日本には春夏秋冬それぞれに特徴がありますが、俳句の上での四季はどのような区切り方をしているのでしょうか?
案山子(かがし)は秋の季語なのか・・・。春の案山子は種案山子。
旧暦との違いなど俳句には俳句のマナーがあって難しい。 pic.twitter.com/s7gmfzO7fq— バンブーケーキ (@taketake1981061) May 19, 2016
今回は、俳句の春夏秋冬は何月から何月までなのか、徹底解説していきます。
目次
俳句の春夏秋冬は何月から何月まで?
四季の期間・季節の区切り方
俳句の季節は、「旧暦(太陰暦、陰暦)」で考えられています。
旧暦とは、新月の日を1日とし、満月の日を15日として数えるものを言います。
明治時代以前は旧暦を用いていましたが、明治5年(1872年)に、太陽の動きを元に作られた新暦「(太陽暦、グレゴリオ暦)」に改暦され、現在に至っています。
旧暦の春夏秋冬の大まかな分かれ方は、以下のように立春は1月、立夏は4月、立秋は7月、立冬は10月になります。
【旧暦】
- 春:1〜3月
- 夏:4〜6月
- 秋:7月〜9月
- 冬:10〜12月
一方、旧暦は新暦よりおよそ一月遅れになりますので、以下のように新暦の2~4月を『春』、5~7月を『夏』、8~10月を『秋』、11~1月を『冬』と呼ぶことになります。
【新暦】
- 春:2〜4月(厳密には、5月4日頃までが冬)
- 夏:5〜7月(厳密には、8月6日頃までが冬)
- 秋:8〜10月(厳密には、11月6日頃までが冬)
- 冬:11〜1月(厳密には、2月3日頃までが冬)
このように、旧暦は現在使われている新暦・気象学的とは約1か月のズレ(遅れ)があり季節感が異なるので注意が必要です。
また、俳句を作るときには「歳時記」を見てみると、どの季節の季語であるか解説と例句とともに紹介されていますので、是非参考にしてみてください。
春夏秋冬の代表的な季語
ここでは、俳句によく使われる春夏秋冬の季語を紹介していきます。
俳句作りにぜひお役立てください。
- 春・・・花見、桜、梅、茶摘み、ひな祭り、蝶、鶯、藤、たんぽぽ、ひばり、蓮花、蛙、つくし、菜の花
- 夏・・・滝、風鈴、浴衣、金魚、百合、向日葵、花菖蒲、牡丹、蝸牛、虹、杜若、睡蓮、鵜飼、ホトトギス、鷺
- 秋・・・木の子、秋刀魚、鰯雲、名月、すすき、萩、紅葉、柿、カマキリ、蜻蛉、渡り鳥、鹿、稲刈り、菊、雁
- 冬・・・節分、みかん、落ち葉、水鳥、熊、鶴、氷柱、湯豆腐、水仙、さざんか、牡蠣、七五三、こたつ、霜、鴨
要注意!間違いやすい季語
ここでは、間違えやすい意外な季節の季語を、季節別に紹介します。
- 春・・・雪崩、彼岸、陽炎
- 夏・・・五月、五月晴れ、五月雨、若葉、新緑、端午の節句、鯉のぼり、紫陽花
これらは現在使われている新暦に当てはめると、春になりますが、旧暦に当てはめる俳句では夏の季語になります。緑が育ちつつある様子や、5月とつくもの、こどもの日に関するものは全て夏の季語です。
- 秋・・・七夕、天の川、お盆、墓参り、送り火、朝顔
朝顔も小学生が夏休みに育てるイメージがありますので、夏だと思われがちですが、俳句の世界では秋の季語なのです。ちなみに、昼顔と夕顔は夏の季語です。
また、七夕やお盆のお墓参りも今では夏の風物詩ですが、秋の季語なので気をつけましょう。旧暦の七夕は今の8月にあたるので、秋の季語になるのです。
- 冬・・・神無月、七五三、木の葉、落ち葉
春夏秋冬!季節を感じる有名俳句【12選】
春の有名俳句【おすすめ3選】
【NO.1】松尾芭蕉
『 山路きて 何やらゆかし すみれ草 』
季語:すみれ草
意味:山路を辿って歩いてきたら、すみれの花を見つけた。なんとも言えず、そのすみれの花を慕わしいものに思ったことだ
【NO.2】与謝蕪村
『 春の海 ひねもるのたり のたりかな 』
季語:春の海
意味:空はうららかに晴れ渡って、春の海には波がゆるやかにうねりを描いて、1日中のたりのたりと寄せては返している
【NO.3】小林一茶
『 我と来て 遊べや親の ない雀 』
季語:親のない雀
意味:親とはぐるや一羽で遊ぶ寂しそうな子すずめよ、母を亡くした私はお前と同じだ。こちらへ来て一緒に遊ぼうじゃないか
夏の有名俳句【おすすめ3選】
【NO.1】松尾芭蕉
『 五月雨を 集めてはやし 最上川 』
季語:五月雨
意味:梅雨の雨(さみだれ)が最上川へと流れ込んで水かさが増し、危険なほどに流れが早くなっていることだ
【NO.2】与謝蕪村
『 五月雨や 大河を前に 家ニ軒 』
季語:五月雨
意味:五月雨が何日も降り続いて、勢いを増した大きな川が激しく流れている。その川のほとりに家がニ軒、寄り添ってぽつりと建っている
【NO.3】橋本多佳子
『 乳母車 夏の怒涛に よこむきに 』
季語:夏
意味:高波が押し寄せる夏の海のほとりに、乳母車が放っておかれている
秋の有名俳句【おすすめ3選】
【NO.1】正岡子規
『 すさまじき 雲の走りや 秋の空 』
季語:秋の空
意味:あぁ、もう夏も終わりだなぁ。空に浮かぶ雲は、もう秋の空だ
【NO.2】夏目漱石
『 静なる 病に秋の 空晴れたり 』
季語:秋
意味:自分は今病に倒れて静養しているが、秋晴れの清々しい空が広がっている
【NO.3】高浜虚子
『 秋雲は 老の心に さも似たり 』
季語:秋雲
意味:秋の空にうっすらと浮かぶ白い雲は、老の心に似ているなぁ
冬の有名俳句【おすすめ3選】
【NO.1】杉田久女
『 雪道や 降誕祭の 窓明り 』
季語:雪道
意味:美しい雪道だ。家でクリスマスを祝っているのだろうか、窓明かりが見える
【NO.2】正岡子規
『 八人の 子供むつまし クリスマス 』
季語:クリスマス
意味:8人の子どもたちが仲睦まじくクリスマスを過ごしている
【NO.3】山口誓子
『 ずり落ちず 聖樹に積みし 綿雪は 』
季語:綿雪
意味:クリスマスツリーに積もっている綿雪はずり落ちることなくじっとしている
以上、俳句における四季の期間・季節の区切り方についてでした!