毎年、3月下旬頃に行われる「卒学式」。
現在行われているような卒業式の形式になったのは明治の初期の頃だといわれています。
小学校・中学校・高校・大学等の卒業式は、3月に行われることが多いので、「卒業」は「春」の季語になります。
今回は、そんな「卒業式」を題材にした中学生向けのオススメ俳句作品を30句紹介していきます。
「泣くすき間残しておこう卒業歌」 #jhaiku #fhaiku #haiku #kigo #kamahaiku 写真俳句です。 pic.twitter.com/8x6lfptt6V
— 鎌田俊彦 (@toshikamachyan) March 8, 2016
目次
中学生向け!卒業式を題材にしたオススメ俳句作品【前編10句】
【NO.1】
『 卒業や 花束渡す 母の手に 』
季語:卒業(春)
卒業をむかえ、お母様への感謝の気持ちを表現しています。思いがけない素敵な贈り物に、お母様はきっと喜ばれたことでしょう。卒業にあわせて花束を準備する作者の優しい気持ちがあふれた一句です。
【NO.2】
『 卒業式 笑顔で伝える さようなら 』
季語:卒業式(春)
卒業式での様子を詠んだ一句です。さまざまな想いがある中、「笑顔」でお友だちや先生に「さようなら」を伝えた作者。最後だからこそ泣き顔ではなく笑顔で、という想いがとてもよく伝わります。素敵なお別れができたのではないでしょうか。
【NO.3】
『 先生と 別れがつらい 卒業式 』
季語:卒業式(春)
卒業にあたり、先生への想いを表現した一句です。3年間お世話になった先生との別れはつらい、という作者の素直な気持ちがそのまま表現されています。とても素敵な先生との出会いがあったのでしょう。きっと作者の心にいつまでも残ることでしょう。
【NO.4】
『 過疎の村 これで廃校 卒業生 』
季語: 卒業生(春)
作者の学校は、作者の学年が卒業するとともに廃校になるのでしょう。「過疎の村」という言葉が、より一層寂しさを強くしています。卒業と廃校、作者の悲しくて切ない気持ちが伝わる一句です。
【NO.5】
『 満開の 桜の下で 卒業す 』
季語:卒業(春)
卒業式の日、ちょうど桜が満開だったのでしょう。満開の桜の中での卒業式の様子を詠んでいます。卒業生を包み込むかのように桜が咲き誇っている美しい光景が目に浮かびます。きっと桜が咲くたびに、卒業式のことを思い出すことでしょう。
【NO.6】
『 校長と ハイタッチして 卒業す 』
季語:卒業(春)
卒業式での様子を詠んだ一句です。校長先生と「ハイタッチ」をした作者。卒業式の思い出としていつまでも心に残ることでしょう。ハイタッチしながら笑顔で卒業生を送りだす校長先生の姿が目に浮かぶようです。
【NO.7】
『 卒業式 先生今まで ありがとう 』
季語:卒業式(春)
先生への感謝の気持ちを表現しています。お世話になった先生へ、「ありがとう」という気持ちを素直に伝えています。まっすぐな想いは、しっかりと先生へ伝わっていることでしょう。良い出会いは財産になりますね。
【NO.8】
『 卒業式 最後に通る 通学路 』
季語:卒業式(春)
毎日通った通学路への想いを詠んだ一句です。学校へ通うために毎日通った通学路。卒業式の日が最後の日、作者の寂しい気持ちがとてもよく伝わります。いろいろなことを思い出しながら、感慨深く歩く作者の姿が想像でき、あたたかい気持ちになる一句です。
【NO.9】
『 卒業に 泣くはずの無い 母涙 』
季語:卒業(春)
卒業式に参加していたお母様の姿を詠んでいます。「泣くはずの無い」という言葉は、お母様の感極まった様子をとてもよく表現しています。きっとさまざまな想いがあったのでしょう。お母様の涙は、作者の心にしっかりと刻み込まれたことでしょう。
【NO.10】
『 卒業で あらたな一歩 踏み出そう 』
季語:卒業(春)
卒業をむかえ、作者の想いが表現された一句です。卒業をとても前向きにとらえている作者の想いが伝わります。新しい世界を歩むことになる自分自身へのエールのようにも感じる一句です。
中学生向け!卒業式を題材にしたオススメ俳句作品【中編10句】
【NO.11】
『 卒業式 古びた靴に さようなら 』
季語:卒業式(春)
学校生活の中ではいていた上靴や通学の際の靴。「古びた靴」というくらい、毎日お世話になった靴への想いを詠んでいます。「さようなら」の言葉の裏には、「ありがとう」の感謝の気持ちが隠れているのではないでしょうか。作者の「ありがとう」の想いがあふれている一句です。
【NO.12】
『 泣き笑い 卒業式の 友の顔 』
季語:卒業式(春)
卒業式でのお友だちの様子を表現しています。「泣き笑い」の友につられて、一緒に泣き笑いしている作者の姿が想像できます。泣いたり笑ったり、一緒にさまざまな感情を出し合える素敵な関係性なのでしょうね。
【NO.13】
『 体育館 名前が響く 卒業や 』
季語:卒業(春)
卒業式が行われている体育館の様子でしょうか。名前を呼ぶ声だけが響く、厳かな雰囲気が伝わる一句です。とても静かな中で行われている卒業式、緊張感を感じる作者の気持ちが伝わります。
【NO.14】
『 このバスに 乗るのも最後 卒業す 』
季語:卒業(春)
通学でバスを利用していたのでしょう。最後のバス乗車のことを詠んだ一句です。卒業とともにバスの利用も終わり、という作者の悲しくて切ない気持ちがとてもよく伝わります。最後のバスに乗りながら、いろいろ思い出したことでしょう。
