秋を徐々に感じる「9月」。
昼間は夏の暑さがなかなか抜けませんが、夕方になれば肌寒くなります。
少し切なくなる季節ですが、そんな季節だからこそ自分の気持ちや景色を俳句に詠んでみたくなります。
一段と自分の気持ちに敏感になるこの季節だからこそ詠める俳句もあります。
今なら十五夜お月さんが見える🌖
名月を取ってくれろと泣く子かな👦👧 pic.twitter.com/JWdobdi1EO
— maraj (@jedijenson) September 15, 2016
そこで今回は、9月の季語を含んだおすすめ俳句を30句紹介していきます。
俳句に9月らしさを出す!9月の季語を知ろう
まず、俳句を書く前に確認しなければいけないことがあります。
俳句は古くから伝わっている文学だけあってルールが存在します。
それは「①5・7・5の17音にする」「②季語を使う」この2つです。
①は聞いたことある人も多いと思いますが、②の「季語」と言う言葉はあまり聞いたことない人が多いのでないでしょうか?
「季語」とは、俳句で用いられる表現方法の一つで、日本には春夏秋冬と4つの季節があります。この季節にはそれぞれ特徴があります。
その特徴を表した言葉…つまりその季節らしい言葉のことを「季語」と言うのです。
【九月】
読み方:くがつ
【夜長】
読み方:よなが
意味:夜間が長いこと
【夕月夜】
読み方:ゆうづくよ
意味:月がかかっている夕方
【鈴虫】
読み方:すずむし
説明:夏の終わりから秋にかけて鳴く虫。「リィーンリィーン」という鈴のような美しい音色が特徴
【月見】
読み方:つきみ
意味:月見とは月、主に満月を眺めて楽しむこと
9月の季語【一覧】
葉月/仲秋/秋意/八朔/震災忌/風の盆/二百十日/秋の朝/秋の昼/秋の虹/秋夕焼/秋の夜/初月/二日月/三日月/秋の燈/燈火親し/夜学/夜業/夜なべ/夜食/白露/野分/台風/秋出水/世阿弥忌/守武忌/西鶴忌/花野/秋草/秋の七草/薄/撫子/桔梗/女郎花/男郎花/藤袴/葛/葛の花/萩/藍の花/露/虫/松虫/馬追/蚯蚓鳴く/地虫鳴く/蓑虫/蟷螂/芋虫/秋蚕/秋繭/敬老の日/秋場所/月/待宵/名月/良夜/無月/雨月/初潮/秋の潮/枝豆/芋/衣被/芋茎/芋嵐/十六夜/立待月/居待月/宵闇/かな女忌/霧/蜻蛉/秋の蝶/秋の蝿/秋の蚊/秋の蚊帳秋扇/秋日傘/秋袷/秋彼岸/秋分の日/秋遍路/蛇穴に入る/穴まどひ/雁/雁渡し/青北風/鰯雲/牡丹植う/曼珠沙華/鶏頭/早稲/秋の海/秋鯖/太刀魚/秋刀魚/鰯/鮭//鰍/竹の春/竹伐る/草の花/紫苑/蘭/松虫草/龍胆/秋薊/秋桜/吾亦紅/露草/糸瓜/蕎麦の花/鬼灯/唐辛子/秋茄子/生姜/菜虫/胡麻/粟/桃/梨/葡萄/木犀/爽やか/冷やか/秋の水/水澄む/秋団扇/富士の初雪/鯖雲/九月尽
9月の季語を使った有名俳句集【20選】
ここからは、9月の季語を使った有名俳句を紹介していきます。
ぜひお気に入りの一句を見つけてみてね!
