日本では、旧暦の7月を「文月(ふみづき)」と呼び、現在では新暦の7月の別名としても用いられています。
「7月」の中旬頃には梅雨も明け、少しずつ夏らしい気候に変わっていきます。
7月に入って夏らしくなってきた、暑いっっ>_<;
そして子ども達のサッカーも熱いっっ!!この暑さのなか、よぉ走ってるわ。。尊敬するぜーー( *`ω´)b pic.twitter.com/Qw3RlWfGiF— はるすけ (@nakimushi007) July 3, 2016
長く続く雨でいつもどんよりとしていた空も、すっきりと晴れ渡り、青空が見えることでしょう。「7月」と聞いて、皆さんはどのような風景を想い浮かべるでしょうか。
今回は、「7月」の季語を使用したオススメ俳句作品を30句紹介していきます。
7月の季語を使ったオススメ俳句作品【前編10句】
【NO.1】
『 夏燕 駅から空へ 飛んでゆく 』
季語:夏燕(夏)
「夏燕」とは夏に見かける燕のことです。夏の時期は燕にとって、子育ての時期になります。作者が駅で見た燕は、まさに子育て中だったのでしょう。駅から空へ飛び立ち、子どもたちのために餌を探しに行ったのかもしれませんね。幸せのシンボルともいわれる燕の愛情あふれる姿に、ほっこりした気持ちになります。
【NO.2】
『 水遊び ぼくの顔中 水びたし 』
季語:水遊び(夏)
夏といえば水遊び。思いっきり夏を楽しんでいる作者の姿が目に浮かびます。「水びたし」になっても、それが楽しくて笑顔いっぱいで遊んでいる光景が想像できます。
【NO.3】
『 指先の 天道虫は もういない 』
季語:天道虫(夏)
作者の指先にとまった天道虫。さて、このあとどうするのかしら?と、じっと天道虫の動きを観察している作者の姿が想像できます。「もういない」という言葉から、あっという間に飛んでいってしまい、残念な気持ちになっている作者の想いがとてもよく伝わります。
【NO.4】
『 夕立の 過ぎ去り空の 青きこと 』
季語:夕立(夏)
短時間に凄まじい勢いで降る夕立。突然やってきて、あっという間に過ぎ去ってしまった様子がとても上手に表現されています。「青きこと」という言葉から、空ががらりと変化し、美しく澄み渡る光景が想像できます。
【NO.5】
『 自転車で 夕日追いかけ 夏の海 』
季語:夏の海(夏)
自転車で夕日を追いかける作者。映画のワンシーンのような光景ですね。一生懸命自転車をこいでもこいでも追いつくことができない夕日。汗いっぱいになりながら夕日を見つめる作者の姿が目に浮かびます。
【NO.6】
『 夏の朝 光が顔に つきささる 』
季語:夏の朝(夏)
朝からとても強く照らす夏の日差し。顔に「つきささる」ような強い日差しに思わず目をつぶってしまうことでしょう。「つきささる」という表現がとても良く、光景を上手に表現しています。
【NO.7】
『 夏の海 もぐってかいがら みつけたよ 』
季語:夏の海(夏)
夏休みに海に遊びに行ったのでしょう。海にもぐって貝がらひろいをした時の様子を詠んでいます。「みつけたよ」という言葉がとても可愛らしく、心が癒される一句です。
【NO.8】
『 金魚すくい 名前考え 帰る道 』
季語:金魚(夏)
夏祭りで金魚すくいをした帰り道の様子を詠んでいます。金魚をすくい、大切に待ち帰りながら名前を考える作者。きっと、しっかりとお世話をして大切に金魚を育ててくれることでしょう。さて、金魚はどのような名前になったのか、気になりますね。
【NO.9】
『 足首の 日焼けの跡に 合わせ履く 』
季語:日焼け(夏)
