最近は、テレビ番組の影響もあり話題急上昇中の「俳句」。
五七五の17音に込められた想いは、くすっと笑える面白いものや切ない恋心など、共感できる作品が数多く詠まれています。
子供の俳句 笑える pic.twitter.com/6jv1LsUwan
— gogoturboman (@gogoturboman) September 29, 2018
今回は老若男女問わず俳句を趣味にしている方の作品や学校の授業で詠んだ俳句など、一般の方が詠んだ思わず「おっ!」と目を引く『かっこいい俳句』を季節ごとに紹介していきます。
春に詠まれたかっこいい俳句【10選】
寒かった冬が終わり、いよいよ春の到来です。春は何かと新しいことが始まる季節でもあります。
ここでは、そんな春を詠んだかっこいい俳句を厳選してご紹介します。
【NO.1】
『 やまとうた 嗣ぐ裔はるの 鳥も吾も 』
季語:はる(春)
意味:大和歌を受け継いで今に至る、鳥も私もね。
【NO.2】
『 春の水 羅漢うつとり 足ひたし 』
季語:春の水(春)
意味:羅漢をうっとりと眺め、春の水に足を浸す。
【NO.3】
『 サイネリア 問い詰められて 空瓶に 』
季語:サイネリア(春)
意味:目をそらすとそこには色鮮やかなサイネリア。問い詰められ、無になる僕…。
【NO.4】
『 この窓は 銀河のほとり ヒヤシンス 』
季語:ヒヤシンス(春)
意味:この窓は、きっと銀河のほとり。そんな銀河のほとりに、このヒヤシンスはあるよ。
【NO.5】
『 鐘霞む 銀河の果ても 遠のいて 』
季語:鐘霞む(春)
意味:鐘の音も霞むような陽気に、銀河の果ても遠のいてみえることだ。
【NO.6】
『 春の燈を 点せば闇の より深く 』
季語:春の燈(春)
意味:春の夜に明かりを点せば、夜の闇がより深く見える。
【NO.7】
『 曇天に 花雪洞(ぼんぼり)を つけたしや 』
季語:花雪洞(春)
意味:曇り空を華やかにするために、夜桜見物のための雪洞を付けてしまいたいなぁ。
【NO.8】
『 冴返る 日の靴音の 響きけり 』
季語:冴返る(春)
意味:春なのにまた寒さが返ってきた。そんな日の靴音はいつもより響いて聞こえる。
【NO.9】
『 初雷に 夢の途絶へて 目覚めけり 』
季語:初雷(春)
意味:春になって初めての雷に、夢が途絶えて目が覚めてしまった。
【NO.10】
『 春暁の 時は確かに 色を変へ 』
季語:春暁(春)
意味:春の暁の時間帯は確かに色を変えていく。
夏に詠まれたかっこいい俳句【10選】
生命の力がみなぎる夏。何かとイベントの多い夏は、なんだかかっこいい俳句もたくさんあります。
ここでは、夏をテーマとするかっこいい俳句を厳選してご紹介します。
【NO.1】
『 炎天下 悔し涙で にじむ白球 』
季語:炎天下(夏)
意味:炎天下の甲子園。敗退が決まり、涙で視界がぼやけたよ…。
【NO.2】
『 汗ばむ手 気にする私に 「このまま」と 』
季語:汗(夏)
意味:暑さでつないだ手に汗をかく。手を離そうかどうか迷っている私に「このまま」という彼。
【NO.3】
『 水たまり 落ちる青葉で 空ゆれる 』
季語:青葉(夏)
意味:水たまりに青葉が落ちてきて、水たまりに写っていた空が揺れたよ。
【NO.4】
『 寄り道は あなたのためです 母の日の 』
季語:母の日(夏)
意味:寄り道をして帰るのは、今日が母の日だから。
【NO.5】
『 卯の花の 白雪のごとく 山染める 』
季語:卯の花(夏)
意味:卯の花が白雪のように山を白く染めているよ。
【NO.6】
『 明易や ひかりひとつの クレシェンド 』
季語:明易(夏)
意味:夏の夜は早く明けるなぁ。光がひとつのクレシェンドのように強調される。
【NO.7】
『 空き寺や 卯の花腐し(くたし) 染むる木戸 』
季語:卯の花腐し(夏)
意味:空き寺があるなぁ。卯の花を腐らせてしまうような長雨が木戸に染みている。
【NO.8】
『 早乙女を 慕ふ風吹く 田一面 』
季語:早乙女(夏)
意味:早乙女を慕うように風が吹く一面の田んぼだ。
【NO.9】
『 五月闇 蛇口から滴る 何か 』
季語:五月闇(夏)
意味:梅雨が降る頃の夜の闇に、蛇口から何かが滴っている音がする。
【NO.10】
『 炎昼の 足下には 地下街の息 』
