【神野紗希の有名俳句 20選】愛媛県出身の若手俳人!!俳句の特徴や人物像・代表作など徹底解説!

 

俳句は五七五の十七音に季節を表す季語を詠み込んで表現される詩です。さまざまな季語や技法により風景や心情が鮮やかに描き出されています。

 

今回は、平成から現在にかけての俳壇を牽引している現代俳人「神野紗希(こうの さき)」の有名俳句を20句紹介します。

 

 

俳句仙人
ぜひ参考にしてください。

 

神野紗希の人物像や作風

 

神野紗希(こうの さき)は、1983年(昭和58年)に愛媛県松山市に生まれました。

 

高校時代に所属していた放送部の取材で、「俳句甲子園」を取り上げたことをきっかけに俳句を始めます。2001年の第4回俳句甲子園で団体優勝を果たしたこと、最優秀句に選ばれたことで頭角を現します。

 

大学時代は富沢赤黄男を始めとする近現代俳句を研究しながら句作を続け、坪内稔典奨励賞の受賞や句集の出版など精力的な活動を続けています。

 

NHKの「俳句王国」の司会や初心者向けの「俳句さく咲く!」の選者をつとめるなど、現在もメディアに積極的に出演を続けています。

 

 

神野紗希さんの作風は「身体の感覚を柔らかに詠む」特徴があります。学生自体から結婚出産を経た時間経過が俳句によく表れており、一人の女性の人生を小説のように体感することができます。

 

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神野紗希さんは2022年に句集を発表したばかりという新しい時代の俳人です。

 

神野紗希の有名俳句・代表作【20選】

 

【NO.1】

『 すみれそよぐ 生後0日目の 寝息 』

季語:すみれ(春)

意味:スミレの花が風にそよいでいる。隣からは生後0日目の赤ん坊の寝息が聞こえる。

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「すみれそよぐ」という句集の題名となった一句です。出産を無事に終えた母の喜びと安堵が、スミレの花を見ながら赤ちゃんの寝息を感じている様子から伺えます。

【NO.2】

『 水脈も 葉脈も春 てのひらも 』

季語:春(春)

意味:水脈も葉脈も春の日に照らされるてのひらもみな同じように感じる。

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「脈」と共通している言葉を使っているため、「てのひらも」のあとに「人間の脈拍」が省略されていると考えられます。万物全てに春の生命力を感じたことを詠んだ句です。

【NO.3】

『 細胞の 全部が私 さくら咲く 』

季語:さくら(春)

意味:細胞の全部が私のようだ。桜が咲いている。

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ここで詠まれている「細胞」は自分自身の細胞のことであり、また世界を構成する全てであるという解釈もされている一句です。桜が咲きほこる中で自分の感覚が研ぎ澄まされていく様子を詠んでいます。

【NO.4】

『 どの名前 呼んでも寄って くる子猫

季語:子猫(春)

意味:どの名前を呼んでも寄ってくる子猫だ。

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まだ自分の名前を覚えていないのか、飼い主の声に反応しているのか、どう呼びかけても寄ってくる可愛らしい子猫を詠んだ句です。子猫を愛する飼い主の気持ちが伝わってきます。

【NO.5】

『 眠れない 子と月へ吹く しゃぼん玉 』

季語:しゃぼん玉(春)

意味:眠れない子供と一緒に月に向かってしゃぼん玉を吹いている。

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夜中に眠れない子供としゃぼん玉で遊ぶ親子の様子を詠んでいます。昼間と違ってほのかな月明かりに照らされたしゃぼん玉の美しさが見えるようです。

【NO.6】

『 飛び込みの もう真っ白な 泡の中 』

季語:飛び込み(夏)

意味:プールに飛び込むともうそこは真っ白な泡の中だ。

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プールに飛び込んだ瞬間に泡が発生する一瞬を切り取った句です。飛び込みの選手は目を閉じて飛び込む訳では無いので、一面に拡がった白い泡を見慣れていることでしょう。

【NO.7】

『 起立礼 着席青葉 風過ぎた 』

季語:青葉(夏)

意味:起立、礼、着席。号令とともに青葉に風が通り過ぎていった。

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学生の頃に「起立、礼、着席」の号令を聞いたことがある人は多いでしょう。窓が開いていたのか、初夏の風が着席と同時に吹き込んでくるさわやかな学生生活が浮かんできます。

【NO.8】

『 ひきだしに 海を映さぬ サングラス 』

季語:サングラス(夏)

意味:引き出しには海を映さないサングラスがしまいっぱなしだ。

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この句には、今年は海に行っていないから海を映さないという意味と、サングラスの色で海がよく見えないという意味の2つが掛かっています。強い夏の日差しにはサングラスは必須ですが、海の色を楽しむためには外したいというジレンマを感じる句です。

【NO.9】

『 石棺に 窓なかりけり 蟇(ひきがえる) 』

季語:蟇(夏)

