俳句という「5・7・5」の17文字の世界。
17文字で「恋」を表現することは簡単なことではないかもしれません。
しかし、17文字しかないからこそ、深い想いが凝縮され、読み手の心にぐっとささる素敵な俳句がうまれるのかもしれません。
今回は、「恋」をテーマに詠まれた中学生向け俳句を20句ご紹介します。
[夏期講座]
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— とんぼ (@tonbo_yu_yu) July 30, 2017
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中学生向け!恋をテーマに詠まれた俳句【前半10句】
【NO.1】
『 秋風に 吹かれる二人 恋物語 』
季語:秋風(秋)
夏が終わり、少し肌寒くなってきた頃でしょうか。秋風に吹かれる2人。映画のワンシーンのような光景が目に浮かびます。ただそばにいるだけで良い、そのような雰囲気を感じます。「恋物語」という言葉がとても良いアクセントになっているのではないでしょうか。
【NO.2】
『 向こうから カップルの君 夏祭り 』
季語:夏祭り(夏)
大好きな「君」が、大好きだった「君」に変わった瞬間。 向こうから歩いてくる「君」の姿をみた作者の悲しい気持ちがとても伝わります。切なくて心の奥が痛くなる一句です。
【NO.3】
『 焼き芋を 半分分けて 恋始まる 』
季語:焼き芋(冬)
寒い冬。ほかほかの焼き芋が2人の距離を縮めてくれたのでしょう。「半分分けて」という言葉がとてもあたたかくて、穏やかな時間を感じます。今まさに恋が始まった、その瞬間をシンプルな言葉でとても上手に表現しています。
【NO.4】
『 あなたとね やっとつながる 赤い糸 』
季語:なし
作者にとって大好きな人。ずっと片思いをしていた人に想いが伝わったのでしょう。「やっとつながる」という言葉から、長く片思いをしていたことが分かります。嬉しくて嬉しくて笑顔があふれている作者の様子が目に浮かびます。
【NO.5】
『 夏祭り からから笑う 君の声 』
季語:夏祭り(夏)
「からから笑う」とは、声を大きくして高く笑う様子や大きな笑い声のことをいいます。作者は大好きな「君」と一緒に夏祭りに出かけたのでしょう。嬉しそうに大きな声で笑う「君」の声を聞いているだけで、きっととても幸せな気持ちになのでしょう。
【NO.6】
『 君を見て ドキッと高鳴る 恋の音 』
季語:なし
大好きな「君」を見た瞬間に「ドキッ」としたのか、「君」を見た瞬間に一目惚れしたのか。いずれにしても作者の「君」への気持ちがとても大きなものになったのは間違いないのではないでしょうか。「恋の音」という言葉がとても可愛らしくて素敵です。
【NO.7】
『 君に会う 少し嬉しい 登校日 』
季語:なし
夏休み中には全く会うことができなかった「君」。片思いの相手でしょうか。「少し嬉しい」と、恥ずかしそうに控えめに表現している感じがとても良いですね。片思いの相手と少し会えるだけでも嬉しい。とても微笑ましく穏やかな時間を感じます。
【NO.8】
『 百千鳥 ぼくはただただ 片思い 』
季語:百千鳥(春)
「百千鳥(ももちどり)」とは、数多くの鳥・いろいろな鳥のことをいい、春の季語になっています。作者は片思いをしているようです。「ぼくはただただ 片思い」と、少しユーモアのある言葉で今の自分の様子をリズムよく表現しています。春の穏やかな風に吹かれながら、片思いをする相手を見つめている、そのような作者の様子が目に浮かびます。
【NO.9】
『 気付いてね あなたを想う 私の心 』
季語:なし
「気付いてね」という言葉から、作者は片思いをしていることが伝わります。ずっと片思いをしているのでしょう。なかなか思いをつたえることができない作者。「気付いてね」と相手が自分の想いに気付いてくれることを待っているような雰囲気を感じる一句です。両想いになれると良いですね。
【NO.10】
『 同じ月 観ている君へ LINEする 』
季語:月(秋)
空はつながっている、そのようなことを改めて感じる一句です。詩のような素敵な言葉が並び、作者の「君」への優しくて真っすぐな想いを感じます。「LINEする」という言葉がまさに今の時代、という感じで良いですね。
