「北海道」は、広大な大地と海に囲まれた自然豊かな場所です。
観光地も多く、北海道ならではの景色を味わうために、常に修学旅行生や観光客でにぎわっています。
今回は、そんな「北海道」を詠んだ俳句を20句ご紹介します。
北国に
クリスマスツリーを
訪ねけり*クリスマスツリーの木に見えるかな。。#俳句 #写真haiku #北海道 #過去写真 pic.twitter.com/NFYtV2ezgg
— とんぼ (@tonbo_yu_yu) December 25, 2015
北海道を詠んだ有名俳句【10選】
【NO.1】小飯田弓埼
『 荒縄をもて雪橡(せつぞう)の 熊つなぐ 』
季語:雪像(冬)
意味:荒縄を持って雪橡の熊をつなぐ。
「雪像」とは雪で像を作ることですが、主に札幌雪祭りのものを指します。
この句は、句またがりの手法を用い「荒縄をもて雪像の」と上の句と中の句をつながらせ、リズムをもたせています。
雪祭りの会場で、荒縄を持って雪像の熊をつないでいるのでしょう。
【NO.2】金子兜太
『 アイヌ悲話 花野湖水の 藻となるや 』
季語:花野(秋)
意味:アイヌ悲話、秋の草花が咲き乱れる湖水で藻となることだ。
花野は、秋の草花が多く咲く野原を意味する、秋の季語です。
アイヌ悲話とは、北海道中心に居住する民族「アイヌ」がたどった悲しい歴史を意味します。
咲き乱れる秋の花の中、まるで湖の藻となるかのようにアイヌの悲話があることだと詠っているのでしょう。
【NO.3】今井杏太郎
『 知床の 海を流るる 氷かな 』
季語:氷(冬)
意味:知床の海を流れる流氷であることだ。
氷とは「流氷」を指します。知床の海に流氷が流れてゆく、冷たい冬の景色が浮かんできます。
【NO.4】加藤楸邨
『 身に染みて オホーツク海の とどろく夜 』
季語:身に染む(秋)
意味:オホーツク海のとどろく音が身に染みる夜だ。
「身に染む」は秋の季語で、冬に向かう冷たい空気とともに物寂しい気持ちが募ることをいいます。
オホーツク海は、北海道の北東に位置する海のことです。オホーツク海の荒波が聞こえる夜の情景を詠っています。
【NO.5】高浜虚子
『 湾を抱く 雪の山々は 北海道 』
季語:雪(冬)
意味:湾を抱くように雪の積もった山々が囲んでいる、北海道である。
北海道には、内浦湾と呼ばれる巨大な湾があります。
その周りに雪が積もる山々がある様子を擬人法を用い、「雪の山々」が「湾を抱く」と表現しています。
【NO.6】山口青邨
『 冬の宿 阿寒の毬藻(まりも)のみ青く 』
季語:冬の宿(冬)
意味:冬の宿、阿寒湖の毬藻だけが青い。
阿寒湖には、国の天然記念物の毬藻(まりも)があります。
この句では、冬の宿の「白」と毬藻の「青」を取り合わせています。
雪で真っ白の世界で、作者は湖の底にある青い毬藻に想いを馳せているのでしょう。
【NO.7】星野立子
『 札幌の 放送局や 羽蟻(はあり)の夜 』
季語:羽蟻(夏)
意味:羽蟻が飛び交う札幌の放送局であることだ。
羽蟻(はあり)とは夏に集団発生し、交尾期に現れる羽のついた蟻のことです。
札幌の放送局で、羽蟻が飛び交う夜の情景です。
【NO.8】高野素十
『 ポントーの いたるところに 秋の風 』
季語:秋の風(秋)
意味:ポントーのいたるところに秋の風が吹いている。
「ポントー」とは「湖」を意味するアイヌ語です。
北海道のあちらこちらで拭き渡る秋の風が、北海道の湖に涼しく吹いているのでしょう。
【NO.9】上村占魚
『 水縞を あらはに鮭の 十勝川 』
季語:鮭(秋)
意味:水縞模様があらわになった鮭がいる十勝川だ。
鮭は、秋になると産卵のため自分が生まれ育った川に戻ってくることから、「秋」の季語としてあつかわれます。
秋、十勝川の下流域には多くの鮭が産卵のために遡上してきます。鮭は海で生活しているときには青黒色をしていますが、産卵期には赤、黄、緑の縞模様ができるのです。
この句では、その様子を「水縞をあらはに」と表現しています。
【NO.10】堤正俊
『 水芭蕉 知床五湖は 霧の中 』
季語:水芭蕉(夏)
