【かっこいい俳句 40選】春・夏・秋・冬!!季語を含むおすすめ一般俳句作品を紹介!

 

最近は、テレビ番組の影響もあり話題急上昇中の「俳句」。

 

五七五の17音に込められた想いは、くすっと笑える面白いものや切ない恋心など、共感できる作品が数多く詠まれています。

 

 

今回は老若男女問わず俳句を趣味にしている方の作品や学校の授業で詠んだ俳句など、一般の方が詠んだ思わず「おっ!」と目を引く『かっこいい俳句』を季節ごとに紹介していきます。

 

リス先生
ぜひお気に入りの俳句を探してみてね!

 

春に詠まれたかっこいい俳句【10選】

 

寒かった冬が終わり、いよいよ春の到来です。春は何かと新しいことが始まる季節でもあります。

 

ここでは、そんな春を詠んだかっこいい俳句を厳選してご紹介します。

 

【NO.1】

『 やまとうた 嗣ぐ裔はるの 鳥も吾も 』

季語:はる(春)

意味:大和歌を受け継いで今に至る、鳥も私もね。

俳句仙人
大和歌を「嗣ぐ」という意志表現がかっこいい一句です。下五「鳥も吾も」で、鳥と自分を並列に表現しているところがなんだか楽しいですね。

【NO.2】

『 春の水 羅漢うつとり 足ひたし 』

季語:春の水(春)

意味:羅漢をうっとりと眺め、春の水に足を浸す。

俳句仙人
「羅漢」という言葉を使うことで、目の前に広がる情景を具体的にイメージすることができます。「羅漢」という荘厳な彫像をうっとりと眺め、そして「足ひたし」という実景もあり、なんだかかっこいい一句です。

【NO.3】

『 サイネリア 問い詰められて 空瓶に 』

季語:サイネリア(春)

意味:目をそらすとそこには色鮮やかなサイネリア。問い詰められ、無になる僕…。

俳句仙人
色彩が豊かで、花びらはビロード状に艶やかな花、サイネリア。その花の近くで、恋人に何かを問い詰められている自分のことを詠んでいます。返す言葉もなく、無(空瓶)になっている状況が思い浮かびませんか?「サイネリア」という響きがかっこいい一句です。

【NO.4】

『 この窓は 銀河のほとり ヒヤシンス 』

季語:ヒヤシンス(春)

意味:この窓は、きっと銀河のほとり。そんな銀河のほとりに、このヒヤシンスはあるよ。

俳句仙人
窓の外をみて、今自分がいる場所を「銀河のほとり」と表現しています。とでも素敵な表現ですね。そして、その銀河のほとりにヒヤシンスが活けられています。色彩が豊かに描かれ、静かな大人の時間を連想させてくれますね。

【NO.5】

『 鐘霞む 銀河の果ても 遠のいて 』

季語:鐘霞む(春)

意味:鐘の音も霞むような陽気に、銀河の果ても遠のいてみえることだ。

俳句仙人
「鐘霞む」とは鐘の音も霞むほどのどかな陽気であることを示す季語です。銀河の輝きもこの陽気では遠のいてしまうという感想を抱いています。

【NO.6】

『 春の燈を 点せば闇の より深く 』

季語:春の燈(春)

意味:春の夜に明かりを点せば、夜の闇がより深く見える。

俳句仙人
「春の燈」とは春の夜につける明かりのことです。華やかさと同時により周囲の闇を深くする視覚効果を感じています。

【NO.7】

『 曇天に 花雪洞(ぼんぼり)を つけたしや 』

季語:花雪洞(春)

意味:曇り空を華やかにするために、夜桜見物のための雪洞を付けてしまいたいなぁ。

俳句仙人
「花雪洞」とは夜桜見物のときに付けられる提灯のことです。曇天で辺りが暗いため、華やかにするためにもう雪洞を付けてしまいたいとどこか愚痴めいた一句になっています。

【NO.8】

『 冴返る 日の靴音の 響きけり 』

季語:冴返る(春)

意味:春なのにまた寒さが返ってきた。そんな日の靴音はいつもより響いて聞こえる。

俳句仙人
「冴返る(さえかえる)」とは春になってもなお寒さがぶり返すことを表す季語です。寒さのためか空気が張り詰めたように感じ、靴音も響いていると詠んでいます。

【NO.9】

『 初雷に 夢の途絶へて 目覚めけり 』

季語:初雷(春)

意味:春になって初めての雷に、夢が途絶えて目が覚めてしまった。

俳句仙人
「初雷(はつらい)」とは立春の後に初めて鳴る雷のことです。突然の雷の音に驚き、夢から覚めてしまった様子を詠んでいます。

【NO.10】

『 春暁の 時は確かに 色を変へ 』

季語:春暁(春)

