「田植え」は夏の季語で、現在のカレンダーでは5月の中旬から6月の中旬が一般的です。
田植え歌や早乙女なども含め、古来より多くの俳句が詠まれています。
今回は、「田植え」をテーマにした小学生/中学生向け俳句を20句紹介します。
田植えして
命をまもる
人もいて#haiku pic.twitter.com/6NRkVHRiCq
— Hello haiku (@hello_haiku) April 25, 2014
田植え(夏の季語)をテーマにした俳句ネタ集【前半10句】
【NO.1】
『 泥んこの 午後はちいさな 田植かな 』
季語:田植(夏)
広い田んぼではなく、小規模での稲作を楽しんでいる人の一句です。泥だらけになりながら小さくとも田植えを終えた満足感を詠んでいます。
【NO.2】
『 風受けて 水面かがやく 田植えかな 』
季語:田植え(夏)
田植えが終わると水田には水が張られ、いろいろな風景を映し出します。風が吹いて水面の日の光がキラキラと輝いている様子を詠んだ句です。
【NO.3】
『 田植え見て 豊作祈る 車窓から 』
季語:田植え(夏)
田植えをしているのを電車の中で見つけて、豊作になりますようにと祈っている様子を詠んでいます。田植えは長期間かけて行うものではないため、車窓からでも立ち会えた喜びを感じる句です。
【NO.4】
『 晴天の 田植えに梅の おにぎりや 』
季語:田植え(夏)
田植えの時期は初夏とはいえ気温が上がるため、塩分を含む梅のおにぎりが嬉しい季節です。これから育てるお米を田植えの時期にも食べているという面白さが「おにぎりや」という表現に表れています。
【NO.5】
『 朝一番 田植えの後が 気になって 』
季語:田植え(夏)
田植えをした後にどうしても気になって朝一番に田んぼの様子を見に来た人を詠んだ句です。どこか見落としがないか、ミスがないか一晩中気になっていたのでしょうか。
【NO.6】
『 はつ田植え 取ろうとしても 足ぬけず 』
季語:田植え(夏)
初めての田植えで、泥の中からなかなか足が抜けなかったという子供たちの様子を詠んでいます。舗装された道を歩くのが普通になっている今では泥の中を歩くのはとても技術のいる作業です。
【NO.7】
『 田植えして つめの中まで 黒いどろ 』
季語:田植え(夏)
田植えをしていたら、爪の中まで黒い泥が入ってしまったという感想の一句です。手足のどちらの爪かは俳句の中では言及されていませんが、足の爪まで泥が入っていて驚いている様子が感じ取れます。
【NO.8】
『 しりもちを ついてしまった 田植えだよ 』
季語:田植え(夏)
足が抜けなかったのか尻もちを付いてしまったと笑っている様子が浮かんできます。慣れない作業を行っているため、どうしてもうまく動けないという感情が感嘆ではなく「田植えだよ」という口語的な表現で表されている句です。
【NO.9】
『 田植え機が ぼくより上手に 苗うえる 』
季語:田植え(夏)
手で植える田植えよりも、早く正確に植えていく田植機の方が上手だなぁと少し拗ねている様子が伺える句です。かつては手植えしかなかった田植えも、今では機械化が進んでいます。
【NO.10】
『 田植えみて 親の後つぐ 決意する 』
季語:田植え(夏)
田植えをしている姿を見て跡を継ごうと決意するという自分自身の決心を詠んだ句です。後継者不足が叫ばれる中で、田植えをしている姿が琴線に触れたのでしょう。
田植え(夏の季語)をテーマにした俳句ネタ集【後半10句】
【NO.11】
『 田植え待つ 水の鏡に 出羽の富士 』
季語:田植え(夏)
田植えが行われる前に水が張られた水田が、鏡のように山を映し出しています。「出羽の富士」とは山形県と秋田県の県境にある鳥海山のことを示しているので、付近で詠まれた一句です。
【NO.12】
『 連休に 田植え汗水 作り人 』
季語:田植え(夏)
連休中に田植えを終わらせてしまおうと汗を流している人々を詠んだ句です。兼業農家では会社の予定もあり、休みのうちに終わらせておく必要があるため連休返上で作業をしています。
【NO.13】
『 街中の 狭き田んぼの 田植えかな 』
季語:田植え(夏)
街中にある狭い田んぼで田植えが行われている様子を詠んでいます。街中ではなかなか見かけませんが、小学校や中学校の農業体験のために田畑が設置されているケースもよく見かけます。
【NO.14】
『 田植えの日 私の家が 水の上 』
季語:田植え(夏)
田植えのために水を張ったところ、家が水の上に浮いているように見えたという写真のような一句です。空と家が水面に映る美しい風景が浮かんできます。
【NO.15】
『 田植えした みなの思いを 苗にこめ 』
季語:田植え(夏)
田植え体験をした後に詠まれた一句です。皆で頑張った思いを植えた苗に託しているかわいらしい俳句になっています。
【NO.16】
『 田植えする 祖父の背中と 空のあお 』
季語:田植え(夏)
田植えをしている祖父の姿が、空の青色と空を反射する田んぼの水面の青に紛れていきそうな様子を詠んでいます。こちらに背を向けてどんどん遠ざかっていく様子が浮かんでくる句です。
【NO.17】
『 校舎から 田の字あざやか 田植えかな 』
季語:田植え(夏)
校舎から見下ろすとまさに「田」の字のように田んぼが見えていると感嘆している一句です。田植えをしている人たちも遠くに見えているのでしょう。
【NO.18】
『 水湛え(たたえ) 後は田植えを 待つばかり 』
季語:田植え(夏)
水を張ってあとは田植えを待つばかりとなった田んぼを詠んでいます。今年も田植えのシーズンがやってきたのだと実感している一句です。
【NO.19】
『 跡取りの 田植見事な 曲がりやう 』
季語:田植(夏)
跡取りが植えた苗が見事に曲がって植えられている様子を面白く感じています。プロである親や親戚にはまだまだ及ばないものの、成長を期待している一句です。
【NO.20】
『 何処(いずこ)より ロック聞ゆる 田植哉 』
季語:田植(夏)
田植えといえば古来より田植え歌を歌うのが伝統でしたが、この句では何処からかロックミュージックが聞こえてくると詠んでいます。現代に合わせた田植えの新しいやり方を示しているかのようです。
以上、田植えをテーマにした学生向け俳句でした!
今回は、田植えをテーマにしたオリジナル俳句を20句紹介しました。
田植えの様子や泥だらけになる初体験の様子、田植機という現代ならではの文明の利器といろいろな俳句が詠まれています。
都心部ではなかなか見かけない光景になりましたが、田植えをしている様子を見かけたときはぜひ一句詠んでみてください。