【NO.1】野村喜舟
『 裏山に 一つの道や 葛の花 』
季語:葛(くず)の花(秋)
意味:裏山に一つの道があるなぁ。そこに咲いている葛の花がある。
【NO.2】岩田涼菟
『 椽側に さし入る月や 蘭の花 』
季語:蘭の花(秋)
意味:縁側に月の光が差し入っている。目の前には蘭の花が咲いている。
【NO.3】山口青邨
『 縁側の 一番端の 月見かな 』
季語:月見(秋)
意味:縁側の一番端から見える月を見て月見をしている。
【NO.4】小林一茶
『 鶏頭(けいとう)が 立往生を したりけり 』
季語:鶏頭(秋)
意味:鶏頭が立ったまま往生したように枯れている。
【NO.5】星野立子
『 コスモスの 花ゆれて来て 唇に 』
季語:コスモス(秋)
意味:コスモスの香りを嗅ごうと思い顔を近づけたら風で花が揺れて唇に着いた。
【NO.6】臼田亞浪
『 旅の日の いつまで暑き 彼岸花(ひがんばな) 』
季語:彼岸花(秋)
意味:旅をしている日々だが、いつまで暑いのだろうか、彼岸花はもう咲いているのに。
【NO.7】正岡子規
『 野分の夜 書読む心 定まらず 』
季語:野分(秋) ※現代で言われる「台風」のこと
意味:台風の夜は、風が吹いて家が壊れたりしないかと不安になり、本に集中ができない。
【NO.8】加賀千代女
『 三日月に ひしひしと物の 静まりぬ 』
季語:三日月(秋)
意味:三日月をみてひしひしという廊下を歩く足音が静まった。
【NO.9】正岡子規
『 夜をこめて 麦つく音や きりぎりす 』
季語:きりぎりす(秋)
意味:まだ夜が開けないころの暗いうちに麦つきの歌ときりぎりすの鳴き声が響いている。
【NO.10】向井去来
『 眠たる 目をあらはばや 秋の水 』
季語:秋の水(秋)
意味:眠い目を覚まそうと水で目を洗ったら水の冷たさに秋を感じた。
【NO.11】松尾芭蕉
『 秋深き 隣は何を する人ぞ 』
季語:秋深き(秋)
意味:秋が深くなってきたが、隣の人は何をしている人なのだろうか。
【NO.12】松尾芭蕉
『 あかあかと 日はつれなくも 秋の風 』
季語:秋の風(秋)
意味:あかあかと輝く太陽はつれないが、秋の風が吹いてきた。
【NO.13】小林一茶
『 名月を 取ってくれろと 泣く子かな 』
季語:名月(秋)
意味:あの名月を取ってくれと泣く子がいるなぁ。
【NO.14】夏目漱石
『 あるほどの 菊投げ入れよ 棺の中 』
季語:菊(秋)
意味:ここにあるほどの菊を投げ入れてくれ、あの人の眠る棺の中に。
【NO.15】山口誓子
『 突き抜けて 天上の紺 曼珠沙華 』
季語:曼珠沙華(秋)
意味:突き抜けるような天上の紺色の空に向かって、曼珠沙華の花が咲いている。
【NO.16】飯田蛇笏
『 おりとりて はらりとおもき すすきかな 』
季語:すすき(秋)
意味:折って取ってみると、はらりと重いススキであることだ。
【NO.17】中村草田男
『 秋の航 一大紺 円盤の中 』
季語:秋(秋)
意味:秋の航海だ。周りは全て紺色の海で、まるで円盤の中を進んでいるように感じる。
【NO.18】三橋鷹女
『 この樹登らば 鬼女となるべし 夕紅葉 』
季語:紅葉(秋)
意味この見事な紅葉している樹を登ったなら、私もかの鬼丸紅葉のようになるのだろう。
【NO.19】橋本多佳子
『 星空へ 店より林檎 あふれをり 』
季語:林檎(秋)
意味:星空に向かって店からあふれたリンゴが積み上がっている。
【NO.20】中村汀女
『 あはれ子の 夜寒の床の 引けば寄る 』
季語:夜寒(秋)
意味:可愛いわが子が秋の終わりごろの寒さの夜に寝ている。布団を引っ張ればこちらに寄ってきた。
こんな俳句もある!一般オリジナル俳句集【10選】
ここからは、一般の方が詠んだ俳句作品を紹介していきます。
【No.1】
『 見送りて よりコスモスの 立ち話 』
季語:コスモス(秋)
意味:お客様を見送ろうと一緒に外へ出たがコスモスの前で立ち話をしてしまう。
【No.2】
『 台風の あとの梯子(はしご)は 濃き影す 』
季語:台風(秋)
意味:台風の後は空がよく晴れて梯子の影はより濃く影を残す。
【No.3】
『 台風の 近づく町に 眠りけり 』
季語:台風(秋)
意味:台風が近づいてきている町でねむっている。
【No.4】
『 大切な 話九月の 冷奴 』
季語:九月(秋)
意味:大切な話を九月に冷奴を食べながらしている。
【No.5】
『 葡萄(ぶどう)来る 正しく箱に 収められ 』
季語:葡萄(秋)
意味:葡萄が届いた。規則正しく綺麗に箱に収められていた。
【No.6】
『 葡萄食ふ 口の大きさ 揃ひけり 』
季語:葡萄(秋)
意味:葡萄を食べる時の口の大きさがみんな同じで揃っている。
【No.7】
『 見つめれば しきりに走る 秋の雲 』
季語:秋の雲(秋)
意味:じっと空を見つめていると雲がしきりに走っているように見える。
【No.8】
『 のびのびと はみ出してゐる 秋刀魚かな 』
季語:秋刀魚(秋)
意味:秋刀魚を食べようとお皿に置くと伸び伸びとはみ出している。
【No.9】
『 もとめれば 逃げていきそな 秋の空 』
季語:秋の空(秋)
意味:秋の空は求めれば逃げていきそうなほど儚げである。
【No.10】
『 ふと夫に 寄りそうてみる 秋の雲 』
季語:秋の雲(秋)
意味:気温も寒くなってきて人肌恋しくふと夫に寄り添ってみる。空には秋の雲が出ている。
以上、9月のオススメ俳句(有名俳句+一般俳句)を30選でした!