意味:春の暁の時間帯は確かに色を変えていく。

俳句仙人
この句は『枕草子』の「春はあけぼの」の様子を感じさせます。夜の闇かられ白くなっていく風景に紫の雲がたなびくとあるように、確かに色が変わっていくと実感している句です。

 

夏に詠まれたかっこいい俳句【10選】

 

生命の力がみなぎる夏。何かとイベントの多い夏は、なんだかかっこいい俳句もたくさんあります。

 

ここでは、夏をテーマとするかっこいい俳句を厳選してご紹介します。

 

【NO.1】

『 炎天下 悔し涙で にじむ白球 』

季語:炎天下(夏)

意味:炎天下の甲子園。敗退が決まり、涙で視界がぼやけたよ…。

俳句仙人
高校野球の1シーンが思い浮かびます。悔しくて、悔しくて、グラウンドに崩れ落ちる球児たちの様子が伝わってきます。

【NO.2】

『 汗ばむ手 気にする私に 「このまま」と 』

季語:汗(夏)

意味:暑さでつないだ手に汗をかく。手を離そうかどうか迷っている私に「このまま」という彼。

俳句仙人
ただでさえ暑い夏。つないだ手には汗がじっとり…。どうしよう、恥ずかしいなと思っている私に彼は、まっすぐ前を向いたまま一言「このまま」。ドラマのワンシーンのような瞬間ですね。「ぐっ」ときました。

【NO.3】

『 水たまり 落ちる青葉で 空ゆれる 』

季語:青葉(夏)

意味:水たまりに青葉が落ちてきて、水たまりに写っていた空が揺れたよ。

俳句仙人
水たまりに青葉が落ち、水面が揺れる様子を、水たまりに写っていた空が揺れると表現しているところにセンスを感じます。

【NO.4】

『 寄り道は あなたのためです 母の日の 』

季語:母の日(夏)

意味:寄り道をして帰るのは、今日が母の日だから。

俳句仙人
年頃になるとぶっきらぼうになる男子も、年に一度のこの日は「今日は母の日だから」と、素直になれるのでしょうか。母への思いが感じられる素敵な一句ですね。

【NO.5】

『 卯の花の 白雪のごとく 山染める 』

季語:卯の花(夏)

意味:卯の花が白雪のように山を白く染めているよ。

俳句仙人
卯の花は初夏を表す季語ですが、そんな卯の花を季節外れの白雪にたとえ、山が白く染まる様子を表現しています。清々しく、なんだかかっこいい感じのする一句です。

【NO.6】

『 明易や ひかりひとつの クレシェンド 』

季語:明易(夏)

意味:夏の夜は早く明けるなぁ。光がひとつのクレシェンドのように強調される。

俳句仙人
「明易(あけやす)」とは夏の夜が短くすぐに夜明けが来る様子を表す季語です。「ひかり」が何か明言されていませんが、早々に昇る太陽のことでしょう。

【NO.7】

『 空き寺や 卯の花腐し(くたし) 染むる木戸 』

季語:卯の花腐し(夏)

意味:空き寺があるなぁ。卯の花を腐らせてしまうような長雨が木戸に染みている。

俳句仙人
「卯の花腐し」とは5月から6月上旬の梅雨に先駆けて降る長雨のことです。誰も管理していない木戸に雨が染み込む自然の風景を詠んでいます。

【NO.8】

『 早乙女を 慕ふ風吹く 田一面 』

季語:早乙女(夏)

意味:早乙女を慕うように風が吹く一面の田んぼだ。

俳句仙人
「早乙女」とは田植えを行う女性のことで、かつては神事の1つでもありました。そんな早乙女たちを慕うように風が田んぼを吹き抜けていきます。

【NO.9】

『 五月闇 蛇口から滴る 何か 』

季語:五月闇(夏)

意味:梅雨が降る頃の夜の闇に、蛇口から何かが滴っている音がする。

俳句仙人
蛇口から滴るものといえば水滴ですが、ここでは先がよく見えない五月闇で分からないという様子を詠んでいます。「何か」を最後に持ってくることで、実は何かが潜んでいるのではという恐怖を感じる句です。

【NO.10】

『 炎昼の 足下には 地下街の息 』

季語:炎昼(夏)

意味:炎天下の昼間の足元には地下街が息をしているような風が吹いている。

俳句仙人
地下街の換気や空調のために風が出てくる場所を見かけることがあります。そんな場所を「地下街の息」と表現しているのが面白い一句です。

 

秋に詠まれたかっこいい俳句【10選】

 

続いて秋です。暑い夏が終わり、これから寒い季節へと移り変わっていくこの季節は、少し切なさを感じます。

 

