「桜餅」は塩漬けの桜の葉で包んだ餡入りの餅で、江戸時代に考案されました。
季語としての季節は「晩春」で、ちょうど桜の花の咲く時期です。
節分…
桜餅葉の塩加減よろしきや たかお#俳句 pic.twitter.com/Wzo7iE7XI4
— Takao (@Tanota2) February 3, 2015
今回は、「桜餅」を季語に使った俳句ネタを20句ご紹介します。
桜餅を季語に使った俳句ネタ集【前半10句】
【NO.1】
『 とりわくる ときの香もこそ 桜餅 』
季語:桜餅(春)
意味:取り分ける時の香りがとてもよい香りの桜餅であることだ。
こちらは句またがりの俳句です。桜餅は独特の香りがするため、まだ食べていない取り分けているときの香りすら素晴らしいと称えています。
【NO.2】
『 リボンつけ ペットにしたい 桜餅 』
季語:桜餅(春)
意味:リボンを付けてペットにしたいくらい可愛らしい桜餅だ。
桜餅は丸っこく可愛らしい形をしています。お餅のような形をしたぬいぐるみも売っていますので、そんなぬいぐるみを連想して「リボンをつけ」と詠んだのでしょうか。
【NO.3】
『 桜餅 身を固めても 良い年に 』
季語:桜餅(春)
意味:桜餅を食べている。そろそろ身を固めてもいい年齢になった。
桜餅という柔らかいものと、結婚を意味する「身を固めて」が対になっています。春という心機一転する季節だからこそ、身の振り方を考えようという心境になった句です。
【NO.4】
『 桜より 僕は食べたい 桜餅 』
季語:桜餅(春)
意味:桜を見るよりも、僕は桜餅が食べたいなぁ。
まさに「花より団子」ならぬ「花より桜餅」の句です。体言止めと倒置法の組み合わせが早く食べたそうな筆者の感情をよく表しています。
【NO.5】
『 桜餅 いただく前の 正座かな 』
季語:桜餅(春)
意味:桜餅をいただく前に正座しなくてはならないなぁ。
どこかのお宅に訪問したときの一句でしょうか。茶菓子の桜餅を前にまずはお互いあいさつをしようと正座をしている光景が目に浮かびます。
【NO.6】
『 一雨が 緑濃くして 桜餅 』
季語:桜餅(春)
意味:一雨一雨降る度に、葉の緑が濃くなっていく、桜餅の季節だ。
春の雨は一雨降るごとに夏に近づいているような感覚を覚えます。木々の緑が徐々に濃くなっていく様子と、晩春という初夏が近い季節の「桜餅」がよく映える句です。
【NO.7】
『 桜餅 明日からずっと 寝放題 』
季語:桜餅(春)
意味:桜餅を食べる。定年退職をむかえ、明日からはずっと寝放題の日々だ。
定年退職されたばかりの方の句です。年度末に退職して桜餅を食べているのでしょうか、明日からずっと通勤していた仕事がもう無く、朝寝坊ができる感慨深さを感じます。
【NO.8】
『 食べるのは 桜餅プラス デニッシュパン 』
季語:桜餅(春)
意味:今から食べるのは、桜餅とデニッシュパンだ。
桜餅とデニッシュパン、和菓子と洋風のパンの組み合わせです。「桜餅と」ではなく「桜餅プラス」と詠むことでおどけた雰囲気を感じるので、おやつのメニューでしょうか。
【NO.9】
『 桜餅 やっと塩味の 調和知り 』
季語:桜餅(春)
意味:桜餅を食べる。やっと桜餅に塩味があることによる味の調和がわかるようになった。
桜餅は甘いだけではなく、葉が塩漬けにされているため塩分を含みます。子供の頃はただ甘いものだけを好む人が多かったでしょうが、大人になって塩味があることによる調和がわかるようになった、月日の経過を感じる句です。
【NO.10】
『 釣銭は 賽銭となる 桜餅 』
季語:桜餅(春)
意味:買った後の釣り銭はお賽銭になる。桜餅を食べよう。
桜餅を買った帰りにお寺か神社に寄っているのでしょう。桜餅を買ったときにお釣りとして渡された細かいお金が、そのままお賽銭になっています。
桜餅を季語に使った俳句ネタ集【後半10句】
【NO.11】
『 桜餅 懐紙(かいし)に移り香の 仄か(ほのか) 』
季語:桜餅(春)
