四季がある日本では、それぞれの季節ごとの自然や植物、生活や行事等に関連した季語が数多くあります。
歳時記(季語・解説・例句等がまとめられた辞典のようなもの)の季語は、二十四節気をもとに季節が分けられており、1月は、二十四節気で「小寒(1月5日頃)から大寒(1月20日頃)」頃にあたります。
二十四節気とは、節分を基準に1年を24等分して約15日ごとに分けた季節のこと
1月20日大寒は、一年でもっとも寒い時期
小寒から大寒までの15日間と大寒から立春までの15日間の合計30日間が「寒の内」です。
冬の季節の最後の節気。 pic.twitter.com/Z478hTQBtd— ツイてる!bot ☆゛ (@sei1783jp) January 19, 2015
厳しい寒さの中、訪れる新しい年のはじまりである1月…。1月ならではの「冬の寒さや厳しさ」を俳句から感じることができるのではないでしょうか。
今回は、「1月の季語」を使ったオススメ俳句作品を30句紹介していきます。
目次
1月の季語を使ったオススメ俳句作品集【前編10句】
【NO.1】
『 ジャンプする 氷のパズル できあがり 』
季語:氷(1月・冬)
ジャンプをして割れた氷の様子を「パズル」のようであると表現しています。きっと、さまざまな形に氷が割れたのでしょう。とても上手な表現で、光景が想像できます。
「できあがり」の一言がとても微笑ましく感じる一句です。
【NO.2】
『 富士山を 背中にしょって スキーした 』
季語:スキー(1月・冬)
富士山が近くにあるスキー場なのでしょう。「背中にしょって」という表現から、作者の後ろにある富士山の大きさを感じます。富士山に後ろから見守られながらスキーを楽しむ作者の様子が目に浮かびます。
【NO.3】
『 とけかけの ゆきだるまさん ねむたそう 』
季語:ゆきだるま(1月・冬)
溶けかけの雪だるまの様子を詠んでいます。溶けてきた雪だるまの目や鼻がたれてきてしまっているのでしょう。溶けてきている雪だるまの表情を「ねむたそう」と表現しています。表情が想像できる、とても上手な一句です。
【NO.4】
『 手ぶくろは 迷子になって 泣いている 』
季語:手ぶくろ(1月・冬)
手袋が片方だけ落ちている様子を詠んだ一句です。手袋を擬人化し、「迷子になって泣いている」と表現しています。落ちていてかわいそう…という作者の優しくてあたたかい気持ちが伝わります。
【NO.5】
『 模試終わり どこもかしこも 雪だるま 』
季語:雪だるま(1月・冬)
作者が模試を受けた帰り道で見た光景を詠んでいます。近くの子どもたちがつくったのでしょうか。雪だるまがたくさん並んでいる光景が目に浮かびます。「どこもかしこも」という表現から雪だるまの多さが伝わるとても面白い一句です。
【NO.6】
『 雪ふれば ぼくの体は ロボットだ 』
季語:雪(1月・冬)
寒さで体が固くなってしまうことを「ロボット」と表現しています。雪が降るとさらに寒くなるので、ぎこちなく動くロボットのようになってしまう、とユーモアたっぷりに表現している上手な一句です。
【NO.7】
『 パパとママ 真ん中ぼくで スケートし 』
季語:スケート(1月・冬)
パパとママとスケートに行ったのでしょう。パパとママの間で手をつないで楽しそうにスケートしている作者の様子が想像できます。3人でスケートを楽しんでいる光景がとてもよく伝わる一句です。
【NO.8】
『 出勤の 道に昨日の 雪だるま 』
季語:雪だるま(1月・冬)
作者が出勤時に見た光景を詠んだ一句です。昨日、雪がたくさん積もって、雪だるまをつくって遊んでいた子どもがいたのでしょう。雪だるまに「いってらっしゃい」と言われているような気分になったかもしれませんね。
【NO.9】
『 雪の地面 ふんだらキュッと 音がした 』
季語:雪(1月・冬)
雪がたくさん積もっているのでしょう。少し固まっている雪を踏んでみた作者が感じたことをそのまま表現しています。何度も音を楽しんでいる作者の様子が目に浮かびます。「キュッと音がした」というとても素直で真っすぐな表現がとても可愛らしい一句です。
【NO.10】
『 冬の朝 車につららの あごひげだ 』
季語:つらら(1月・冬)
冬の朝に見た光景を表現した一句です。車に大きなつららがあったのでしょう。「あごひげ」という表現がとても上手です。車にあるつららの様子がとてもよく伝わり、想像力が素晴らしい一句です。
1月の季語を使ったオススメ俳句作品集【中編10句】
次の10句を紹介していくよ!
