【みずみずしセロリを噛めば夏匂う】俳句の意味や表現技法・鑑賞文・作者など徹底解説!!

 

「俳句」は日本の伝統的な芸能の一つで、いまや世界中で詠まれ、愛されています。

 

今回は、数ある名句の中から日野草城の「みずみずしセロリを噛めば夏匂う」という句を紹介していきます。

 

 

本記事では、「みずみずしセロリを噛めば夏匂う」の意味や表現技法・鑑賞などについて徹底解説していきます。

 

俳句仙人

ぜひ参考にしてみてください。

 

「みずみずしセロリを噛めば夏匂う」の意味や詠まれた背景

 

みずみずし セロリを噛めば 夏匂う

(読み方:みずみずし せろりをかめば なつにおう)

 

こちらの句の作者は、日本を代表する俳人「日野草城(ひの そじょう)」です。

 

明治後期に生まれ、大正、昭和の中期に活躍した俳人です。

 

(草城句集 出典:amazon)

 

 

意味

この句を現代語訳すると・・・

 

「寒い時期に取れたてのセロをほおばったら、その水分が口いっぱいに広がり、なんだか夏のような感じがした。」

 

という意味になります。

 

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「夏匂う」と断定的な表現をしていますが、実際には「夏」ではなく「夏のようだなぁ」と解釈するのが一般的です。

 

この句が詠まれた背景

「みずみずしセロリを噛めば夏匂う」という句は、日野草城が詠んだ句の中でもそれほど有名なものではありません。

 

この句は夏に書かれたものではなく、「セロリ」を季語とする寒い時期に書かれたと解釈するのが一般的です。

 

『ホトトギス』で高濱虚子に学び、水原秋桜子らとともに主観的な叙情俳句を追求した日野草城らしく、若々しく新鮮な感性が印象的な一句だといえます。

 

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しかし、日野草城の句集『昨日の花』には「盛夏晩餐之図 十句」があり、その中に「みずみずし…」の句が収められている点を考えると、夏の俳句と考えることもできます。

 

「みずみずしセロリを噛めば夏匂う」の表現技法

 

この句で使われている表現技法は・・・

 

  • 「みずみずし」という書き出し
  • 比喩(隠喩)

 

になります。

 

「みずみずし」という書き出し

「みずみずし」がセロリにかかるのか、「夏匂う」にかかるのか、その解釈は読み手に委ねられています。

 

「みずみずしいセロリ」と素直に捉えると、新鮮なセロリを思い浮かべることができます。

 

もう一歩深入りして、「セロリを噛むと夏が匂ってくる、みずみずしいものだなぁ」と、良いことが起こる前触れと解釈することもてきます。

 

比喩(隠喩)

「隠喩(暗喩)」は、「~のような」「~のごとし」といったような比喩言葉を使わずに物事を例える表現技法のことです。

 

「夏匂う」という表現は「隠喩」、たとえとして使われていることが分かります。

 

比喩表現を使うことで句のセロリのみずみずしさがよりイメージしやすくなっています。

 

「ずみずしセロリを噛めば夏匂う」の鑑賞文

 

「みずみずし」という出だしが印象的なこちらの句は、冬が旬の「セロリ」を頬張ったら、溢れるセロリの水分に驚き、まるで夏が匂ってくるようだと日常生活の一コマを詠んだ一句です。

 

何の変哲もないセロリは、その歯ごたえと独特の風味、そしてみずみずしさに溢れ、さまざまな感覚を感じさせてくれます。

 

同時に、季節としてはまだまだ先のことではありますが、セロリを齧ったことで一瞬夏を感じ、その感覚を「みずみずしい」と表現したと解釈することもできます。

 

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普段何気なく食べている「セロリ」に愛情を感じる一句となっています。

 

「ずみずしセロリを噛めば夏匂う」の補足情報

日本におけるセロリの歴史

セロリが日本に伝わったのは安土桃山時代、16世紀末のことです。豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に、加藤清正が持ち帰ったのが最初とされています。