【NO.15】
『 卒業式 涙ぬぐって 返事する 』
季語:卒業式(春)
卒業式での様子を詠んでいます。作者が、涙いっぱいで卒業式に参加している様子が目に浮かびます。「涙ぬぐって」という言葉から、作者がきちんと気持ちを切り替えて「学校生活最後の返事」をしていることが感じ取れます。
【NO.16】
『 空気まで 直立してる 卒業式 』
季語:卒業式(春)
卒業式の厳かな空気感を表現して詠んだ一句です。「空気まで直立してる」という表現から、卒業式の静かな雰囲気と張りつめた空気感がとてもよく伝わります。「直立」という表現の使い方がとても上手です。
【NO.17】
『 先生の 背丈を超えて 卒業す 』
季語:卒業(春)
入学した頃と比べて、とても身長が伸びたのでしょう。卒業するにあたり、「先生」と背丈を比較して表現しているところがとても上手な一句です。「先生を超えて卒業する」という言葉は、背丈だけではないとても深い意味を感じます。
【NO.18】
『 卒業や 心を映す 空の色 』
季語:卒業(春)
卒業式の日、作者の心は何色だったのでしょうか。さまざまな空の色を想像することができる一句です。「心を映す」という表現がとても上手です。
【NO.19】
『 卒業の 二度と揃わぬ 今日の顔 』
季語:卒業(春)
卒業式で最後の「集合」をした際に感じたことでしょう。「二度と揃わぬ」という言葉から、作者が卒業に際して悲しい想いを抱えていることを感じます。「今日の顔」というとても上手な表現で、「卒業」ということがまっすぐに伝わります。
【NO.20】
『 学び舎に 深く一礼 卒業す 』
季語:卒業(春)
卒業の日、毎日お世話になった学び舎に感謝の想いを伝えたのでしょう。「深く一礼」という表現から、しっかりと頭を下げて、「ありがとう」の想いをきちんと伝えている作者の姿が想像できます。とても素敵な行動で、心があたたかくなる一句です。
中学生向け!卒業式を題材にしたオススメ俳句作品【後編10句】
【NO.21】
『 一輪の 花を渡され 卒業す 』
季語:卒業(春)
一輪の花を卒業祝いとしてもらったのか、これで卒業なのだと実感しています。下級生に手渡されたのか、花を持ってみんなで記念撮影をしている様子も思い浮かぶ一句です。
【NO.22】
『 教科書に 秘めし落書き 卒業す 』
季語:卒業(春)
教科書にした落書きをそっと秘めて卒業する、という今までの勉強した日々を象徴した句です。どんな落書きをしたのでしょうか。
【NO.23】
『 観察の 鯉に声かけ 卒業す 』
季語:卒業(春)
ずっと観察していた池の鯉に別れの挨拶をして卒業していく様子を詠んでいます。生物係のような役職だったのか、趣味だったのか、学生時代の思い出が詰まった一句です。
【NO.24】
『 六年生 卒業歌の 練習をする 』
季語:卒業歌(春)
6年生が卒業式で歌う歌の練習をしている風景です。これで卒業なのだというどこか悲しい気持ちも感じられます。
【NO.25】
『 体育館 漏れて響きし 卒業歌 』
季語:卒業歌(春)
学校の外にいるけれど、体育館からもれて聞こえてくる卒業式の歌を聴いている一句です。練習の歌なのか、本番の歌なのか、どんな気持ちで聞いているのでしょうか。
【NO.26】
『 卒業式 第二ボタン くれし君 』
季語:卒業式(春)
卒業式といえば、好きな人の第二ボタンをもらうという風習があります。そんな第二ボタンをくれた「君」とどんな展開になったのか興味深い一句です。
【NO.27】
『 卒業の 恋よ希望よ 淋しさよ 』
季語:卒業(春)
卒業式の後に迎える未来の、恋と希望と淋しさを詠んでいます。進路も分かれるので恋が続くのか、どんな未来が待ち構えているのか、友達と会えなくなる淋しさもあると色々な感情が込められている句です。
【NO.28】
『 実感は じわりじわりと 卒業後に 』
季語:卒業(春)
卒業した実感は後からじわりじわりとやってくるのだと感じている一句です。卒業した直後はいつでも会えると思っているけれど、生活が変わったことを実感する度にどこか寂しく感じています。
【NO.29】
『 卒業の 日に読み終わる 太宰の書 』
季語:卒業(春)
卒業式の日に太宰治の本を読み終わった、というどこか抽象的な一句です。太宰治はさまざまな作風がありますが、読了後にどんな気持ちを抱いたのでしょうか。
【NO.30】
『 颯爽と されど哀しき 卒業歌 』
季語:卒業歌(春)
颯爽(さっそう)と歌っているけれど、どこか悲しい卒業式の歌を歌っている様子を詠んでいます。卒業という晴れの舞台に凛として歌を歌っているけれど、迫っている別れの時にどこか悲しげであると表現しています。
以上、卒業式を題材にして詠んだオススメ俳句30選でした!
さいごに
「卒業」することは、友達や恩師との別れにつながります。
たくさん涙を流して、ぐちゃぐちゃになった顔で写真を撮った思い出のある方も多いのではないでしょうか。
また、「新たな一歩を踏み出そう」という新しい世界への希望・期待を胸に、晴れやかな気持ちで卒業を迎えた方もいらっしゃることでしょう。
「卒業」は、個々それぞれの、さまざまな「想い」が入り混じるものなのだと思います。だからこそ、同じ空も人によって見える色・感じ方が違うのでしょう。
皆さんは卒業の日の空は何色でしたか?感じたことをそのまま17音にのせてみたら、きっと素敵な俳句がうまれることでしょう。