【NO.11】
『 雪だるま 冬限定の おともだち 』
季語:雪だるま(1月・雪)
雪だるまのことを「冬限定のお友だち」と、とても可愛らしく表現しています。「限定」という言葉から、わずかな時間しか遊ぶことができないことを悲しく思っている作者の気持ちも伝わり、少し切ない気持ちになる一句です。
【NO.12】
『 霜柱 思わず足を 踏み入れる 』
季語:霜柱(1月・冬)
寒い冬、霜柱を見つけたのでしょう。人間の心理というものなのか、「思わず」という表現がとても良い一句です。足を踏み入れてみたくなるほどたくさんの霜柱があったのかもしれませんね。
【NO.13】
『 つららはね かいじゅうの歯に そっくりだ 』
季語:つらら(1月・冬)
つららを見て感じたことを詠んだ一句です。たくさんのつららを、「かいじゅうの歯」と表現する想像力がとても素晴らしいです。「かいじゅう」という言葉から、とても大きなつららがある光景が想像できます。
【NO.14】
『 手袋で 耳をおさえて 通う道 』
季語:手袋(1月・冬)
寒い冬の様子が伝わる一句です。毎日通っている道なのでしょうか。「耳をおさえて」という表現から、気温が低くとても寒い様子がよく伝わります。
【NO.15】
『 スケートや よちよち歩く 大人たち 』
季語:スケート(1月・冬)
スケート場での人々の様子を表現しています。「大人」が「よちよち歩く」というユーモアたっぷりの表現が面白い一句です。よちよちの大人がたくさんいたのでしょうね。スケート場の光景が目に浮かびます。
【NO.16】
『 雪がふる やねの上にも つもるかな 』
季語:雪(1月・冬)
雪の降りはじめの様子でしょうか。屋根の上にも積もるかな?とわくわく楽しそうに空を見上げる作者の様子が目に浮かぶようです。「つもるかな」は「つもってほしいな」という作者のかわいらしい願いでしょうね。
【NO.17】
『 雪だるま 次の日見たら いなかった 』
季語:雪だるま(1月・冬)
雪だるまをつくって遊んだのでしょう。翌日、雪だるまがとけてなくなってしまい、作者の悲しい気持ちがとてもよく伝わる一句です。「とけてなくなった」ではなく、雪だるまを擬人化し「いなかった」と、とても上手に表現しています。
【NO.18】
『 ひえい山 白いマフラー まいている 』
季語:マフラー(1月・冬)
比叡山に雪が積もっている様子を詠んでいます。とてもきれいに美しく雪をまとっている比叡山の光景が目に浮かびます。「白いマフラー」という表現がとても良い一句です。
【NO.19】
『 雪だるま 溶けて笑顔が 消えていく 』
季語:雪だるま(1月・冬)
溶けてしまった雪だるまの様子を表現しています。つくって遊んだときは、笑顔いっぱいだった雪だるま。溶けてしまい、顔が崩れてしまったのでしょう。「笑顔が消える」という表現から雪だるまの様子がとてもよく伝わります。
【NO.20】
『 雪ふる日 寝ているときに すずの音 』
季語:雪(1月・冬)
「すずの音」といえば…「あの音」のことでしょうか。皆が楽しみに待ち望む音のことを表現しているのかもしれませんね。表現がとてもきれいで、雪が降る中で鈴の音が響く、美しい光景が目に浮かびます。
1月の季語を使ったオススメ俳句作品集【後編10句】
【NO.21】
『 冬の海 荒波白く 光る朝 』
季語:冬の海(冬)
冬の海は日本海側は波が荒く白い飛沫が見えます。そんな波が光るように太陽がさし込む朝だと感動しています。冬の朝日の光に照らされて、荒波ですら輝く自然の美しさを詠んだ句です。
