2月の初旬には「立春(りっしゅん)」を迎えます。立春は二十四節気において春の始まりとされる日です。
まだまだ冬の寒さも厳しい時期ではありますが、「暦の上では」もう春ということになります。少し不思議な気持ちになりますね。
【 立春 】2月4日
二十四節気のひとつ。暦の上で春の始まりを意味し、梅が咲き始める地方もある。節分には季節を分ける意味があるため、翌日が立春となる。気象庁は、この時季に初めて吹く南よりの強い風を「春一番」として発表。#今日は何の日 pic.twitter.com/GS6hUxYMjk— 地球くん (@chikyukun) February 3, 2014
今回は、「2月」の季語を使用したオススメ俳句ネタを20句ご紹介します。
2月の季語を使ったオススメ俳句ネタ【前半10句】
【NO.1】
『 目覚めれば 静けき庭に 鶯が 』
季語:鶯(春)
朝目覚めた時、まだ静かな庭から聞こえる春の声。とても良い目覚めができたのではないでしょうか。「春を告げる鳥」といわれる鶯。春はもうそこまできているということを感じる一句です。
【NO.2】
『 梅林に ほのかに香る 春の色 』
季語:梅林(春)
梅林の中で感じた香り。梅の香りとその色合いから、春を感じたことでしょう。「春の色」という言葉が美しいです。
【NO.3】
『 我先に 負けるものかと ふきのとう 』
季語:ふきのとう(春)
寒い冬を土の中でじっと我慢し、暖かくなってくる頃、春が来たことを教えてくれるかのように顔を出すふきのとう。ふきのとうの目線で「負けるものかと」と表現している部分がとても良いです。急に暖かくなったのかもしれませんね。
【NO.4】
『 白梅の 香り漂う 台所 』
季語:白梅(春)
白梅は、白い梅の花のこと、または白い梅の花をつける木のことをいいます。台所に白梅を飾っているのでしょう。どなたかから頂いたのかもしれませんね。春を感じるほのかな梅の香り。気分よくお料理できそうですね。
【NO.5】
『 釣れて良し 釣れなくて良し 公魚釣り 』
季語:公魚(春)
厚い氷に穴をあけて糸を垂らしじっと待つ。公魚の様子をうかがいながらの釣りは、待っている時間も楽しいのでしょう。公魚釣りの醍醐味は、「釣れなくても良し」という言葉に集約されているのかもしれませんね。
【NO.6】
『 春の風 冬の終わりを 今つげる 』
季語:春の風(春)
春の風とは、春に吹く風のことで、この時期特有の暖かくて穏やかな風のことをいいます。ふわっと通り抜けた暖かな春の風に、作者は冬の終わりを感じたのでしょう。詩のような素敵な一句です。
【NO.7】
『 夫婦から 恋人に戻る バレンタイン 』
季語:バレンタイン(春)
日本ではバレンタインデーに、女性から男性へチョコレートを贈ることが主流となっています。バレンタイン=恋人、という雰囲気もありますが、結婚してからもバレンタインを楽しむ作者はとても素敵ですね。「恋人に戻る」という言葉のセンスが素晴らしいです。
【NO.8】
『 ふきのとう 雪の下から 春つげる 』
季語: ふきのとう(春)
寒い冬の間、雪の下でじっと我慢していたふきのとう。そのふきのとうが少しずつ顔を出し、春をお知らせしてくれています。少しずつ暖かくなってきていることがとても上手く表現されています。
【NO.9】
『 待ちわびた 春一番に 首すくめ 』
季語:春一番(春)
春一番とは、冬から春へと季節が移り変わる時に初めて吹く、暖かくて強い南風のことをいいます。春の訪れを告げる風物詩ともいわれていますが、春一番のあとは、少し寒さが戻ることが多いとされています。「待ちわびた」作者は、少し残念な気持ちになってしまったかもしれませんね。春まであともう少し、ということを感じる一句です。
【NO.10】
『 梅漬ける 手順加減は 母ゆずり 』
季語:梅(春)
梅干しを漬けている作者。お母様からレシピを受け継いで漬けていらっしゃるのでしょう。とても素敵なつながりですね。「母ゆずり」という言葉がとても良いです。暖かく穏やかな時間を感じます。