意味:水芭蕉が咲く知床五湖が霧の中だ。
「水芭蕉」は、気温があまり高くならない湿度の高い場所に咲く花です。
この句は、霧でも有名な北海道の知床五湖に、水芭蕉の花が咲くという美しい情景を詠っています。
北海道を詠んだ一般俳句ネタ【10選】
【NO.1】
『 函館の きれいな夜景 忘れない 』
季語:なし
意味:函館の、きれいな夜景をずっと忘れない。
函館の夜景は、国内外から高い人気を得る美しい観光スポットです。
修学旅行で函館のきれいな夜景を見た時の、作者の感動が伝わってきます。
【NO.2】
『 山歩き キツネがみちびく 冬の道 』
季語:冬の道(冬)
意味:北海道の山を歩くとキツネが導いてくれる。そんな冬の道だ。
北海道はキツネでも有名です。冬の山道を歩くと、キツネがまるで先導をしてくれるように歩いていたという、かわいらしい句です。
【NO.3】
『 観光バス 北へ連ねて ずわい蟹 』
季語:ずわい蟹(冬)
意味:観光バスが北へ連なりずわい蟹を食べに行く。
「ずわい蟹」は、鍋物や刺身などいろいろな料理が楽しめます。冬の北海道で観光バスが連なり、ずわい蟹を食べにいくという作者のわくわくした様子が伝わってきます
【NO.4】
『 夕焼けや ライダー宿の 富良野かな 』
季語:夕焼け(夏)
意味:ライダー宿の富良野に見える夕焼けであることだ。
「夕焼け」は夏の季語です。夕焼けは一年中見られますが、季語としては他の季節では「冬の夕焼け」「秋の夕焼け」となります。
ライダー宿とはバイクでの旅人が低価格で宿泊できる宿のことです。「夕焼け」「ライダー宿」「富良野」と続くことで、北海道の美しい夕焼けの様子が伝わってきます。
【NO.5】
『 開拓の 大地広がり 夏の雲 』
季語:夏の雲(夏)
意味:開拓の大地が広がる。夏の雲のもとで。
もともと原生林であった北海道には、かつて開拓団によって切り開かれ、北海道の基礎が築かれたという歴史があります。
作者は、夏の雲の下に広がる大地を見て、かつての開拓時代に思いをはせているのでしょう。
【NO.6】
『 サケまつり みんなの心が つながるよ 』
季語:サケまつり(秋)
意味:サケまつりでみんなの心がつながるよ。
サケのふるさとである北海道石狩市では、秋に「さけまつり」が行われます。
神輿をかつぐなど人びとが集う祭りを、作者は「みんなの心がつながった」としました。
作者の、祭りへの弾んだ気持ちが表現されています。
【NO.7】
『 石狩に 鮭が戻るよ 子を産みに 』
季語:鮭(秋)
意味:石狩川に鮭が戻るよ、子どもを産みに。
石狩川には、秋になると産卵のために鮭が海から戻ってきます。
色づいた多くの鮭が泳ぐ姿に作者が圧巻された様子が伝わってきます。
【NO.8】
『 きりはれた 見えた夜景で 気も晴れた 』
季語:きり(秋)
意味:霧が晴れた。見えた夜景で悩んでいた心も晴れた。
秋の北海道は、霧がかかり夜景が見えないことがあります。
作者は、霧が晴れて現れた夜景の美しさに心を奪われ、さらにの悩み事も晴れたように感じたのでしょう。
【NO.9】
『 あい風や カムイチェップの 海さわぐ 』
季語:あい風(夏)
意味:カムイチェップの海が騒ぐ、あい風であることだ。
「あい風」は、夏の季語で沖から吹くそよ風のことです。
カムイチェップとは、アイヌ語で「神の魚」という意味です。神の魚たちが騒ぐ、豊漁の季節の海を詠っています。
【NO.10】
『 函館は みんなの夏に まほうかけ 』
季語:夏(夏)
意味:函館は、みんなの夏にまほうをかける。
函館の短い夏は多くの観光客でにぎわいます。作者はその様子を「みんなの夏にまほうかけ」と詠いました。みんなが楽しむ夏はまるで誰かに魔法をかけられたみたいだとした、子どもらしい視点が楽しい句です。
以上、北海道に関するオススメ俳句でした!
今回は、北海道に関する俳句を20句ご紹介しました。
北海道の句には、北海道の自然の豊かさや情景の美しさを詠ったものが多くあります。
北海道に旅行や、修学旅行で訪れるときには、ぜひ旅の思い出を句にしてみてください。
きっと素敵な句ができあがりますよ。