夏ならではの、足首の靴下焼け。暑い夏に負けずに、一生懸命部活や勉強を頑張った証です。でも、くっきりと跡がついているのはやはり恥ずかしいものですよね。「日焼けの跡に」合わせて履く、健気な姿にほっこりします。
【NO.10】
『 虹見えて 嬉しい午後の 授業中 』
季語:虹(夏)
ランチタイムを経て、午後の授業は少々眠くなってしまう時間ですよね。そのような時間に見えた美しい虹。「嬉しい」という作者の素直な想いがそのまま表現されています。頑張って授業を受けている作者へのプレゼントかもしれませんね。
7月の季語を使ったオススメ俳句作品【中編10句】
【NO.11】
『 氷水 カラカラならし いっき飲み 』
季語:氷水(夏)
猛烈な暑さの夏。氷水の氷が解ける間もなく、あっという間に「いっき飲み」する作者。夏の暑さをとても上手に表現しています。「カラカラならし」という表現がとても良いアクセントになっているように思います。
【NO.12】
『 夕立に こもって響く 五時の鐘 』
季語:夕立(夏)
突然降りだした激しい雨。凄まじい勢いの雨の音は、街中に響く「五時の鐘」をかき消してしまうほどの勢いであることが、とてもよく伝わります。「こもって響く」という言葉がとても良いです。
【NO.13】
『 夏の夜 輝き放つ りんごあめ 』
季語:夏の夜(夏)
夏祭りの定番、りんごあめ。シロップや飴等でコーティングされたりんごは、より美しく見えますね。「輝き放つ」という言葉から、祭りの明かりに照らされたりんごあめが、さらに輝いて見える光景が想像できます。
【NO.14】
『 うやむやを 飛ばしてほしい 扇風機 』
季語:扇風機(夏)
作者は何か悩み事を抱えているのでしょうか。頭の中にいるもやもやした悩みを、勢いよく吹き飛ばしてほしい!そのような作者の想いがとてもよく伝わります。じっと作者を見つめながら回る扇風機、作者のことを心配しているかもしれませんね。
【NO.15】
『 太陽を 目指して伸びる ミニトマト 』
季語:ミニトマト(夏)
太陽の光を受けて、ぐんぐん成長するミニトマト。太陽を目指して、上へ上へと伸びていくミニトマトの様子がとても上手に表現されています。赤い色が太陽に照らされて美しく輝いている光景が目に浮かびます。
【NO.16】
『 授業中 耳にひびくよ セミの声 』
季語:セミ(夏)
夏といえばセミですね。授業中、外から聞こえるセミの声は、先生の声をかき消してしまうくらい元気いっぱいかもしれませんね。「耳にひびく」セミの声に、夏を感じていることでしょう。
【NO.17】
『 金魚の尾 水辺にゆれる 花のよう 』
季語:金魚(夏)
ひらひらと舞っているかのように優雅に泳ぐ金魚の姿を詠んでいます。「花のよう」という表現が素晴らしいです。金魚の美しい姿をとても上手に表現しています。
【NO.18】
『 かき氷 色とりどりに 光ってる 』
季語:かき氷(夏)
かき氷は、さまざまな味があり、とても色鮮やかですよね。削られた氷とカラフルなシロップが、それぞれきれいに光っている光景が目に浮かびます。夏ならではの美しい光景ですね。さて、どのかき氷にしようかな?迷ってしまいますね。
【NO.19】
『 カーラジオ 虹が見えると 教えられ 』
季語:虹(夏)
車を運転していると聞こえてきた「虹」の情報。少し寄り道をして、虹が見えるところまでドライブしたのではないでしょうか。素敵なお知らせに、心が和みます。
【NO.20】
『 咲いている 個性豊かな 花火かな 』
季語:花火(夏)
色鮮やかで美しい花火の様子をとても上手に表現しています。「咲いている」という表現が素晴らしく、大きく打ちあがったきれいな花火が目に浮かびます。色とりどりに咲く花火が持つ個々それぞれの「個性」。全てが美しく、素敵に輝いていますね。
