肌のみずみずしさを掛けた一句です。口の中にみかんの爽やかな味が広がってくるような一句になっています。
【NO.30】
『 青春の あの日あの時 グラジオラス 』
季語:グラジオラス(夏)
グラジオラスとは、別名を唐菖蒲や和蘭あやめと呼ばれる花です。色は白から赤、紫など様々なものがあります。ここで詠まれているグラジオラスは、作者が「あの日あの時」に見たグラジオラスとそっくりだったのでしょう。
以上、青春をテーマにしたおすすめ俳句集でした!
今回は、「青春」をテーマに俳句を30句ご紹介しました。
「青春」という言葉を聞くと、学生時代を思い浮かべる人が多いかもしれません。
友だちと過ごした日々、文化祭や体育祭・修学旅行等の学校行事、毎日練習に明け暮れた部活動、想いを寄せる人との大切な時間、自分の未来に向かって受験勉強する日々。個々それぞれさまざまな想いと大切な思い出があるのではないでしょうか。
しかし、「青春」はもしかしたら学生時代だけではないのかもしれません。「人生で一番輝いているとき」と捉えてみると年齢は全く関係ないのかもしれませんね。
自分の中での「青春」の瞬間を切り取り、その想いを是非17文字にのせてみてください。