【星に関する季語】種類や季節を理解しよう!!星空や星月夜•満天星など春夏秋冬別にわかりやすく解説

 

星は季節ごとに多くの季語を持つ「天文現象」です。

 

星の季語は、「星」や「星空」のように単語単体では季語になることはなく、必ず季節を表す言葉(春夏秋冬)が必要になります。

 

 

また、星に関する季語は特定の星やその星が見られる時期の現象などもあり、さまざまな季語があるのも特徴です。

 

 

今回は、星に関する季語を春夏秋冬別にたくさん解説していきます。

 

俳句仙人

ぜひ参考にしてください。

 

星に関する季語【例・一覧】

 

星は四季を通じて見えるため、さまざまな季語が作られました。中ではあまり聞きなれない単語や、現在の感覚では季節が違って間違えそうなものもあります。

 

以下に星や星に関連するもの、星に例えられるものなど、星に関する季語の一例を挙げていきます。

【春の季語】春の星・星朧・春星・酒星・春北斗・船星・満天星の花・天南星の花

【夏の季語】夏の星・星涼し・豊年星・赤星・梅雨の星・麦星・麦熟れ星・旱星・鯛釣り星

【秋の季語】秋の星・星明かり・白鳥座・秋北斗・星月夜・流れ星・星飛ぶ・星走る・夜這星・七夕・二つ星・天の川・銀河・銀漢・雲漢・碇星

【冬の季語】冬の星・凍星・星冴ゆる・荒星・冬星座・オリオン・三つ星・酒升星・冬銀河・星の入東風・寒星・枯木星・寒昴・六連星・天狼・青星

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次に、これらの季語の中から特に知っておきたい季語をピックアップしてご紹介します。

 

星に関する季語【春編】

春の星

春の空は空気が湿度を含み始めるため、霞んだように見えるのが特徴です。

 

「春の星」は季語として「星朧」とも呼ばれますが、どこか潤んだようなあたたかい光を放つのが特徴とされます。

 

酒星

酒星とはしし座の右下、大鎌と呼ばれる部分の柄にあたる縦に並んだ3つの星のことです。

 

一等星レグルスがあるため見つけやすい部分になっています。

 

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中国の詩人である李白が酒店の旗に例えて詩を詠んだことで有名になりました。

 

春北斗

春北斗とは、春の北斗七星のことです。

 

北斗七星は季節によって夜に見える形と位置が変わりますが、春の北斗七星は北の空高くにのぼり、見つけやすい星座です。

 

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また、ひしゃくにあたる部分が上をむいていて船に見えるため、「船星」も春の北斗七星を表す季語になります。

 

満天星(どうだん)の花

「満天の星空」は季語にはなりません。

 

俳句で「満天星」と使うとドウダンツツジという春の花になります。

 

中国の故事から由来が取られ、花が満天の星に見えたことからこの漢字が当てられました。

 

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「どうだん」という読みは、最初は燭台を意味する「とうだい」という言葉が変化して「どうだん」と読まれるようになったと言われています。

 

天南星(てんなんしょう)の花

天南星の花はサトイモ科の花で、4月から6月に花をつけます。

 

「天南星」の由来はりゅうこつ座のカノープスからきていて、カノープスは中国では南極老人星と呼ばれていました。

 

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根を漢方薬に使うため、丸く白い根の形がカノープスに例えられて「天南星」と名付けられた植物です。

 

星に関する季語【夏編】

夏の星

「夏の星」は暑い日中と比べて涼しい夜を感じさせるため、「星涼し」とも詠まれます。

 

星の輝きに涼しさを見出したり、暑い昼が終わって一息ついたりする際によく使われる季語です。

 

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旧暦では4月から6月までが夏になるため、七夕や天の川は含まれないことに注意しましょう。

 

梅雨の星

梅雨は常に雨か曇り空でなかなか星が見られませんが、雲の晴れ間に見える星のことを意味します。

 

また梅雨晴れの日の夜空の星も表しますが、めずらしい星空のため「夏の星」よりも星が見えたことへの感動が強い季語です。

 

麦星

麦星は、うしかい座のアークトゥルスのことを意味する季語です。

 

アークトゥルスは春の大三角の1つとして知られている一等星ですが、ちょうど麦の収穫時期をむかえる頃に天頂高くのぼるため、麦星という夏の季語になっています。

 

旱星(ひでりぼし)

旱星は、雨が降らない日照り続きの夏の夜に見える星のことです。

 

一般的には暑さを思わせる赤い色をしているさそり座のアンタレスや火星を表します。

 

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この季語が使われる場合は、単なる夏の星ではなく暑さが続いているという印象が強くなります。

 

鯛釣り星

鯛釣り星とは、さそり座のことです。

 

南の空に低くのぼるS字形の形を釣り針に見立てて名付けられました。

 

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さそり座はこのほかにも一等星アンタレスを旱星や赤星といった季語で呼ばれる代表的な夏の星座です。

 

星に関する季語【秋編】

秋の星

秋になると空気が乾燥し、「天高く」と言われるほど澄んでいきます。

 

夏は曇ることも多かった夜空も晴れることが多くなり、澄んだ星の輝きが見えるようになる様子を表す季語です。

 

七夕

七夕は旧暦では秋の季節の季語になります。

 

現代の感覚では夏の行事のため、俳句に詠む際には間違えないように気をつけましょう。

 

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織姫と彦星を表すベガとアルタイルも「二つ星」という季語になっています。

 

星月夜

星月夜とは、月が出ていない夜空に輝く星のことです。

 

月夜と付いていますが、月が出ていない星空であることに注意しましょう。

 

