【秋桜の有名俳句 20選】秋の風物詩といえばコレ!!季語(コスモス)を含む俳句を紹介

 

「秋桜」はコスモスのことで、明治以降に日本で普及した花です。

 

季語としては秋に属し、秋桜と表現されている時は「あきざくら」と読みます。

 

今回は、「秋桜(コスモス)」を季語に含む有名な俳句を20句紹介していきます。

 

 

リス先生
ぜひ参考にしてみてね!

秋桜(コスモス)を季語に含む有名俳句【前半10句】

 

【NO.1】高浜虚子

『 コスモスの 花あそびをる 虚空かな 』

季語:コスモス(秋)

意味:コスモスの花が遊んでいるように見える大空だなぁ。

俳句仙人

コスモスの花が青空に映えて揺れている様子を詠んだ句です。ここで詠まれている「虚空」とは大空のことを表しています。

【NO.2】高浜虚子

『 コスモスの よく動きゐる 花の数 』

季語:コスモス(秋)

意味:コスモスがよく動いている。たくさんの花の数があるようだ。

俳句仙人

コスモスの花畑で詠まれた一句です。風に揺られて花びらがゆらゆらと動いている様子が目に見えるようです。

【NO.3】山口青邨

『 コスモスの 一輪月に とどきたる 』

季語:コスモス(秋)

意味:コスモスの中の一輪が月に届いたように見える。

俳句仙人

背の高いコスモスが咲いていたと取ることもできますが、下からのアングルで月とコスモスを見ているのでしょう。下から見ることでコスモスの花が月と被り、まるで月に届いたように見えると詠んでいます。

【NO.4】高野素十

『 コスモスの 倒れ倒れし 花の数 』

季語:コスモス(秋)

意味:コスモスがあちらこちらに倒れている。かなりの花の数だ。

俳句仙人

秋は台風がよく来る時期です。そのため、「倒れ倒れし」と強調されるほど倒れたコスモスは台風によって倒されてしまったのでしょう。

【NO.5】日野草城

『 降られゐて 牛おとなしや 秋桜 』

季語:秋桜(秋)

意味:雨に降られているが、牛は大人しくしているなぁ。足元にコスモスが咲いている。

俳句仙人

現在はあまり見られなくなった光景ですが、かつては田畑を耕すのに牛を使っていたため牛を見る機会が多かった頃の一句です。突然の雨にも動じない牛と足元に咲いているコスモスが絵画のような色彩になっています。

【NO.6】中村汀女

『 コスモスの 夜の花びらの 冷えわたり 』

季語:コスモス(秋)

意味:コスモスの夜の花びらが寒さで冷え渡っている。

俳句仙人

コスモスの花に触れてみたのか、秋の夜の寒さで冷たい花びらを詠んでいます。秋は寒暖差が激しいため、暖かい昼間に触れる花とはまた違ったおもむきがあります。

【NO.7】原石鼎

『 コスモスの 紅のみ咲いて 嬉しけれ 』

季語:コスモス(秋)

意味:赤いコスモスだけが咲いていて嬉しくなった。

俳句仙人
コスモスは赤の他に白やピンクなど様々な色の花が咲きます。作者は赤いコスモスが好きなのか、赤いコスモスだけが咲いている様子に喜んでいます。

【NO.8】水原秋桜子

『 コスモスに 雨ありけらし 朝日影 』

季語:コスモス(秋)

意味:コスモスの花に雨が降ったような跡がある。朝の日の光で花びらが輝いて見える。

俳句仙人

夜中に雨が降った痕跡を、朝日に照らされて輝いているコスモスの花に見てとっています。水滴が朝日を反射してキラキラと輝いている美しい風景です。

【NO.9】臼田亞浪

『 コスモスを うまごに折りて 我も愉し 』

季語:コスモス(秋)

意味:コスモスを孫に折って取ってやっていると私も楽しい。

俳句仙人

「うまご」とは孫のことです。コスモスの花を欲しがる孫に折って取ってあげているうちに、花束のようになって抱えている様子が浮かんできます。

【NO.10】松本たかし

『 コスモスの 家また浮ぶ 雨の中 』

季語:コスモス(秋)

意味:コスモスの花が咲いている家がまた浮かび上がってくるように見える雨の中だ。

俳句仙人

曇天と雨の中で、コスモスの花の色が鮮やかに浮かび上がってきている様子を詠んだ句です、「また」と強調していることから、庭にコスモスの咲いている家がとても目立っていたのでしょう。

 