意味:この石棺のような場所には窓は無いようだ、ヒキガエルがじっととどまっている。

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「石棺」とは古代によく見られる石でできた棺ですが、ここでは石が組まれたように置かれている閉所のことをさします。どこにも窓がなく閉じ込められているのにヒキガエルが見えていることから、想像の上で詠まれた句でしょう。

【NO.10】

『 ここもまた だれかの故郷 氷水 』

季語:氷水(夏)

意味:ここもまた誰かの故郷なのだなぁと思いながらかき氷を食べている。

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「氷水」とは季語として使用するとかき氷の意味になります。旅先でかき氷を食べながら、自分にとっては異郷の地でも誰かの故郷なのだと感慨深く感じている句です。

 

【NO.11】

『 右左 左右右 秋の鳩 』

季語:秋(秋)

意味:右左、左右右と首を動かす秋の鳩がいる。

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あちこちを見ているというよりは、歩く時に動いている鳩の首を詠んだと言われています。公園のベンチに座りながら鳩を観察している作者の様子が浮かぶ一句です。

【NO.12】

『 薄く薄く 梨の皮剥く あきらめよ 』

季語:梨(秋)

意味:薄く薄く梨の皮を剥くのはもう諦めなさい。

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料理が得意な人ならば果物の皮を薄く剥けるでしょうが、そうでない人は厚く剥きがちです。何度も練習しているけれど上手くいかない様子を詠んでいます。

【NO.13】

『 寂しいと 言い私を 蔦(つた)にせよ 』

季語:蔦(秋)

意味:寂しいと言って私をあなたに巻き付くようにそばにいる蔦にしてください。

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「蔦(つた)」という木などに巻き付く性質の植物を出すことで、寂しいと言ってくれたらそばにいるというメッセージを伝えています。好意を持っている人物なのか、寂しがっている家族なのか、誰に対して呼びかけているのか想像がふくらむ句です。

【NO.14】

『 カンバスの余白 八月十五日 』

季語:八月十五日/終戦記念日(秋)

意味:カンバスにはまだ余白がある815日だ。

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8月15日という終戦記念日も、現在を生きる人たちにとっては日常の一環です。描きかけのカンバスの余白と終戦記念日の対比に余韻を感じる句になっています。

【NO.15】

『 いなびかり 象は象舎の ほか知らず 』

季語:いなびかり/稲光(秋)

意味:稲光が光っている。外では雷雨だが動物園の象は象舎の外を知らないのだ。

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どれだけ外が荒れた天候でも、野生ではなく飼育されている象にとっては知らない風景である、という動物園の様子を詠んだ句です。人間も今いる場所以外のことは案外わからないものだという作者のメッセージが伝わってきます。

【NO.16】

『 こんな日を 小春と名付けたる人よ 』

季語:小春(冬)

意味:こんな日を小春と名付けた人よ。

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「小春」とは春先の暖かい日ではなく、旧暦10月頃の冬の手前の暖かい日のことを言います。春のような暖かさでありながら冬に向かっていく様子を「小春」と名付けた人への賞賛を感じる句です。

【NO.17】

『 君生まれ 此の世にぎやか 竜の玉 』

季語:竜の玉(冬)

意味:君が生まれ、この世がとても賑やかになった。青く美しい竜の玉のような我が子よ。

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「竜の玉」とはジャノヒゲの実のことで、冬にかけて熟すと青い実になります。ここでは植物としての竜の玉と同時に、伝説上の竜の宝と言われている玉を我が子に掛けている一句です。

【NO.18】

『 永遠と ポップコーンと 冬銀河 』

季語:冬銀河(冬)

意味:永遠を考えつつポップコーンを食べて冬の銀河を眺めている。

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全く関連性のない3つの名詞から成り立っている一句です。関連性がないからこそ星を見ながらぼんやりとした思索をめぐらせている作者の様子が浮かんできます。

【NO.19】

『 風尖る 梟(ふくろう)は 絶望しない 』

季語:梟(冬)

意味:風が尖るように鋭く吹く日でも、フクロウは絶望しない。

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向かい風に逆らって飛ぶ鳥は思わず応援したくなりますが、ここでは「尖った風」に挑むフクロウを詠んでいます。フクロウは無音で飛ぶことで有名ですが、鋭い風にも負けずに羽ばたいている様子が「絶望」とは無縁であると強調されているようです。

【NO.20】

『 どこへ隠そう クリスマスプレゼント 』

季語:クリスマス(冬)

意味:どこへ隠そうか、このクリスマスプレゼントを。

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クリスマスプレゼントは当日に買う訳ではなく、事前に買って家のどこかに隠しておく人が多いでしょう。子供に見つからないようにプレゼントを保管する親のワクワクとした感じが伝わってくる句です。

以上、神野紗希の有名俳句20選でした!

 

 

 

俳句仙人

今回は、神野紗希の作風や人物像、有名俳句を20句紹介しました。

神野紗希さんは2022年に句集を発表したばかりという新しい時代の俳人です。
新進気鋭の俳人は多く登場していますので、ぜひ読み比べてどのような作風の違いがあるか確かめてみてください。