九州地方は博多や長崎、天草諸島、高千穂峡、阿蘇山など多くの歴史的な観光地を有しています。
近隣に住む学生の修学旅行先としても多く選ばれる場所です。
九州へ修学旅行へ行ってきたぜ😆
景色は綺麗し、食べ物はうまかったし、とても中身の濃い4日間やったと思う❗️楽しかったけど疲れたのでこれから2日間ゆっくりと休みます❗️ pic.twitter.com/acyRQac05L— ほしば (@hoshiba68661) July 4, 2017
5泊6日九州修学旅行〜✈️ ☀️ pic.twitter.com/b5nVwVeSj9
— フォローはずして🙏 (@xxyukaaax_18) December 1, 2016
今回は、「九州」を舞台に詠まれた俳句を20句ご紹介します。
九州を舞台に詠まれた有名俳句【10選】
【NO.1】正岡子規
『 長崎や 三味線提げて 墓参 』
季語:墓参(秋)
意味:長崎についた。三味線を掲げながら墓参りをしよう。
作者は何度か長崎に訪れていて、名産品などの紹介もしています。この時は三味線が好きだった知人の墓参りに訪れたのでしょうか。
【NO.2】橋本多佳子
『 長崎の 暗き橋ゆき 遠花火 』
季語:遠花火(秋)
意味:長崎の夜に暗い橋を渡っていると、遠くで花火が上がっている。
「遠花火」とは文字通り遠くで上げられた花火のことです。暗い橋と華やかな花火を対比させることで、より一層「暗き橋」が際立っています。
【NO.3】水原秋桜子
『 遠き灯は 島原城か 蛍狩 』
季語:蛍狩(夏)
意味:あの遠くに見える明かりは島原城だろうか。蛍狩りの夜だ。
「島原城」とは江戸時代に築城された城で、島原の乱の原因になったと言われる松倉重政の居城でした。現在は凄惨な乱の面影はなく、蛍狩りで遊ぶ人たちでにぎわっているという対比になっています。
【NO.4】高浜虚子
『 天草の 島山高し 夏の海 』
季語:夏の海(夏)
意味:夏の海に浮かぶ天草の島や山はかなり高いなあ。
天草地方では、「天草松島」と呼ばれる点在する島の風景を楽しめる場所があります。この句はその天草松島を見たのでしょうか、海辺から見る島は山のようにそびえているなぁという風景の美しさを称賛している句です。
【NO.5】中村汀女
『 薺(なずな)摘む 頬にしたがへる 雪の阿蘇 』
季語:薺(新年)
意味:ナズナを摘んでいる頬に、まるで従えているように雪の阿蘇山が後ろにいる。
薺は春の七草の1つで、「若菜摘」という行事にもなっています。後ろにまだ雪深い阿蘇山がそびえていますが、真剣にナズナを摘んでいる人に従っているように見えると面白がっている句です。
【NO.6】夏目漱石
『 駄馬つづく 阿蘇街道の 若葉かな 』
季語:若葉(夏)
意味:荷物を運ぶ馬の列が続いている。阿蘇の街道には初夏を告げる若葉が芽吹いているなぁ。
「駄馬」は最近は見かけなくなりましたが、荷物を運搬する馬のことを指しています。若葉が美しい街道に、列になった馬たちが続いている長閑な光景を詠んだ句です。
【NO.7】水原秋桜子
『 開聞岳 薫風あそぶ 雲もなし 』
季語:薫風(夏)
意味:開聞岳には、初夏の若葉の香りのする穏やかな風が吹いている。雲もない良い天気だ。
「薫風」とは、初夏の若葉や青葉の香りを含んだ穏やかな風のことで、「風薫る」とも詠まれます。開聞岳は薩摩半島の最南端に位置する円錐状の山で、南薩摩のシンボルにもなっている美しい山です。
【NO.8】種田山頭火
『 霧島は 霧にかくれて 赤とんぼ 』
季語:赤とんぼ(秋)
意味:霧島連山は、霧に隠れてしまっている。近くを飛ぶ赤とんぼしか見えない。
この句は作者が九州を巡っている最中に詠まれた句です。日記によると前日は霧島連山がよく見える良い天気だったそうですが、次の日には霧に隠れてしまった山の天気の移り変わりがわかる句です。