中学生向け!恋をテーマに詠まれた俳句【後半10句】
【NO.11】
『 黒板を 見ているふりして 君見てる 』
季語:なし
「君」は同じクラスなのでしょうか。「黒板を 見ているふりして」という言葉から今の作者の様子がとてもよく分かります。ドキドキしながら大好きな「君」のことを見つめている作者。まだ想いを伝えることはしていないのかもしれませんね。
【NO.12】
『 いっつもね あなたを見てる この瞳 』
季語:なし
大好きな人を見つめている「この瞳」。少し視点を変えていてとても面白い一句です。「いっつもね」という言葉がとても可愛らしくて良いですね。大好きな人なのか、片思いをしている人なのか。いずれにしても作者の「瞳」は常に「あなた」のことを見ていることでしょう。
【NO.13】
『 告られた こんないいこと あるのかな 』
季語:なし
作者は大好きな人に告白されたのでしょう。「告られた」と少々驚いている様子が伝わります。「こんないいこと あるのかな」という言葉がとても良いアクセントになっているように感じます。告白されるなんて夢のよう、そのような作者の声が聞こえてくるようです。
【NO.14】
『 盆踊り 浴衣姿の 君に会う 』
季語:浴衣(夏)
夏祭りに出かけた作者。盆踊りをする浴衣姿の「君」と会ったのでしょう。とてもシンプルな言葉で今の光景を表現していますが、作者のドキドキする気持ちがとてもよく伝わります。いつもとは違う姿の「君」を見て、さらに好きの気持ちが大きくなったのではないでしょうか。
【NO.15】
『 君の名が 出るたび跳ねる 恋心 』
季語:なし
「君」は片思いの相手でしょうか。「君」の名前が出るたびに嬉しくて幸せな気持ちになるのでしょう。作者はとても素直で真っすぐな心の持ち主なのでしょう。心がほわっとあたたかくなる一句です。
【NO.16】
『 くしゃみする 君の横顔 愛しくて 』
季語:なし
くしゃみをする姿さえも愛おしい。作者が「君」のことが大好きなことがとてもよく伝わります。歌の歌詞のようなとてもリズムの良い言葉が並び、今の自分の想いをとても上手に表現しています。
【NO.17】
『 告白し 撃沈するまで たった1分 』
季語:なし
大好きな人へ、ずっと想いをよせていた人へ想いを伝えた作者。ユーモアを交えたテンポの良い言葉で自分の状況をうまく表現しています。とにかく悲しくて切ない、心が痛くなる一句です。
【NO.18】
『 君の歌 気づけばわたしの 好きな歌 』
季語:なし
大好きな人が好んで聞いている歌。その歌を自分も聞くようになったら、大好きな人と同じくらいこの歌も好きになった。歌の歌詞のようなとても素敵な世界観を感じます。「気付けば」という言葉が可愛らしくて良いですね。
【NO.19】
『 片思い 今日でおしまい 卒業す 』
季語:卒業(春)
ずっと片思いをしている人がいた作者。その相手に想いを伝えたのか、あえて伝えなかったのか。いずれにしても「今日でおしまい」と自分の気持ちに区切りをつけています。学校を卒業することと、片思いの相手への好きな気持ちを卒業(おしまい)することをうまく重ねているとても表現が上手な一句です。
【NO.20】
『 恋をして 優しい顔の 雪だるま 』
季語:雪だるま(冬)
作者は好きな人ができたのでしょう。心が明るく弾んでいるような様子が伝わります。雪だるまの表情も優しくなってしまうほど、気持ちが穏やかで幸せなのでしょう。「恋をして」という言葉がとても素敵で良いですね。読み手側も幸せな気持ちになりますね。
以上、中学生向け!恋をテーマに詠まれた俳句集でした!
皆さんは「恋」と聞いてどのようなことを思い浮かべるでしょうか?
大好きな人の顔、片思いの人の顔、気になる人の顔、初恋の人の顔・・・。
告白をした日の空の色、想いが通じた日の風景、教室で隣に座る姿、一緒に遊びに行った場所、振られてしまった時のお天気・・・。
個々それぞれ、さまざまな姿や光景等が頭の中に浮かんでくると思います。
楽しい・嬉しい・幸せ・悲しい・苦しい・辛い・ドキドキ…。いろいろな感情と共に、心の中に残っているあなたの「恋」の思い出を17文字の世界で表現してみてください。