「夕立」とは、突然降る大粒の激しい雨のことです。
雷が鳴り響くこともありますが、短時間で落ち着き、空に静けさが戻り涼しい風が吹き渡ります。
夏の風物詩ともいえる「夕立」は、夏の季語です。突然の雨をマイナス的に捉える人もいれば、プラスに捉える人もいる…とても興味深く、面白い季語です。
結局今日学校でも構想のやつやらなきゃ間に合わない事になって絶望。
ついでに弟が昨日学校で書いてきた「夕立」についての俳句載せとく。 pic.twitter.com/OMNqF2kuP2
— りゅ (@dragon_520) July 6, 2016
俳句:夕立に傘ぱっと咲く交差点 pic.twitter.com/eBj4Q0RyO4
— mizueÿ (@kurohanpen1015) July 1, 2014
今回は、そんな夕立をテーマにした小学生向けの俳句を10選、中学生向けの俳句を10選紹介していきます。
小学生向け!夕立を題材にしたオススメ俳句ネタ【10選】
【NO.1】
『 夕立は てるてるぼうずの 仕事の日 』
季語:夕立(夏)
雨と言えば、「てるてるぼうず」ですね。突然降りだした雨を見て、「てるてるぼうず」を思い出し、「仕事の日」と表現した作者の発想が可愛らしく、とても素晴らしいです。
【NO.2】
『 夕立が プレゼントする 虹のおび 』
季語:夕立(夏)
夕立というとマイナスに捉えてしまいがちです。そこをあえて、夕立は「虹」を「プレゼント」してくれるもの、とプラスに捉えた表現がとても素晴らしく、心があたたかくなる一句です。
【NO.3】
『 夕立が 逃げる僕らを 追うように 』
季語:夕立(夏)
夕立が局所的に発生している状況なのでしょうか。追ってくる雨雲から必死に逃げている作者の姿が想像できます。「追うように」という言葉は、夕立特有の状況をとても上手に表現し、緊迫感を感じます。
【NO.4】
『 夕立を 待ちわびている 庭の花 』
季語:夕立(夏)
夕立を「待ちわびている」ものを見つけた作者の着眼点が素晴らしいです。ついつい鬱陶しく感じてしまう夕立ですが、今か今かと待ちわびている「庭の花」の様子をとても上手に表現した一句です。
【NO.5】
『 夕立や 南の島の 気分する 』
季語:夕立(夏)
夕立をスコールのように捉えて詠んでいる作者の表現がとても可愛らしいです。南の島のような気分にしてくれる「夕立」を、とても楽しんでいるように感じ、微笑ましいです。
【NO.6】
『 夕立後 七色染まる 西の空 』
季語:夕立(夏)
夕立後の空の様子を詠んでいます。「七色染まる」という表現がとても美しく、空が七色に染まるきれいな光景をとても上手に表現しています。
【NO.7】
『 ゴロゴロと 雷鳴って 夕立が 』
季語:夕立(夏)
「ゴロゴロと」大きな雷の音が印象的だったのでしょう。作者自身が感じたことがそのまま17音で表現されています。シンプルな句ですが、光景が想像できる上手な一句です。
【NO.8】
『 夕立の 後にまた鳴く 蝉の声 』
季語:夕立(夏)
突然の夕立によって、作者は全ての音がかき消されてしまったような感覚になったのかもしれませんね。蝉の大きな声さえも消してしまう雨の音。雨が止むと同時に「音」や「声」が戻ってきた、詩のような感覚の素敵な一句です。
【NO.9】
『 夕立や 去った空には 光る橋 』
季語:夕立(夏)
夕立後の空に広がる素敵な光景が目に浮かぶような一句です。「虹」ではなく、「光る橋」という言葉の選び方が素晴らしいです。美しくきれいに光る橋は、作者の心にとても印象深く残っているのでしょう。
【NO.10】
『 いろいろな 色の傘咲く 夕立かな 』
季語:夕立(夏)