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まるで月夜のように星空が明るい秋の夜のことを意味しています。

 

天の川

天の川は秋以外でも見えますが、旧暦の7月から9月までが最も美しく見える季節になります。

 

新暦では夏の時期なので、俳句に詠む際には注意しましょう。

 

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「天の川」のほかにも、「銀河」「銀漢」「星河」なども同じ意味の季語になります。

 

流れ星

秋の季節には、ペルセウス座流星群など多くの流星群のピークが見られます。

 

そのため、「流れ星」「流星」も秋の季語になっています。

 

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「夜這星」「星飛ぶ」「星走る」なども流れ星を表す秋の季語になりますので、使ってみてはいかがでしょうか。

 

星に関する季語【冬編】

冬の星

空気が寒さによって冴え渡り、鋭い光を放つのが冬の星です。

 

季節を通じて見えている一等星や二等星も多く、にぎやかな星空になっています。

 

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寒い中で星を見上げることから、「寒星」「凍星」「星冴ゆ」なども冬の星を表す季語です。

 

星の入東風(いりごち)

星の入東風とは、近畿地方を中心に旧暦10月頃に吹く季節風のことを言います。

 

ここで「星」と言われているのはプレアデス星団もしくは昴と呼ばれる星で、この昴が西に傾いていくときに吹く夜明けの風を意味します。

 

枯木星

枯れ木の上や枝の間から透かして見える星のことを「枯木星」と呼びます。

 

そのため、この季語を使う場合は必ず枯木越しに星を見ていることなるので注意が必要です。

 

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冬以外の季節では葉で見えないような場所に星が見えているという表現になります。

 

オリオン

オリオン座は冬を代表する星座で、「オリオン」だけで冬の季語になります。

 

現在では目立つ一等星のベテルギウスとリゲルが有名ですが、腰の部分にあたる3つの星を「三つ星」と呼び、オリオン座を表す季語として使われます。

 

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街灯で明るい夜でも見つけられる星座なので、ぜひ探してみてください。

 

冬銀河

冬に見える天の川のことを「冬銀河」と呼びます。

 

天の川は夏から秋にかけてが最も美しくはっきりと見えますが、冬でも星がよく見える地域では天の川が確認できます。

 

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光が弱めでぼんやりと白く見えるのが特徴です。

 

星に関する有名俳句【6選】

【NO.1】前田普羅

『 乗鞍の かなた春星 かぎりなし 』

季語:春星(春)

意味:乗鞍岳の彼方には春の星が限りなく広がっている。

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乗鞍岳とは、長野県と岐阜県にまたがる飛騨山脈に属する山々の総称で、最高峰が3,026mある山です。乗鞍岳の上空に春の星が視界いっぱいに広がる様子を詠んでいて、まるで写真を見ているような一句になっています。

 

【NO.2】正岡子規

『 草枕の 我にこぼれよ 夏の星 』

季語:夏の星(夏)

意味:旅の空にいる私にこぼれ落ちてきて欲しい、夏の星よ。

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「草枕」とは旅を意味する言葉です。かつては草で編んだ枕で野宿や粗末な宿に泊まっていたことから「旅」を連想させる言葉になりました。そんな旅路にいる私に満点の夏の星がこぼれ落ちてこないものかと星空を見て考えています。

 

【NO.3】松尾芭蕉

『 荒波や 佐渡に横たふ 天の川 』

季語:天の川(秋)

意味:荒波が立っているなぁ。遠く影のように見える佐渡ヶ島の上には横たわるような天の川が見える。

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松尾芭蕉の有名な俳句です。「荒波」「佐渡」「天の川」と海、地、空を全て読み込んだ句として称賛されています。この句は『おくのほそ道』の旅の途中で詠まれたとされていて、黒々とした波や佐渡ととても明るい天の川が良い対比になっています。

 

【NO.4】橋本多佳子

『 七夕や 髪ぬれしまま 人に逢ふ 』

季語:七夕(秋)

意味:七夕だなぁ。髪が濡れたまま人に会いに行く。

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この句に詠まれている「人」とは、作者の亡き夫です。髪も乾かす時間も惜しいほど会いたいという気持ちが強く伝わってきます。1年に1度会えるという説話に縋り、今日は会えるのでは無いかと考える作者の寂しさが感じられる一句です。

 

【NO.5】中村草田男

『 寒星や 神の算盤 ただひそか 』

季語:寒星(冬)

意味:冬の星が瞬いている。神のそろばんのような星々はただひそかに輝いているのだ。

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この句は空に輝く冬の星を「神の算盤」と表現したところが面白い一句です。星は算盤のように動かずただひそやかにそこにあり続けることを、神の意志と感じているのでしょうか。

 

【NO.6】山口誓子

『 おおわたへ 座うつりしたり 枯野星 』

季語:枯野星(冬)

意味:大海原へ居場所を移した枯野星だ。

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この句は、地上にあった冬の星が時間経過とともにおおわた(大海原)へと移動していく様子を詠んだ句です。作者がずっと見ていたのか、ふと空を見上げたら海の上に移動していたのか、想像が膨らみます。

 

さいごに

 

今回は、星に関する季語について、春夏秋冬別にいくつか例を挙げて解説してきました。

 

花や風など伝承に基づいて星の名前が付けられた季語や、収穫時期をむかえた作物の名前が付けられた星など、星の季語にもさまざまな種類があります。

 

そのため、星を題材に俳句を詠むときは、どんな季節のどんな星を詠んだのかをわかりやすくする必要が出てきます。

 

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これらの季語を使ってみるとより一層わかりやすい俳句になりますので、ぜひ一句詠んでみてください。

 

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