「4月」と聞いて、皆さんはどのような光景を思い浮かべるでしょうか。
4月になると厳しい冬の寒さが終わり、心地良く暖かな気候になり、過ごしやすい季節になります。さまざまな風景が冬から春へと様変わりしていく様子をみることができるでしょう。
4月は過ごしやすい季節#横浜 pic.twitter.com/ZF0XDSK5uL
— Qoo (@qoo_taiwan) May 2, 2016
4月に美しい花を一面につけた桜が、見事に葉ごと散りました。過ごしやすい気候に喜びつつも、どこが哀しき秋の心。哀愁ただよう季節です。 pic.twitter.com/wr6cwnseST
— So NISHIYAMA (@So_NISHIYAMA) October 7, 2015
色とりどりの花が咲き始める春。暖かな春風が、心も体も優しく包み込んでくれるような気持ちになるのではないでしょうか。
今回は、そんな「4月」の季語を使用したオススメ俳句作品を30句紹介していきます。
4月の季語を使ったオススメ俳句作品集【前編10句】
【NO.1】
『 春空を 綿毛が昇る 通学路 』
季語:春空(春)
「昇る」は、朝日が昇る・天に昇る・日が昇る等、「空中に高くあがる」ことを意味しています。「綿毛が昇る」という言葉から、ふわふわと綿毛が空中に舞い上がる様子が想像できます。春ならではの光景を楽しむことができる通学路。通うのが楽しくなりますね。
【NO.2】
『 うぐいすの 鳴き声きいて 外に出る 』
季語:うぐいす(春)
うぐいすは、季節によって鳴き声が変化するといわれています。春になり、気温が上昇してくると「ホーホケキョ」と鳴き、春の訪れを告げます。作者が聞いた「ホーホケキョ」の鳴き声は、きっとこれでしょう。「外に出る」という言葉は、鳴き声をもっと聞きたくて外に出たという意味と、冬から春になりやっと外に出ることができた、という意味合いが込められているように感じます。
【NO.3】
『 蝶々が 蜜を吸い上げ しぼませる 』
季語:蝶々(春)
さまざまな花が色鮮やかに咲き始める春。蝶々もこの季節を心待ちにしていたこでしょう。「しぼませる」という言葉は、蝶々の喜びを上手に表現しています。ぽかぽかと暖かな気候の中、花にたくさんの蝶々が集まる光景が目に浮かびます。
【NO.4】
『 たんぽぽの 綿毛ふわふわ かわいいな 』
季語:たんぽぽ(春)
ふわふわと柔らかなたんぽぽの綿毛。見ているだけで幸せな気持ちになるようなふわふわ感があります。たんぽぽの綿毛を見た作者の素直な想いがそのまま表現されている一句です。
【NO.5】
『 桜咲く まだ見ていたい いつまでも 』
季語:桜(春)
日本の象徴ともいえるような桜。わずかに咲き始めた桜も、満開に咲く誇る桜もどちらも素敵な光景ですね。桜の時期を好む人も多いことでしょう。「いつまでも」見ていたい、という作者の想いに共感する人も多いのではないでしょうか。
【NO.6】
『 さくらもち ふわふわしてて おいしいな 』
季語:さくらもち(春)
さくらもちの見た目を「ふわふわ」ととても可愛らしい言葉で表現しています。そっと手のひらにのせて、にこにこ優しい笑顔でさくらもちを見つめる作者の姿が目に浮かびます。さくらもちを食べたいなぁと思うような素敵な一句です。
【NO.7】
『 お気に入りの 服をしまって 春惜しむ 』
季語:春惜しむ(春)
暖かな春の終わりの頃を詠んだ一句です。「お気に入り」の服を片付けながら春を惜しみ、思いを馳せる作者の姿が想像できます。
【NO.8】
『 毎日の 見慣れた道路 遅桜 』
季語:遅桜(春)
毎日通る見慣れた道路に、いつもとは違う風景を見つけたのでしょう。他の桜の時期よりも遅く咲く「遅桜」。春の終わりを感じる桜に、作者は少し切ない想いを抱いたかもしれませんね。