 

その後、江戸時代にはオランダ船によって西洋種ももたらされ、「オランダ三つ葉」と呼ばれました。

 

しかし、その独特の強い香りが当時の日本人には馴染まず、すぐには普及しませんでした。

 

本格的に一般家庭の食卓に上るようになったのは、食生活の洋風化が進んだ昭和30年代以降のことです。この頃、香りや苦みが少なく食べやすい品種「コーネル619」が登場したことも、普及を後押ししました[

 

俳句の世界でセロリが冬の季語とされているのは、その栽培サイクルに理由があります。

 

夏に種をまいたセロリは、11月から3月にかけて収穫期を迎えるため、古くから「冬野菜」として認識されてきました。

 

現在では栽培技術が進歩し、長野県産が夏から秋、静岡県産が冬から春に出荷されるなど、産地リレーによって一年を通して市場に出回っています。

 

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しかし、伝統的に冬に旬を迎える野菜としての名残から、今もなお冬の季語として歳時記に記されているのです。

 

セロリに関する有名俳句【2選】

ここでは、俳人に詠まれた有名なセロリの俳句を2句紹介していきます。

 

【No.1】夏井いつき

「荒星の 匂ひのセロリ 囓りたる」

季語:セロリ(冬)

意味:冬の強い星の輝きを浴びたセロリならをコリっと齧ると、冬の凛とした爽やかさが口に広がる。

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この句では、「荒星」と「セロリ」という2つの季語が重なる季重なりとなっています。「噛じる」とあるため主題がセロリだと分かるので季語はセロリとなっている句です。強い冬の星の輝きを浴びたセロリを冬の象徴としているのが面白い表現です。

 

【No.2】八木三日女

「セロリかんで 二十世紀を ゆかせおり」

季語:セロリ(冬)

意味:セロリを噛んでいると20世紀が過ぎ去っていくところだ。

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「二十世紀をゆかせおり」の表現から、1999年の大晦日に詠まれたことがわかる一句です。大晦日にセロリを食べているうちに、いつの間にか20世紀が終わり21世紀がやってきた様子が詠まれています。年越しそばでも豪華な料理でもなく、素朴なセロリを食べているところに、世紀末という一大イベントへの気負いを持たない泰然とした様子が表現されている一句です。

 

作者「日野草城」の生涯を簡単に紹介!

日野草城(1901年~1956年)は東京都出身の俳人で、本名を克修(よしのぶ)といいます。

 

 

草城は4歳の頃に朝鮮に移住し、京城(現在のソウル特別市)の小学校を卒業し、中学校(現在のソウル高等学校)までを挑戦で学びます。その後帰国しますが、歌俳をたしなんだ父の影響で、草城は10代の頃から文学に親しんでいたといわれています。

 

草城は、1934年の『俳句研究』4月号に、京都東山に実在するミヤコホテルを舞台とする新婚初夜を題材としたエロティックな連作「ミヤコホテル」10句を発表したことで、注目を集めることとなります。

 

しかし、時代が時代であったため、フィクションの句やエロティシズムの句への理解は乏しく、草城は『ホトトギス』から除名されてしまいます。

 

『ホトトギス』除名後はエロティシズムや「無季俳句」を積極的に唱導し、新興俳句の主導的役割を担ったといわれています。

 

1946年には肺結核を発症。以後10数年は病床におり、その間はこれまでの新興俳句とは異なる静謐な句をつくったといわれています。

 

俳句仙人

死の前年1955年には虚子に許されて『ホトトギス』同人に復帰。翌1956年に心臓衰弱のため55歳で亡くなりました。

 

日野草城のそのほかの俳句

 

  • 春暁や人こそ知らね木々の雨
  • 春の灯や女は持たぬのどぼとけ
  • ものの種にぎればいのちひしめける
  • ところてん煙の如く沈み居り
  • 高熱の鶴青空に漂へり
  • 夏布団ふわりとかかる骨の上
  • 見えぬ眼の方の眼鏡の玉も拭く