【NO.22】
『 冬の朝 何語り合う 屋根すずめ 』
季語:冬の朝(冬)
屋根の上のスズメたちが何かを話し合っているように見える冬の朝の様子を詠んでいます。寒いために身を寄せあっているスズメたちが見えるような一句です。「語り合う」と詠んでいることから、鳴き声も聞こえてくるようです。
【NO.23】
『 正月の 庭に珍客 ひらひらと 』
季語:正月(新年)
正月という寒い時期に蝶という珍客がやってきた、と眺めています。寒さに強い蝶なのか暖かい正月だったのか、ひらひらと舞う蝶を眺めています。思わぬ珍客に楽しそうにしている様子が伺えます。
【NO.24】
『 うやむやな 年のけじめや 正月飾り 』
季語:正月飾り(新年)
ウヤムヤになりそうな1年のケジメとして正月飾りをつけると詠んでいます。仕事が忙しい人は大晦日や正月も休めないため、正月飾りをつけることで年が明けることを認識しています。
【NO.25】
『 若水は エスプレッソで ブラックで 』
季語:若水(新年)
「若水(わかみず)」とは元旦の朝早くに誰かと会っても無言のまま井戸から汲み上げた水のことで、無病息災などの効果があると言われていました。この作者は若水代わりにコーヒーのエスプレッソをブラックで飲んでいます。
【NO.26】
『 初売りや 人の群れ縫う 人の列 』
季語:初売り(新年)
初売りで混雑している様子を詠んだ句です。人の群れを縫うように人の行列が延びているという大盛況の様子が伺えます。作者は初売りの列に並んでいるのか、人の群れの中にいるのか、どちらでも取れる句です。
【NO.27】
『 枚数の 減って嬉しや お年玉 』
季語:お年玉(新年)
お札の枚数が千円札から1万円札に変わったことを「枚数の減って」と表現しています。年齢が上がり、お年玉の金額が上がったことを喜んでいます。
【NO.28】
『 気持ちだけ まっさらになり 初日の出 』
季語:初日の出(新年)
気持ちだけがまっさらになった気分がしているけれど、いつもどおりの日々が始まると初日の出を見て考えています。もしかすると元旦でも出勤する人なのかもしれません。元旦でも変わらない日々を詠んだ一句です。
【NO.29】
『 日本茶で 子どもバージョン 屠蘇代わり 』
季語:屠蘇(新年)
「屠蘇(とそ)」とは最近ではお酒の事ですが、かつてはさまざまな生薬を入れた厄除けの飲み物でした。子供にお酒は無理なので、日本茶でお屠蘇ということにしています。
【NO.30】
『 七草や 思ひだせずに あと二つ 』
季語:七草(新年)
七草粥の日ですが、あと二つが思い出せないと悩んでいます。「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずじろ、これぞ春の七草」とテンポよく覚えてみましょう。
以上、1月の季語を使ったオススメ俳句作品集でした!
さいごに
「1月の季語」といわれると、何が1月の季語なのだろうか…?と悩んでしまう方も多いと思います。
1月の季語は、「雪」「吹雪」「氷」「氷柱」「雪投げ」「スキー」「スケート」「アイスホッケー」「新年」「初日の出」「お年玉」などがあります。
身近なものや、よく知っているようなものではないでしょうか。
自分に近いような季語から少しずつ深く学んでいくと、俳句の幅も広がり、より楽しくなります。
他にもたくさんの「1月の季語」があります。どのような季語があるのか調べてみるのも面白いかもしれませんね。