日々の情景、四季折々の自然、喜怒哀楽の感情を十七文字で表す「俳句」。
日本を代表する伝統文化の一つで、現代においても子どもからお年寄りまで多くの人々に愛され親しまれています。
初めてプレバトを見て感動したので、酒場で俳句を作ってみた
夏井先生に怒られる?#haiku #酒場で俳句 pic.twitter.com/ZDeglyI7wc— ☽︎︎⋆̩野菊お酒と料理 (@nogiku_hashigo) February 17, 2019
日常で親しむ程度であれば気にしなくても良いですが、実は俳句には細かいルールが定められており、上達するためには基本的な知識と作句のルールをきちんと把握しておく必要があります。
今回は、その中でも主に「ゃ・ゅ・ょ・っ・ー」の使い方やルールについて解説していきます。
目次
俳句の小さい文字「ゃ•ゅ•ょ•っ」のルールや使い方
促音(そくおん)「っ」
「知っている」や「月謝(げっしゃ)」などの小さな「っ」で表記される音を「促音」と言います。
促音は母音こそないですが、一音として数えます。
例として、この句を使って「っ」の読み方を解説していきます。
この句を全てひらがなにすると「めいげつを とってくれろと なくこかな」になります。
- 「めいげつを」・・・五音
- 「とってくれろと」・・・七音(「っ」も一音として数える)
- 「なくこかな」・・・五音
よって、合計一七音となり、五七五の形式に当てはまります。
拗音(ようおん)「ゃ•ゅ•ょ」
「曲(きょく)」や「今日(きょう)」などの「きゃ」「きゅ」「きょ」「くゎ」で表記される音は「拗音」と言います。
このように二字のかなで表されている音は、一音として数えます。
例として、以下の句を使って「ょ」の読み方を解説していきます。
「夏の蝶 日かげ日なたと 飛びにけり」/高浜虚子
この句を全てひらがなにすると「なつのちょう ひかげひなたと とびにけり」になります。
- 「なつのちょう」・・・五音(「ちょ」は一音で数える)
- 「ひかげひなたと」・・・七音
- 「とびにけり」・・・五音
よって、合計一七音となり、五七五の形式に当てはまります。
促音と拗音の違いは、五七五などの定型詩の詩を作る際、一定のリズムを取るために必要な知識だから、しっかり覚えておこうね!
俳句の伸ばし棒「ー」のルールや使い方
「ビール」の「ー」のように、長く伸ばす音のことを「長音」と言います。
長音は、音数として1音に数えるため、以下のように「ビール」は3音の単語になります。
一杯が(5) うましと思ふ(7) ビールかな(5)
「!」や「?」のルールや使い方
俳句で使用する「!」「?」というような記号は、読んでも読まなくてもよい事になっており、作者がどう使用するかによって読む・読まないが決まります。
発音せず使用する場合は、感嘆符・疑問符の意味合いを、俳句に付け加えるといった働きがあります。
俳句の中では比較的に自由な位置付けにされているため、若者が作るような現代的な俳句に使用されることも増えてきています。
小さい文字を使った俳句3選
「梅雨空にジャズの流れて夢二の画」/石倉三郎
「ジャズ」や「夢二の画」という聴覚、視覚に対する描写を多く盛り込んでおり、読者の想像を掻き立てる句です。
この句の季語は夏の季語である「梅雨空」で全体の音も一七音にまとめられており、俳句の基本に忠実な句であるといえます。
「白南風に揺れ干すシャツのバニラの香」/向井慧(パンサー)
作者の向井さんは、歳時記で夏の季語を勉強していた時に見つけた「白南風」という梅雨明けの爽やかな風を指す言葉から、更衣の際に干していたシャツに付いた柔軟剤のバニラの香りを思い出して詠んだ句だ、と語っていました。
この句の季語は夏の季語である「白南風(しろはえ)になり、またこの逆を意味する「黒南風(くろはえ)」という季語も存在します。
「寒晴れの雑踏に溶けるモーツァルト」/髙田万由
作者の高田さんは、晴れた日の雑踏で店内からモーツァルトのBGMが聞こえるが、人があまりにもワサワサと動くためうっすらとしか聞こえない、そのような状況を詠んだ句であると説明していました。
この句の季語は冬の季語である「寒晴れ」になります。
また、「モーツアルト」ではなく「モーツァルト」と表記することによって、意図的に五音の響きに収めています。
伸ばし棒を使った俳句3選
「テーブルに君の丸みのマスクかな」/村上健志(フルーツポンチ)
触れたいけど触れられない、外して丸みの形を残しているマスクに思いを馳せた一句です。
作者の村上さんは、思いを寄せていた女性がデートか何で席を外して行ってしまった際に、テーブル上の眼前のマスクでいない人が余計に浮かび上がり、冬の寂しさと重なる、そのことについて詠んだ句だと語っていました。
季語は冬の季語である「マスク」で全体の音も一七音にまとめられてており、俳句の基本に忠実な句であるといえます。
「夏の雲サイドミラーにひしめきぬ」/丘みどり
作者の丘さんは、人で混み合っているお盆のサービスエリアで「飲み物を買いに行こうかな」と出ようとした時、ふとサイドミラーに映ったたくさんの雲を見て夏だなと感じた、その時にできた句だと語っています。
この句の季語は夏の季語である「夏の雲」で、句の中に「ひしめく」という動詞を入れることよって、夏の雲の勢い伝わりやすくなっています。
「ガンジーのような足が出る砂日傘」/立川志らく
作者の立川さんは、パラソルから男とも女とも分からない足が出ておりガンジーの足のように見え、すごく微笑ましく平和に感じたことを詠んだ句だと語っていました。
この句の季語は夏の季語である「砂日傘(ビーチパラソル)」で、あえて五七五の構成にしないことで夏の疾走感を演出しています。
さいごに
ある程度の数の俳句を詠み終えたら、次は俳句を上達させるためのコツや表現の工夫などを取り込んでレベルアップに挑戦してみましょう。
俳句を読むときは肩の力を抜き、自然体のまま、目の前の情景を表現するように心がけることが大切です。
また、俳句は日常に根ざした文化になりますので、身近なものから外へ目を向けていく好奇心も必要とされます。