季語:炎昼(夏)
意味:炎天下の昼間の足元には地下街が息をしているような風が吹いている。
秋に詠まれたかっこいい俳句【10選】
続いて秋です。暑い夏が終わり、これから寒い季節へと移り変わっていくこの季節は、少し切なさを感じます。
それでは、秋をテーマにすっと心に染み入るかっこいい俳句をご紹介します。
【NO.1】
『 枝奥へ 重ね水面の 紅葉濃き 』
季語:紅葉(秋)
意味:奥の方へ、奥の方へと誘われるかのように伸びていく枝々に覆われた池は、真っ赤に染まる紅葉が一面に浮かんでいるよ。
【NO.2】
『 紅葉の 靴底厚き 旅のひと 』
季語:紅葉(秋)
意味:紅葉の時期、厚い靴底の靴を履いた明らかに旅人と思われる人が目の前を横切って行ったよ。
【NO.3】
『 草の実の 男と女 ドナウ川 』
季語:草の実(秋)
意味:実りの秋になったものだなぁ。男と女のカップルがドナウ川の流れを見ているよ。
【NO.4】
『 天の河 馬の眼深く なりゆけり 』
季語:天の河(秋)
意味:空には天の川が美しい。秋の深まりとともに、馬の眼も深く澄んで来たようだ。
【NO.5】
『 ギター弾く 肘秋風に 愛さるる 』
季語:秋風(秋)
意味:繊細な指が奏でるギターの音。秋風が心地よく吹く中、愛されている実感を噛みしめている。
【NO.6】
『 友と天 取りに行く山 秋麗(あきうらら) 』
季語:秋麗(秋)
意味:友人と天を取りに行こうと赴く山だ。今日は秋のよく晴れた日である。
【NO.7】
『 忘れたか 枝に干涸ぶ 鵙の贄(もずのにえ) 』
季語:鵙の贄(秋)
意味:忘れてしまったのか、枝に干からびているモズの贄が見える。
【NO.8】
『 星月夜 皆で騒ぎし 声何処(いずこ) 』
季語:星月夜(秋)
意味:月がないのに星が明るい夜だ。かつてこんな夜に皆で騒いだ声は何処へいってしまったのだろうか。
【NO.9】
『 荒れる世に 弓張月が 闇を射る 』
季語:弓張月(秋)
意味:荒れている世に、弓張月が闇を射るように輝いている。
【NO.10】
『 菊酒や 父の銀杯 星のいろ 』
季語:菊酒(秋)
意味:菊酒を飲んでいる。父の持っている銀の杯はまるで星のような色だ。
冬に詠まれたかっこいい俳句【10選】
1年の中で最も寒い冬。クリスマスや大晦日など、1年の中でも節目となる行事が多いのもこの季節です。
そんな冬をテーマに詠んだかかっこいい俳句を厳選してご紹介します。
【NO.1】
『 うまれたての 月上りけり 雪うさぎ 』
季語:雪うさぎ(冬)
意味:まるで生まれたてのような月を、雪うさぎが上っていくよ。
【NO.2】
『 流れくる ジャズに揺れるや 冬銀河 』
季語:冬銀河(冬)
意味:流れるジャズの音楽に身を任せ、空を見上げると冬銀河が広がっている。
【NO.3】
『 ブランデー 多めの紅茶 冬星座 』
季語:冬星座(冬)
意味:ブランデーを多めに入れた紅茶を飲みながら、冬の星座を眺めよう。
【NO.4】
『 水汲めば 仄かに濁り 枇杷の花 』
季語:枇杷の花(冬)
意味:水を汲むと、その水は仄かに濁ってしまう。あぁ、枇杷の花が美しいなぁ。
【NO.5】
『 冬雲の 窓鳥籠の 青い鳥 』
季語:冬雲(冬)
意味:どんよりと曇った冬の空。窓には鳥籠がかかっている。中には青い鳥がいるよ。
【NO.6】
『 四温晴 海を見に行く スニーカー 』
季語:四温晴(冬)
意味:今日は三寒四温の四温晴れ。スニーカーを履いて海に行ってみよう。
【NO.7】
『 冬ざれよ 川の流れと 時の色 』
季語:冬ざれ(冬)
意味:冬になって枯れていった草木よ。川の流れが時の色を感じさせる。
【NO.8】
『 天狼よ 船漕ぎたちの 道標よ 』
季語:天狼(冬)
意味:天狼星よ、船を漕ぐものたちの道標よ。
【NO.9】
『 野を山を 錦に染めて 神の旅 』
季語:神の旅(冬)
意味:草原や山を錦に染めて神々が出雲へ旅立っていく。
【NO.10】
『 深呼吸 雪晴の日よ ひかり降る 』
季語:雪晴(冬)
意味:深呼吸しよう。雪が降ったあとの晴れの日は光が降ってくるようだ。
以上、かっこいい俳句40選でした!
共感できるものや「なるほど!」と感心してしまうものまで、情景が目に浮かぶようで面白かったですね。
この機会にあなたもぜひ一句詠んでみてください。