2月の季語を使ったオススメ俳句ネタ【後半10句】
【NO.11】
『 春菊の おひたし苦し 母の味 』
季語:春菊(春)
春菊は、お鍋等で冬に食べることが多いですが、春に黄色の花を咲かせます。独特の香りと苦みは好みが分かれるところではありますが、作者にとっては、懐かしい「母の味」。春菊のおひたしを食べるとお母様のことを思い出すのでしょうね。
【NO.12】
『 公魚や 空を映して 透き通り 』
季語:公魚(春)
水が澄んでいればいるほど、公魚の身は透き通るほどに美しいそうです。透き通った体からきれいな空が見えたのでしょう。とてもお天気が良く、日の光を浴びてさらに公魚が美しく透き通っている様子が目に浮かびます。
【NO.13】
『 バレンタイン 息子のカバンを そっとあけ 』
季語:バレンタイン(春)
バレンタインデー。息子はチョコレートをもらったのだろうか。母としては気になるところですね。勝手にあけるのは良くないことですが、分かってはいるけれど気になって仕方ない…という作者の親心を感じます。さて、カバンの中身はどうだったのでしょうか。気になりますね。
【NO.14】
『 計立てて まだ何もせぬ 二月かな 』
季語:二月(春)
「一年の計は元旦にあり」という言葉があります。一年のことは年の初めの元日に計画をしっかり立てて行うべきである、という意味であり、作者はこの言葉のように計画を立てたのでしょう。二月になり、「まだ何もせぬ」状態の作者。きっと焦りを感じていることでしょう。
【NO.15】
『 春風が しゃべった言葉 とばしてく 』
季語:春風(春)
春の暖かく穏やかな風が、作者の前をすーっと横切るように吹いたのかもしれませんね。作者の言葉を一緒に巻き込んで連れていくかのように吹いた春風。春の訪れを感じる素敵な一句です。
【NO.16】
『 断捨離や 断りもなく 春の雪 』
季語:春の雪(春)
季節の移り変わりの時期、作者は春に向けて断捨離を進めていたのでしょう。そこにやってきた春の雪。春の雪は立春を過ぎてから降る雪とされています。「断りもなく」という言葉が良いアクセントになっているように感じます。
【NO.17】
『 いつ渡そ バレンタインの チョコレート 』
季語:バレンタイン(春)
作者のドキドキの心がこちらにも伝わってきそうです。「いつ渡そ」ということは、チョコレートは用意しているけれど、まだ渡すことができないまま時間が過ぎてしまっているのでしょう。がんばれ!と応援したくなる一句です。
【NO.18】
『 歳重ね 春菊の香 芳しさ 』
季語:春菊(春)
春菊は独特の香りや味があり、苦みは好き嫌いが分かれるところですね。作者は、若い頃は春菊が苦手だったのでしょうか。「歳重ね」ていく中で、春菊の香りが良い香りとして感じるようになってきたのでしょう。
【NO.19】
『 鶯の 幼き声や 耳で追い 』
季語:鶯(春)
春の訪れを告げる鳥とされている鶯。作者は、鶯の子どもの声を感じたのでしょうか。じっと静かに声を聞く、そして声の聞こえる場所を探りながらゆっくりと歩いていく作者の様子が目に浮かびます。
【NO.20】
『 雪解けの 原にぽつぽつ ふきのとう 』
季語:ふきのとう(春)
雪が解け始めた野原にぽつぽつと頭を出し始めたふきのとう。暖かさを感じ、出てきたのでしょうね。「ぽつぽつ」という表現がとても可愛らしいです。少しだけ顔を出すたくさんのふきのとうが野原に広がっている光景が想像できます。
以上、2月に関するオススメ俳句ネタでした!
厳しい寒さが続く「2月」は、体感的には「冬」真っ只中…という感じです。
暖かな春が待ち遠しい日々ですか、暦の上では春に入っていることになります。
でも、なかなか実感がわかない方も多いのではないでしょうか。
俳句の世界をのぞいてみると、「春」の空気を少しずつ感じます。周りをよく見てみると、「春」を見つけることができるかもしれませんね。