世界で一番短い文学といわれている俳句。
わずか17文字の世界に想いを込める俳句は、日本人にとって身近なものであり、学校等の宿題として出される機会も多いです。
しかし、「どのように俳句をつくったら良いのか分からない…」と悩んでしまう方も多いと思います。
そこで今回は、俳句作りの参考になる「冬」をテーマにした高校生向け俳句を20句紹介していきます。
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ふと見上げれば
冬の虹#haiku #kigo pic.twitter.com/DKyBbYJvaF— とんぼ (@tonbo_yu_yu) December 14, 2016
冬をテーマにした高校生向けおすすめ俳句【前半10句】
【NO.1】
『 冬の朝 友と会話で 息白し 』
季語:息白し(冬)
寒い冬の時期、お友だちと会話していると吐く息が白く見えたのでしょう。「息白し」という言葉から気温がとても低く空気が冷たい様子がとてもよく伝わります。吐く息が真っ白にみえるくらい寒くても、お友だちとのおしゃべりは楽しくてなかなか終わらないのではないでしょうか。
【NO.2】
『 雪やんで 庭は静かに 違う顔 』
季語:雪(冬)
雪が長い時間降り続いていたのでしょう。庭に「静かに」降り積もっていく雪。「静かに」という言葉は雪がどんどん積み重なっていく光景をとても上手に表現しています。雪が降る前と降った後、その違いを「違う顔」と表現している作者のセンスが素晴らしいです。雪が降り積もった美しい光景が目に浮かびます。
【NO.3】
『 熊真似て まだ寝ていたい 冬の朝 』
季語:熊(冬)
寒い冬の朝はなかなかお布団から出られないですよね。あたたかいお布団の中にずっとくるまっていたい…作者のそのような気持ちがとてもよく伝わります。冬眠する熊をイメージして「熊真似て」と表現しているのがとても可愛らしいです。
【NO.4】
『 心まで あたたかくする おでんかな 』
季語:おでん(冬)
気温が低く寒い冬。体の芯までしっかりと冷え込んでしまっている状態でのおでんは最高ですよね。体全体がじわじわとあたたかくなっていく感じが伝わります。「心まで」あたたかくしてくれるおでん。おでんを用意してくれた人への感謝の想いも込められているように思います。
【NO.5】
『 冬が来た 毎年思う 春まだか 』
季語:冬(冬)
寒い寒い冬。冬は苦手…という方も多いのではないでしょうか。ついに冬がきてしまった、という悲しい気持ちが伝わります。そして「早く春が来てほしい!」という作者の願いがユーモアのある言葉で表現されています。
【NO.6】
『 白き息 「見て!」と見せ合う 子どもかな 』
季語:白き息(冬)
気温が低くなり空気が冷たくなると吐く息が白く見えます。息を吐くたびに、そしておしゃべりするたびに、真っ白にみえるのはとても面白くて楽しいですよね。「見てみてー!」と白い息を見せ合う子どもたちの可愛い姿が目に浮かびます。
【NO.7】
『 冬支度 みかんなければ 未完成 』
季語:みかん(冬)
冬といえば「みかん」ということでしょうか。やはり「みかん」は必需品!ということで、「みかん」と「みかん(せい)」を上手にかけたリズムの良い楽しい一句です。作者のセンスがとても素晴らしいです。
【NO.8】
『 「おかえり」で 体は寒いが ホットする 』
季語:なし
寒い中、家に帰ってくる。そして「おかえり」という言葉に迎えられたとき、心がとてもあたたかくなりますよね。大きな幸せを感じる瞬間なのではないでしょうか。「ほっと」する心と、「hot(ホット)=あつい・あたたまる」をかけて、とても上手に表現しています。
【NO.9】
『 雪の朝 そろりそろりと 歩を進める 』
季語:雪(冬)
「歩を進める」とは、歩いて行く・先へ進むことを意味します。夜の内にたくさんの雪が降り積もったのでしょう。「そろりそろり」という言葉がとても良いアクセントになっているように思います。真っ白な世界を、ゆっくりと静かに雪をふみしめながら歩いていく朝の光景。とても素敵ですね。
【NO.10】
『 じゃんけんで みかん取り合う 幼き日 』
季語:みかん(冬)
冬といえばやはり「みかん」でしょうか。たくさんみかんを食べたい!と取り合いになってしまうほど、みかんは人気であることが伝わります。みかんを見てふと、幼き日を思い出した作者。とても微笑ましい懐かしい光景ですね。