それでは、秋をテーマにすっと心に染み入るかっこいい俳句をご紹介します。

 

【NO.1】

『 枝奥へ 重ね水面の 紅葉濃き 』

季語:紅葉(秋)

意味:奥の方へ、奥の方へと誘われるかのように伸びていく枝々に覆われた池は、真っ赤に染まる紅葉が一面に浮かんでいるよ。

俳句仙人
紅葉が美しい時期、山の奥の方へ、奥の方へと枝が伸びていく様子と、真っ赤に染まる紅葉が一面に浮かぶ古池が思い浮かびます。まるで紅葉のトンネルのようですね。難しい描写内容を五七五の17音によくまとめられたと思います。

【NO.2】

『 紅葉の 靴底厚き 旅のひと 』

季語:紅葉(秋)

意味:紅葉の時期、厚い靴底の靴を履いた明らかに旅人と思われる人が目の前を横切って行ったよ。

俳句仙人
リュックを背負い、厚い靴底の靴を履いたたくましい男性が紅葉の下を歩いていく様子を想像しました。たくましい背中であることと同時に、紅葉に誘われるかのように旅をする後ろ姿にどことなく郷愁を感じます。

【NO.3】

『 草の実の 男と女 ドナウ川 』

季語:草の実(秋)

意味:実りの秋になったものだなぁ。男と女のカップルがドナウ川の流れを見ているよ。

俳句仙人
実りの秋ともなると、草花は実を結び、自然は華やかな装いとなります。そんな秋も深くなったある日、ドナウ川沿いで肩を寄せ合う男女がドナウの流れを黙って見詰めています。対岸には古城がそびえているような情景が思い浮かびますね。

【NO.4】

『 天の河 馬の眼深く なりゆけり 』

季語:天の河(秋)

意味:空には天の川が美しい。秋の深まりとともに、馬の眼も深く澄んで来たようだ。

俳句仙人
天の川が馬の眼に映っているのかも知れません。馬の眼に映る天の川を見ていると、まるで宇宙の深淵を見ているような気がして「馬の眼深く」と表現しているのではないでしょうか。馬の眼の中に宇宙を暗示した巧みな句だと思います。

【NO.5】

『 ギター弾く 肘秋風に 愛さるる 』

季語:秋風(秋)

意味:繊細な指が奏でるギターの音。秋風が心地よく吹く中、愛されている実感を噛みしめている。

俳句仙人
「肘」という言葉から、ギターを奏でているのは、袖をまくり肘が出ている男性ではないかと思われます。男性が奏でるギターの音と心地よい秋風で、作者は愛ある日々を実感しているのではないでしょうか。

【NO.6】

『 友と天 取りに行く山 秋麗(あきうらら) 』

季語:秋麗(秋)

意味:友人と天を取りに行こうと赴く山だ。今日は秋のよく晴れた日である。

俳句仙人
「秋麗」は「しゅうれい」とも「あきうらら」とも読み、秋の穏やかな晴天を表す季語です。頂上に向かうことを「天を取る」と表現するユニークな一句になっています。

【NO.7】

『 忘れたか 枝に干涸ぶ 鵙の贄(もずのにえ) 』

季語:鵙の贄(秋)

意味:忘れてしまったのか、枝に干からびているモズの贄が見える。

俳句仙人
「鵙の贄」とはモズが枝に餌となる昆虫などを突き刺して置いておく習慣のことです。必ずしも食べに戻ってくるわけではなく、そのままになってしまっているものもあります。

【NO.8】

『 星月夜 皆で騒ぎし 声何処(いずこ) 』

季語:星月夜(秋)

意味:月がないのに星が明るい夜だ。かつてこんな夜に皆で騒いだ声は何処へいってしまったのだろうか。

俳句仙人
月がなく星の光がとても明るい夜を「星月夜」と表現します。この句ではかつての友人たちとの楽しいひとときを、夜空を見上げて懐かしんでいる句です。

【NO.9】

『 荒れる世に 弓張月が 闇を射る 』

季語:弓張月(秋)

意味:荒れている世に、弓張月が闇を射るように輝いている。

俳句仙人
「弓張月」とは弓を張っているように見える半月のことです。闇を射るように弓を構える月が世の中に睨みをきかせています。

【NO.10】

『 菊酒や 父の銀杯 星のいろ 』

季語:菊酒(秋)

意味:菊酒を飲んでいる。父の持っている銀の杯はまるで星のような色だ。

俳句仙人
「菊酒」は主に重陽の節句に飲まれる薬酒で、菊を漬け込んだお酒です。長寿を願って飲まれるお酒を星の輝きのような銀の杯で飲む父の姿を見つめています。

冬に詠まれたかっこいい俳句【10選】

 