【NO.9】水原秋桜子
『 桜島 とどろき噴けり 旧端午 』
季語:端午(夏)
意味:桜島が轟いて噴煙を吹き上げている旧暦の端午の節句の日だ。
昭和43年の桜島の噴火に居合わせた時の句です。5月29日に噴火していて、旧暦ではちょうど端午の節句の日でした。
【NO.10】阿波野青畝
『 春暁の 雲とびとびや 櫻島 』
季語:春暁(春)
意味:春の暁の空に雲がとびとびに見えている桜島だ。
春の夜明けの空に、朝日を受けた雲が散っている幻想的な風景です。桜島も影として見え始める時間帯のため、まるで写真のような一句になっています。
九州を舞台に詠まれた学生向け一般俳句【10選】
【NO.1】
『 秋空に 高くそびえる 阿蘇五岳 』
季語:秋空(秋)
「阿蘇五岳」とは阿蘇山を構成する根子岳・高岳・中岳・烏帽子岳・杵島岳の5つの山です。阿蘇山は単峰の山ではなく、多くの山の総称として呼ばれています。
【NO.2】
『 秋もよう 染まりつつある 高千穂峡 』
季語:秋(秋)
紅葉によって秋の色に染まりつつある高千穂峡を詠んだ句です。高千穂峡は宮崎県と熊本県の一部を流れる五ヶ瀬川の渓谷で、天孫降臨伝説のある地域にあります。
【NO.3】
『 原爆で 真っ赤に燃えた 夏の空 』
季語:夏の空(夏)
長崎は1945年8月9日に原子爆弾を落とされた地です。旧暦では8月は秋に分類されますが、現代の感覚では真夏のため、季語が夏になっています。
【NO.4】
『 晴天に 秋風そよぐ 草千里 』
季語:秋風(秋)
阿蘇山麓には多くの牛が放牧されており、千里も続く草原に例えています。晴れた青空に涼しい風、一面の緑と絵画のような一句です。
【NO.5】
『 青空に 勇ましく立つ 熊本城 』
季語:無季
熊本城は15世紀に築城されて以来、加藤清正や細川忠利など名だたる武将の居城でした。西南戦争の舞台にもなっており、今もなお「勇ましく」と評されるに相応しい威容を保っています。
【NO.6】
『 雨の中 平和を思う 長崎で 』
季語:無季
かつての戦争で焼け野原になった長崎の地で、平和を祈っている俳句です。長崎県にある平和公園での一コマでしょうか。
【NO.7】
『 秋桜が 風にゆれる 阿蘇の町 』
季語:秋桜(秋)
熊本県の阿蘇地方では、牧場や公園などに多くのコスモスが植えられています。秋の青空の下にある白やピンクのコスモスの花畑が浮かんでくるようです。
【NO.8】
『 長崎の 夜景がとても きれいだな 』
季語:無季
長崎の稲佐山から見る夜景は、日本三大夜景の1つと言われているほど美しいものです。稲佐山は標高333mですが、周囲に遮るものがないため大パノラマで見渡せます。
【NO.9】
『 秋空に 特攻隊よ さようなら 』
季語:秋空(秋)
鹿児島県には知覧基地や鹿屋基地など、かつて特攻隊が出撃した基地が多くあります。知覧の平和会館や鹿屋の航空基地史料館では多くの資料が展示されていて、資料館から外に出たときの秋の空に想いを馳せている一句です。
【NO.10】
『 特攻隊 命の数だけ 華が咲く 』
季語:無季
「華」が指しているものが植物の花なのか、花火のような例えなのかどちらの解釈にも取れる一句です。特攻隊員が多く出撃していった知覧では、慰霊のための花火が毎年打ち上げられています。
以上、九州を舞台に詠まれた俳句集でした!
今回は、九州を舞台に詠まれた有名な俳句とオリジナル俳句を10句ずつ紹介してきました。
題材に詠まれる場所によって街並みや草原などさまざまな風景があるほか、平和を祈る俳句も多く作られるのが九州の魅力です。
九州を訪れる際は、風景を見て感じた言葉でぜひ一句詠んでみてください。