意味:桜餅をいただいた。懐紙に桜餅の移り香がほのかに漂っている。
こちらは句またがりの俳句です。懐紙とは茶道などで使用するもので、いただいたお菓子を置いたり口元をふいたりするのに使います。移り香が漂っているので、桜餅を懐紙に置いていたのでしょう。
【NO.12】
『 旨そうな 桜餅のごと 八重桜(やえざくら) 』
季語:桜餅(春)
意味:おいしそうな桜餅のようにふっくらとした八重桜の花よ。
桜餅そのものではなく、八重桜のふっくらとした花を桜餅に例えた句です。八重桜はソメイヨシノと違って八重咲きのため、一つ一つの花がよく目立ちます。同じ「桜」に例えたのがユーモアあふれる句です。
【NO.13】
『 万歩計 酷使の後や 桜餅 』
季語:桜餅(春)
意味:万歩計を酷使するほどに歩いた後だ。桜餅の味がまた格別である。
春の散歩か、仕事中に歩き回るために万歩計を付けていたのか、どちらにしろ酷使と表現するほど動き回ったあとに桜餅を食べています。疲れたときの甘味は特別おいしく感じられますが、体言止めで結んでいることからそのおいしさが伺える句です。
【NO.14】
『 車座(くるまざ)で 桜餅食ぶ ビル現場 』
季語:桜餅(春)
意味:車座になって桜餅を食べている。ビルの建設現場だ。
誰かからの差し入れでしょうか。休憩中の建設現場で、作業服を着た作業員たちが車座に座って桜餅を食べています。筆者は他のビルの上から同じく休憩中に眺めているのかもしれません。
【NO.15】
『 父のため 砂糖ひかえめ 桜餅 』
季語:桜餅(春)
意味:父のために砂糖をひかえめにした桜餅を作ろう。
桜餅だけでなく、和菓子や洋菓子はかなりの砂糖を使用します。健康に気を使う年齢になった父親に、砂糖をひかえめにした手作り桜餅を振る舞おうという優しい子供の気遣いの一句です。
【NO.16】
『 桜餅 皿に残る葉 残らぬ葉 』
季語:桜餅(春)
意味:桜餅を食べている。大皿に桜餅から外された葉が残ったり、葉ごと食べて残らなかったりするものだ。
桜餅の葉は一緒に食べる人と残す人がいます。大勢で大皿に桜餅を盛っていたのか、人によって葉の残り具合が違うのが面白い光景です。
【NO.17】
『 お好みを 言ふと関東 桜餅 』
季語:桜餅(春)
意味:私の好みと言うと関東風の桜餅だなぁ。
桜餅には関東風の長命寺と、関西風の道明寺があります。クレープ状にした生地で餡を包むのが長命寺、もち米を粗く挽いた道明寺粉と呼ばれるもので餡を包むのが道明寺です。皆さんの好みはどちらでしょうか?
【NO.18】
『 大学は 画面の向かふ 桜餅 』
季語:桜餅(春)
意味:大学は画面の向こうのオンライン授業だ。桜餅を食べつつ講義を受けている。
大学がオンライン授業を行っているからこそ、間食として桜餅をつまみながら授業を受けています。桜餅は春のお菓子ですので、筆者は入学したての新入生かもしれません。
【NO.19】
『 ダイエット 敵となりたる 桜餅 』
季語:桜餅(春)
意味:ダイエットの敵になっている。おいしそうな桜餅だ。
生地や餡に砂糖がたっぷり含まれている桜餅は、カロリーも高くダイエットの天敵です。しかしよい香りもするため、ついつい手が伸びてしまうのもわかります。我慢できたのか、一つだけとつい食べてしまったのか、想像がふくらむ句です。
【NO.20】
『 桜餅 散らない内に 召し上がれ 』
季語:桜餅(晩春)
意味:桜餅ですよ。「桜」が散らないうちにどうぞ召し上がれ。
桜餅は葉を使うため散ることはありませんが、花の桜と桜餅の桜を掛けた句です。桜の花のようにすぐに散ってしまわないうちに、早く召し上がれという非常に上手な句です。
以上、桜餅を題材にして詠んだオススメ俳句でした!
今回は、「桜餅」を季語に使用した俳句ネタを20句ご紹介してきました。
桜餅はその独特の香りや味を詠んだ句が多く、春の風物詩として多くの人に愛されている様子がわかる句が並んでいます。
春は花見もよいですが、花より団子ということで桜餅でも一句詠んでみてはいかがでしょうか。