7月の季語を使ったオススメ俳句作品【後編10句】
【NO.21】
『 水鉄砲 距離を競いし 夏休み 』
季語:夏休み(夏)
水鉄砲を飛ばす距離を競っている様子を詠んでいます。夏休みを利用して、友人同士で遊んでいる様子がよくわかる句です。誰が一番遠くまで飛ばせるかはやし立てる声が聞こえてくるようです。
【NO.22】
『 かき氷 焼きトウモロコシ スイカ割り 』
季語:かき氷(夏)、スイカ割り(夏)
かき氷、焼きとうもろこし、スイカ割りと聞くと、夏休みのお楽しみメニューだと気がつくでしょう。屋台で食べるかき氷や焼きとうもろこし、みんなで遊ぶスイカ割りなど、楽しくて美味しいことに期待している一句です。
【NO.23】
『 朝顔市 タピオカ屋台に 列出来て 』
季語:朝顔市(夏)
朝顔市に来たら、タピオカの屋台に列ができていたという笑い話を詠んだ句です。本命の朝顔は売れていたのでしょうか。それともみんなタピオカに夢中だったのでしょうか。
【NO.24】
『 夏祭り 去年と変わらぬ 飴飾り 』
季語:夏祭り(夏)
夏祭りの屋台で売られていた飴飾りが、去年と変わらない出来栄えであることに感嘆しています。可愛らしい飴飾りはつい買ってしまいたくなりますよね。作者は飴飾りを買ったのか気になるところです。
【NO.25】
『 夏の星 そらのことばよ ものがたり 』
季語:夏の星(夏)
夏の星は空の言葉と物語だと詠んでいます。これは夏の星座にはそれぞれ神話があることを表していて、星々は神話という物語を語るための言葉だと例えた一句です。
【NO.26】
『 白玉を 掬(すく)ふ小網の 銀の色 』
季語:白玉(夏)
白玉を掬う小さなお玉の銀の色を詠んだ句です。白玉は江戸時代から砂糖水と共に売られていたので、当時に思いを馳せているのかもしれません。涼し気な色合いが夏にぴったりの一句です。
【NO.27】
『 花火果て 天地が直る 川景色 』
季語:花火(秋)
花火が終わって、天と地が光や煙に覆われていたのが収まった川の景色を詠んでいます。あれほど光と煙であふれていた場所が、あっという間に元通りの川に戻った寂しさを感じる句です。
【NO.28】
『 こんなにも 美味しかったかと 西瓜食む 』
季語:西瓜(秋)
こんなにもスイカは美味しかったかと食べている様子を詠んだ句です。特別美味しいスイカだったのか、喉が渇いていておいしく感じたのか、どちらでも解釈できます。
【NO.29】
『 浜風の ホームで汗を 拭いてをり 』
季語:汗(夏)
浜風の吹くホームで汗を拭いている様子を詠んでいます。風が吹くため多少涼しいものの、それでも汗が止まらない猛暑を感じさせる句です。夏のじりじりとした暑さが感じ取れるような表現になっています。
【NO.30】
『 箱眼鏡 覗けば夏の 口開けよ 』
季語:夏(夏)
箱眼鏡で海の中を覗けば夏が口を開けて歓迎していると詠んでいます。箱眼鏡は箱型の海の中を見る道具で、海の中の様子がよく見えるため作者には夏の象徴になっているのでしょう。
以上、7月に関するオススメ俳句作品でした!
夏の始まりである「7月」。梅雨が明け、いよいよ夏本番の暑さがやってくる頃、子どもたちにとって待ちに待った夏休みがやってきます。
さまざまな楽しい予定を組んでいる人もいれば、夏期講習等勉強メインの人、最後の大会に向けて部活動に励む人。個々それぞれ、いろいろな「夏」の過ごし方があることでしょう。
夏の思い出を是非、17音にのせてみてください。思いがけず、素敵な俳句がたくさんうまれるかもしれませんね。