冬をテーマにした高校生向けおすすめ俳句【後半10句】
【NO.11】
『 炬燵(こたつ)にて 家族団らん おでんかな 』
季語:おでん(冬)
寒い冬は炬燵に入ってあたたかいおでんを家族皆で囲む。「家族団らん」という言葉がピッタリの素敵な光景ですね。炬燵やおでんのあたたかさだけでなく、家族の絆というあたたかさも感じます。
【NO.12】
『 良いことの 起こるを願ひ 日記買ふ 』
季語:日記買ふ(冬)
新しい一年を迎えるとき。新しい一年は、今まで以上にさらに良いことがたくさんありますようにと願いながら新しい日記を買う。とても素敵な習慣ですね。年末から新年のあたり、もしくはもっと早い時期に購入している方もいらっしゃるかもしれませんね。
【NO.13】
『 初雪は まだかまだかと 空を見る 』
季語:初雪(冬)
雪が降ることをとても楽しみにしているのでしょう。「まだかまだかと」という思いで空を見上げる姿が微笑ましいですね。とても可愛らしい一句です。
【NO.14】
『 人情で 怪我なく歩く 冬の道 』
季語:冬(冬)
寒い冬、気温が低くなり道が凍ってしまうこともあるでしょう。雪が降り積もってしまうこともあると思います。そのような時でも怪我をすることなく歩くことができる。地域の人々のあたたかな心・思いやりで、道をきれいにしてくださっているからこそのこと。とても素晴らしいことだと思います。感謝の思いを忘れないようにしないといけないですね。
【NO.15】
『 動けない 動きたくない 炬燵から 』
季語:炬燵(冬)
ぽかぽかあたたかい炬燵。寒い冬の時期は炬燵に入ったら、出るのは大変ですよね。「動けない」作者の思いがとてもよく伝わります。そして「動きたくない」という思いに共感する方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。とてもテンポの良いユーモアいっぱいの一句です。
【NO.16】
『 冬の空 風に舞う雪 星のよう 』
季語:雪(冬)
冬の空を見上げた時、雪がきれいに風に舞う光景が見えた。とても美しい光景であることが想像できます。風に舞う雪が、時々キラキラと光る瞬間。その光景がまさに空に広がる星のようにみえたのでしょう。
【NO.17】
『 出汁染みた 大根食べて ぽっかぽか 』
季語:大根(冬)
お出汁がしっかりと染み込んだ大根。煮物でしょうか、おでんでしょうか。寒い時期ですとなおさら美味しく感じますよね。「ぽっかぽか」という言葉がぴったり!体の芯からあたたまる大根を食べたくなる一句です。
【NO.18】
『 家族から 買ってもらいし 冬帽子 』
季語:冬帽子(冬)
寒い冬の時期の防寒具。あたたかい帽子を家族からプレゼントされた作者。帽子のおかげで暖かくなったのはもちろんのこと、家族からの優しい心遣いに作者の心の中もとてもあたたかくなったのではないでしょうか。
【NO.19】
『 日記買ふ 来年こそはと 意気込みて 』
季語:日記買ふ(冬)
毎年新しい日記を買う作者。今年こそは!の気持ちはあるけれど、やはりなかなか続かない。「来年こそは」と心を新たに新しい日記を購入したことでしょう。来年は文字があふれる日記になると良いですね。
【NO.20】
『 窓を拭き 畳も拭きて 師走(しわす)かな 』
季語:師走(冬)
「師走」とは、旧暦で12月のことを指し、新暦12月の和風月名となっています。12月。新しい年を迎える準備で忙しくなる時期ですね。「窓を拭き 畳も拭きて」、完璧にお掃除を終えた作者。とても気持ちの良い空間で新しい一年を迎えることができそうですね。
以上、冬をテーマにした高校生向け俳句でした!
「〇〇をテーマにして俳句をつくってきてください。」
宿題として課題を出されても、すぐにパッと俳句を作ることができるという方は少ないのではないでしょうか。どのような俳句をつくったら良いのか分からないという方が多いと思います。
俳句はきちんとした決まりごとがあるのでとても難しく感じます。
まずは少し肩の力を抜いて、自分の周りにあるものや身近な光景・風景等、自分に近い言葉をつなげてみてください。
今回ご紹介した俳句に似たような雰囲気でつくってみても良いと思います。わずか17文字の世界。楽しみながら俳句をつくることができると良いですね。