【NO.9】
『 おかえりと 祖母の両手に 伊予みかん 』
季語:伊予みかん(春)
作者を「おかえり」と出迎えてくれたおばあちゃん。あふれる笑顔で、両手にみかんを持つ姿が想像できます。きっと作者に早く食べさせてあげたかったのでしょう。おばあちゃんの愛を感じますね。
【NO.10】
『 うららかに 流れる川に 空うつる 』
季語: うららか(春)
「うららか」とは、空が明るく晴れて、のどかで柔らかい日が照っている様子をいいます。春のあたたかな柔らかい陽気の中、空も川もきらきらと輝いている様子が目に浮かびます。穏やかな時間を感じる一句です。
4月の季語を使ったオススメ俳句作品集【中編10句】
【NO.11】
『 春の空 新たに出会う 仲間たち 』
季語:春の空(春)
春といえば、新年度。新しい環境で、新たなスタートをきる人も多いことでしょう。「新たに出会う」仲間はどのような人でしょうか。いろいろなことに想いを馳せながら、ドキドキ緊張している作者の様子が目に浮かびます。
【NO.12】
『 春風が 草木揺さぶり 吹きぬける 』
季語:春風(春)
心地良い春の風が、草木の間を吹き抜ける様子を表現しています。「揺さぶる」という表現がとても上手で、サラサラと草木が爽やかに揺れているような光景が想像できる一句です。
【NO.13】
『 春の空 くじらの雲が 浮かんでる 』
季語:春の空(春)
穏やかで柔らかな春の空。きれいに晴れ渡る空に、大きな雲を見つけたのでしょう。「くじらの雲」という表現がとても素晴らしいです。くじらのように大きくて雄大な雲が空一面に広がっている様子が目に浮かびます。
【NO.14】
『 登下校 どこまでも続く 桜の道 』
季語:桜(春)
作者が通る通学路は、「桜の道」なのですね。春ならではの素敵な光景を毎日見ることができることはとても羨ましいです。「どこまでも続く」桜並木。遠くまでずっと続く美しい風景に心が癒されることでしょう。
【NO.15】
『 春の川 あっちこっちで 鳥の声 』
季語:春の川(春)
暖かな春の陽気に誘われて、川沿いに鳥がたくさん集まっているのでしょう。多くの鳥が春の訪れを喜びながら、たくさんおしゃべりしているのかもしれませんね。「あっちこっちで」という表現がとてもかわいらしくほっこりした気持ちになります。
【NO.16】
『 登り坂 桜の下で ひと休み 』
季語:桜(春)
長い坂道を歩く先に大きな桜の木がある風景が想像できます。一生懸命歩いて、桜の木まで到着した作者。お花見気分で、桜を楽しみながら休憩している様子が目に浮かびます。春ならではの穏やかな光景ですね。
【NO.17】
『 お弁当 桜の花びら 入りけり 』
季語:桜(春)
お花見でしょうか。それとも屋外でのランチタイムでしょうか。柔らかい日差しが差し込む中、穏やかな春風に吹かれた花びらがひらひらと舞う様子が目に浮かびます。お弁当に春色が加わりましたね。
【NO.18】
『 春の空 いろんな雲が 笑ってる 』
季語:春の空(春)
暖かですっきりとしたのどかな春の空。心地良い気候で広い空をゆっくりと見上げたくなりますね。作者が見つけたたくさんの雲は、どの雲も穏やかに「笑ってる」ように見えたのでしょう。感性が素晴らしいです。
【NO.19】
『 昼休み 桜ひらひら 舞う廊下 』
季語:桜(春)
昼休み。ふと廊下をみると桜がひらひらと舞っている様子を見つけたのでしょう。開いていた廊下の窓から、春風にのってやってきたのかもしれませんね。暖かな陽気で、窓をあけることができる気候だからこそ見ることができる美しい光景ですね。
【NO.20】
『 春の朝 大きな服に 袖通す 』
季語:春の朝(春)