1年の中で最も寒い冬。クリスマスや大晦日など、1年の中でも節目となる行事が多いのもこの季節です。

 

そんな冬をテーマに詠んだかかっこいい俳句を厳選してご紹介します。

 

【NO.1】

『 うまれたての 月上りけり 雪うさぎ 』

季語:雪うさぎ(冬)

意味:まるで生まれたてのような月を、雪うさぎが上っていくよ。

俳句仙人
白く輝く月を「うまれたて」と表現しているところと、雪うさぎの冷たく透き通るような存在が、とても美しい一句です。「けり」の使い方もかっこいいですね。

【NO.2】

『 流れくる ジャズに揺れるや 冬銀河 』

季語:冬銀河(冬)

意味:流れるジャズの音楽に身を任せ、空を見上げると冬銀河が広がっている。

俳句仙人
流れてくる音楽が「ジャズ」であることが、大人の雰囲気を醸し出しています。頭上には満天の星空が広がり、寒いながらも至福の時間が流れる様子が表現されています。

【NO.3】

『 ブランデー 多めの紅茶 冬星座 』

季語:冬星座(冬)

意味:ブランデーを多めに入れた紅茶を飲みながら、冬の星座を眺めよう。

俳句仙人
庭に出て、天頂の冬の大三角形を指で追う姿が目に浮かぶようです。薄く開けた家の窓からは、温かい家族の団欒とブランデーの香りが漂ってきます。

【NO.4】

『 水汲めば 仄かに濁り 枇杷の花 』

季語:枇杷の花(冬)

意味:水を汲むと、その水は仄かに濁ってしまう。あぁ、枇杷の花が美しいなぁ。

俳句仙人
枇杷の花のある静かな情景が描かれています。仄かに濁る冬の透き通るような美しい水が枇杷の花の可憐さを引き立てているように感じます。

【NO.5】

『 冬雲の 窓鳥籠の 青い鳥 』

季語:冬雲(冬)

意味:どんよりと曇った冬の空。窓には鳥籠がかかっている。中には青い鳥がいるよ。

俳句仙人
色彩感覚が巧みな一句です。窓から見える冬の雲の寒空と鳥の青さのバランスに心を惹かれます。

【NO.6】

『 四温晴 海を見に行く スニーカー 』

季語:四温晴(冬)

意味:今日は三寒四温の四温晴れ。スニーカーを履いて海に行ってみよう。

俳句仙人
少しだけ暖かい冬の日に、スニーカーを履いてどこかに出かけたい気分が伝わってきます。スニーカーは、やはり白。つかの間の暖かさとスニーカーの軽やかさが爽やかに表現されています。スニーカーに焦点を当てたことで、四温晴れの温かさと海の輝き、作者の心の弾みが、愉しく想像することができます。

【NO.7】

『 冬ざれよ 川の流れと 時の色 』

季語:冬ざれ(冬)

意味:冬になって枯れていった草木よ。川の流れが時の色を感じさせる。

俳句仙人
「冬ざれ」とは冬になって草木が枯れた様子を表しています。川の水量も季節によって変わるため、川岸の色と川の流れの違いを合わせて「時の色」と表現しているオシャレな句です。

【NO.8】

『 天狼よ 船漕ぎたちの 道標よ 』

季語:天狼(冬)

意味:天狼星よ、船を漕ぐものたちの道標よ。

俳句仙人
「天狼」とはおおいぬ座のシリウスを表す表現です。全天で最も明るいと言われるシリウスは、船乗りたちが方位を確かめるための道標になっていました。

【NO.9】

『 野を山を 錦に染めて 神の旅 』

季語:神の旅(冬)

意味:草原や山を錦に染めて神々が出雲へ旅立っていく。

俳句仙人
「神の旅」とは、神無月で神々が出雲へ旅立つという信仰から取られた季語です。神々が旅立つことを祝福して野山が錦に染まるという、美しい表現の句です。

【NO.10】

『 深呼吸 雪晴の日よ ひかり降る 』

季語:雪晴(冬)

意味:深呼吸しよう。雪が降ったあとの晴れの日は光が降ってくるようだ。

俳句仙人
「雪晴」とは雪の合間の晴れの日のことです。日差しで木の上の雪が解けて、キラキラと光る水滴となって落ちてきているのかもしれません。

以上、かっこいい俳句40選でした!

 

 

俳句仙人
今回は、かっこいい俳句作品をたくさん紹介してきました。
共感できるものや「なるほど!」と感心してしまうものまで、情景が目に浮かぶようで面白かったですね。
この機会にあなたもぜひ一句詠んでみてください。

リス先生
最後まで読んでくれてありがとう!

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