突然の夕立に、皆それぞれが開く傘。その傘が沢山ひらいている光景が想像できる一句です。傘が開いている様子を「咲く」という言葉を使い、とても上手に表現しています。
中学生向け!夕立を題材にしたオススメ俳句ネタ【10選】
【NO.1】
『 夕立や 空七色に 染め上げて 』
季語:夕立(夏)
夕立後の美しい空の様子を詠んでいます。「空七色」という言葉から、美しく七色に染まる空の様子がとてもよく伝わります。思わず空を見上げたくなるような素敵な一句です。
【NO.2】
『 夕立や 二人で駆ける 帰り道 』
季語:夕立(夏)
「二人」とは誰のことなのでしょうか。仲良しのお友だちなのか、大好きな「あの人」なのか。いろいろな状況を想像することができるとても表現が上手な一句です。
【NO.3】
『 夕立や 去った空には 光る虹 』
季語:夕立(夏)
夕立の後、空に広がる「虹」の様子を詠んでいます。「光る虹」という言葉から、とても美しくきれいに輝く虹が空いっぱいに広がる光景が目に浮かびます。
【NO.4】
『 夕立で 帰れぬ友と 仲直り 』
季語:夕立(夏)
突然の夕立に雨宿りをしているのでしょうか。お友だちとすこし喧嘩中だったのかもしれませんね。まさかの相手と一緒に雨宿り。でもこれが良いきっかけになったことでしょう。お互いに照れ笑いしているような光景が想像できます。
【NO.5】
『 夕立で 帰る父の背 ずぶぬれに 』
季語:夕立(夏)
帰宅したお父様が、突然の夕立にあってしまったのでしょう。「ずぶぬれ」という言葉から、かなりひどい雨だったことが想像できる、とても表現が上手な一句です。
【NO.6】
『 夕立や 空に架け橋 輝かせ 』
季語:夕立(夏)
夕立後の「虹」を「架け橋」と表現しています。空に橋をかけてくれた夕立をプラスに捉えて詠んでいます。美しく輝く「架け橋」が目に浮かぶようです。
【NO.7】
『 突然の 夕立止むの 待つわたし 』
季語:夕立(夏)
突然の夕立。作者は雨宿りしているのでしょう。ひたすら止むのを待つ「わたし」の姿が想像できます。傘を渡してあげたくなるような一句です。
【NO.8】
『 夕立や 七色の橋 架け渡し 』
季語:夕立(夏)
「虹」を「七色の橋」と表現し詠んでいます。七色に輝く橋という表現がとても美しく、素敵な光景が想像できます。夕立が七色の橋を架けてくれた、と夕立からの贈り物のように感じている作者の感性が素晴らしいです。
【NO.9】
『 夕立や 見知らぬ人と 雨宿り 』
季語:夕立(夏)
突然の夕立で雨宿りをしている作者。知らない「先客」がいたのですね。全く知らない人だけれども、「雨が止むのを待つ」という同じ目的を持つ二人。不思議な空間を感じる一句です。
【NO.10】
『 夕立に 降られて駆ける 家路かな 』
季語:夕立(夏)
「家路を急ぐ」とはまさにこのことですね。突然の夕立、傘がないのでとにかくひたすら駆けている作者の姿が想像できます。誰しもが経験のある状況をとても上手に表現しています。
以上、夕立を題材にして詠んだオススメ俳句でした!
さいごに
「夕立」は夏の強い日差しで生じる上昇気流によって積乱雲が急激に発生し、局所的に激しい雨をもたらす現象です。
天気予報等でよく耳にする「大気の状態が不安定です」というものは、「上昇気流によって積乱雲が発生しやすく、夕立になりやすい状態です」ということだそうです。
最近は異常気象ともいわれ、「夕立」というよりも「ゲリラ豪雨」というフレーズを耳にする機会の方が多いかもしれません。
しかし、俳句の世界には「夕立」という美しい響きがきちんと残っています。「夕立」と「ゲリラ豪雨」では風情が全く異なるように感じますが、皆さんはどのような印象がありますか。
「夕立」という表現がいつまでも残ることを願っています。