春の朝、4月ならではの光景ですね。「大きな服」はこれからの成長を意識してのこと。「大きな服」はあっという間に、「ちょうど良いサイズ」になることでしょう。ドキドキとわくわくが入り混じる作者の心の動きを感じる一句です。
4月の季語を使ったオススメ俳句作品集【後編10句】
【NO.21】
『 大空の 富士の麓の 芝桜 』
季語:芝桜(春)
大空が広がる富士山の裾野の芝桜を詠んだ一句です。広がる空と一面の芝桜、見上げる富士山のコントラストが美しい句になっています。空の青、富士山の白、芝桜の赤紫色と色彩豊かな一句です。
【NO.22】
『 なにもかも 忘れてしばし 桜かな 』
季語:桜(春)
何もかも忘れてしばし桜に見入っていた様子を詠んだ句です。桜の見事な咲き方にしばし言葉を忘れています。散歩していたのか、お花見をしにきたのか、見入ってしまった作者の用事が気がかりになる一句です。
【NO.23】
『 入学式 やんちゃ坊主も 凛々しくて 』
季語:入学式(春)
あのやんちゃ坊主が凛々しく入学式に臨んでいる、と感動している一句です。やんちゃと凛々しくの対比が、子供の成長を感じさせます。昨日までと違い、凛々しい顔をして一年生になるわが子を詠んだ句です。
【NO.24】
『 まだ米の かたちのままの 桜餅 』
季語:桜餅(春)
これから餅の形にするのか、それとも米の食感を残した桜餅なのか、どちらを想像するかで浮かんでくる風景が変わってきます。お店によって作り方の違う桜餅に思いを馳せてみましょう。
【NO.25】
『 桜散る ベンチに人の 影は無く 』
季語:桜散る(春)
人影のないベンチに桜の花びらが降り積もる様子を詠んでいます。長時間人がいなかった事がわかる一句です。散っていく桜の美しさを誰も見ることがないという寂しさも感じられます。
【NO.26】
『 春星の まち針まばら 夜の帳 』
季語:春星(春)
春の星の輝きをまち針に例えた一句です。星を針刺しに刺されたまち針に例えたユーモアのある表現になっています。先端にいろいろな飾りがついているものが多いですが、星に例えるほどきれいな飾りがついていたのかもしれません。
【NO.27】
『 ひとひらの 空に消へゆく 春の雪 』
季語:春の雪(春)
春の雪が空に消えていく様子を詠んだ句です。「ひとひら」という表現から、一瞬だけ降ってすぐに溶けてしまった雪の様子が浮かんできます。冬のように積もるのではなく、一瞬の儚さを詠んでいます。
【NO.28】
『 今朝の春 ほら見てごらん 空に藍 』
季語:春(春)
春の朝の色が美しい藍色だと誰かに教えている一句です。「ほら見てごらん」という表現から、あれが藍色だよと教えているような雰囲気を感じます。指をさして教えているのは子供でしょうか。
【NO.29】
『 洗顔の 水心地よし 春の空 』
季語:春の空(春)
洗顔の水は冬はとても冷たいことが多いですが、春になると心地よい温度になります。外気温も上がるため、顔を洗うのが気持ちよい季節だと空を見ながらお手入れをしているのでしょう。
【NO.30】
『 吹いてくる 窓の夜風や 春の宵 』
季語:春の宵(春)
窓から春の夜風が吹いてくる様子を詠んでいます。春は夜も気温が上がるため、心地よい風が吹き込んでいる様子が浮かぶ句です。窓を開けて夜風と夜景を楽しめる暖かい夜の空気が感じ取れます。
以上、4月に関するオススメ俳句作品集でした!
「4月」は、日本においては新年度であり、新入学・進級の時期です。
新しい環境で、新たな一歩を踏み出す人も多いのではないでしょうか。
新しい環境へ踏み出すことはとても勇気がいることですが、決して無理することはありません。自分のペースを大事にしてください。きっと、新しい居場所・自分が心地良い場所を見つけることができる日がくるはずです。