秋桜(コスモス)を季語に含む有名俳句【後半10句】

 

【NO.11】星野立子

『 望郷や 土塀コスモス 咲き乱れ 』

季語:コスモス(秋)

意味:故郷が恋しいなぁ。土塀にコスモスの花が咲き乱れている。

俳句仙人

作者は鎌倉で生まれ育ちました。鎌倉では様々な寺院でコスモスを栽培しているため、花を見て故郷を思い出して詠まれた句です。

【NO.12】阿部みどり女

『 ぽつぽつと お手玉はやり 秋桜 』

季語:秋桜(秋)

意味:ぽつぽつとお手玉が流行り始める秋桜の季節だ。

俳句仙人

コスモスが咲く頃になると、冬にかけて室内で遊べるお手玉が流行り始めます。今ではあまり見かけなくなりましたが、伝統的な遊びとして学校でやったことがある人も多いのではないでしょうか。

【NO.13】細見綾子

『 コスモスが 咲けば地表の うるほへり 』

季語:コスモス(秋)

意味:コスモスが咲けば地表が潤ってくる季節だ。

俳句仙人
コスモスが咲く時期は夏の炎天下の季節が終わり、秋雨も降って大地が潤う季節です。潤いを得て草花が喜んでいる様子を詠んでいます。

【NO.14】種田山頭火

『 誰もゐないで コスモスそよいでゐる 』

季語:コスモス(秋)

意味:誰もいない場所で、コスモスだけがそよいでいる。

俳句仙人

作者は放浪中に見たコスモスをテーマにいくつか俳句を詠んでいます。誰もいないところで揺れるコスモスに自身の心もとなさを感じ取っている句です。

【NO.15】久保田万太郎

『 日曜の 空とコスモスと 晴れにけり 』

季語:コスモス(秋)

意味:日曜の晴れた空にコスモスの花が咲いている。

俳句仙人

秋晴れの空にコスモスが咲いている、絶好の行楽日和を詠んだ句です。コスモスの花も晴天を喜んでいるように感じます。

【NO.16】稲畑汀子

『 モスクワヘ つづく鉄路や 秋桜 』

季語:秋桜(秋)

意味:この鉄道はモスクワへ続く鉄道なんだなぁ。秋桜が咲いている。

俳句仙人

作者は諸外国へ俳句を通した親善活動を行っていました。この句はその時に詠まれたと考えられていて、日本のようにコスモスが沿線に咲いている鉄道がモスクワへ通じている感慨深さを詠んでいます。

【NO.17】伊丹三樹彦

『 厨子(ずし)出たる 観音と遇う(あう) 秋桜 』

季語:秋桜(秋)

意味:厨子を出た観音様と秋桜が出会った。

俳句仙人

「厨子」とは仏像などを安置する収納具のことです。秋にご開帳をしたのか、観音像がコスモスの咲いている外の風景を見たという擬人化の句になっています。

【NO.18】杉田久女

『 コスモスに 風ある日かな 咲き殖ゆる(ふゆる) 』

季語:コスモス(秋)

意味:コスモスに風が吹いている日だなぁ。咲いてどんどん増えていく。

俳句仙人

コスモスの花畑の様子を詠んだ句です。風が吹く度に花が開いて増えていくように見えるというユーモアのある一句です。

【NO.19】村上鬼城

『 コスモスの 花に蚊帳乾す(ほす) 田家かな 』

季語:コスモス(秋)

意味:コスモスの花が咲いているところに蚊帳を干している田舎の家だ。

俳句仙人

「田家」とは田舎の家という意味ですが、蚊帳を干すスペースのある広い家というイメージが浮かんできます。コスモスの咲く秋は蚊帳を使い終わった時期なので、来年に向けて干している様子を詠んでいます。

【NO.20】右城暮石

『 コスモスの 花見えて駅 現はれし 』

季語:コスモス(秋)

意味:コスモスの花が見えてきたと思ったら駅が現れた。

俳句仙人

駅前にコスモスが植えられている駅だったのでしょう。電車に乗っているとだんだんとコスモスが見えてきて、駅が近づいてくるという旅情のあふれる句になっています。

以上、秋桜(コスモス)に関するおすすめ有名俳句でした!

 

 

俳句仙人

今回は、秋桜(コスモス)を季語に含む有名俳句を20句紹介しました。

明治時代以降の近代俳句に多く詠まれているため、どこかノスタルジックな印象の俳句が多いのが特徴です。
コスモスは街中でもよく見かける花なので、見かけたらぜひ一句詠んでみてください。