みなさんは昆虫採集をしたことがありますか?
「虫を直接さわるのは苦手!」という方もいるかもしれません。
そんな方も、俳句で虫について触れてみてはいかがでしょうか。
「おんぶばった いきぬくちから かんじをり」#俳句 #俳句写真 #写真俳句 #季語 #飛蝗 #オンブバッタ pic.twitter.com/HhKPgmoeuy
— mayuyu ❤︎ (@ymhkcandy) October 8, 2017
今回は、草むらでよく見かける身近な昆虫「飛蝗(ばった)」にまつわる俳句を20句紹介します。
飛蝗(ばった)をテーマにした有名俳句【10選】
【NO.1】加藤楸邨(しゅうそん)
『 しづかなる 力満ちゆき 螇蚸(はたはた)飛ぶ 』
季語:螇蚸(秋)
現代語訳:しずかに全身に力をみなぎらせて、今まさにバッタが飛ぼうとしている
螇蚸(はたはた)は、バッタの別の読み方です。バッタと言えば、ジャンプ力がずば抜けています。音を立てず、今まさに飛ぼうとするバッタの姿勢に緊張感すら感じてしまう句です。
【NO.2】山口誓子
『 螇蚸(はたはた)は わぎもが肩を 越えゆけり 』
季語:螇蚸(秋)
現代語訳:バッタが恋人の肩をぴょんと飛び越えていったよ
【NO.3】坪内稔典
『 バッタ飛ぶ アジアの空 うすみどり 』
季語:バッタ(秋)
現代語訳:バッタが飛ぼうとしている、その羽根の色がアジアの空を映した薄い緑色をしている
【NO.4】富安風生
『 きちきちと いはねばとべぬ あわれなり 』
季語:きちきち(秋)
現代語訳:バッタが飛ぼうとしている、キチキチキチと音を鳴らさないと飛べないのは、もの悲しい
きちきちとは、バッタの飛ぶ音を指します。ショウリョウバッタは、オスが飛ぶときにキチキチキチと羽根を鳴らすため、キチキチバッタと呼ばれます。バッタの特徴を、違う視点から表現しています。
【NO.5】村上鬼城
『 街道を キチキチととぶ ばったかな 』
季語:ばった(秋)
現代語訳:街道を、きちきちとバッタが飛んでは落ち、飛んでは落ちて進んでいく
【NO.6】小林一茶
『 肩先に 泊つてきつち きつちかな 』
季語:きつちきつち(秋)
現代語訳:肩先にとまったバッタがきちきちと音を立てている
【NO.7】山西雅子
『 反らしたる 指を離れぬ ばつたかな 』
季語:ばつた(秋)
現代語訳:バッタのいる指を反らして飛ばそうとするけれど、離れていかない
【NO.8】飯田蛇笏
『 地をあるく 飛蝗に秋暑 極まれり 』
季語:飛蝗(秋)
現代語訳:地面を歩いているバッタよ、厳しい夏の暑さがその身にじりじりと集まっていることだよ
【NO.9】石田波郷
『 はたはたも 靴の埃も 楽しけれ 』
季語:はたはた(秋)
現代語訳:ぴょんぴょんと飛び跳ねているバッタよ、靴のほこりですら楽しいのであろうか
【NO.10】津田清子
『 飛ぶ意思なき はたはた次は だれと遭ふ 』
季語:はたはた(秋)
現代語訳:近づいても飛ぶ意思のないバッタよ、次は誰と遭おうとしているのか
螇蚸(はたはた)は、バッタの別の読み方です。近づいても飛ぼうとしないバッタ、もし誰も気づかなかったなら、踏まれてしまうこともあるかもしれません。たくさんの人が行きかう中で、小さなバッタを心配し、また、そのちっぽけな存在の寂しさを感じさせる句です。
飛蝗(ばった)をテーマにした一般オリジナル俳句【10選】
【NO.1】
『 きちきちが 跳んで子供が 転びけり 』
季語:きちきち(秋)
意味:バッタが跳んだのにびっくりして子供が転んでしまったよ
【NO.2】
『 ばつた跳ぶ 母校跡地を 測量す 』
季語:ばつた(秋)
意味:ばったが跳んでいる、まるで母校の跡地を測量しているようだ
【NO.3】
『 ばった来ぬ 擦れし面干す 剣道部 』
季語:ばった(秋)
意味:剣道部が、擦れた面などの防具を干している。その横でばったが飛び跳ねているよ
明るい学生生活の様子が浮かびます。竹刀を振って打ち込みの練習をしますが、ばったが跳ねている様子に重ねたのでしょうか。
【NO.4】
『 ばったさん ジャンプがじょうず 金メダル 』
季語:ばった(秋)
意味:ばったさんがじょうずにジャンプしたよ、金メダルあげたいね
【NO.5】
『 バッタがね ぼくを大きく 見上げてる 』
季語:バッタ(秋)
意味:バッタの目になって見てみると、バッタがぼくを見上げているよ
【NO.6】
『 驚かぬ 飛蝗に驚か されている 』
季語:飛蝗(秋)
意味:じっとしている飛蝗に、こちらが驚かされた
【NO.7】
『 問題は 着地点なり 飛ぶ飛蝗 』
季語:飛蝗(秋)
意味:飛蝗が飛んできた、問題はどこに着地するかだ
【NO.8】
『 話止む 目がきちきちを 追いかけて 』
季語:きちきち(秋)
意味:目がばったを追いかけてしまって、話が途中で止まってしまった
【NO.9】
『 田園に ばつたと風を 見てをりぬ 』
季語:ばつた(秋)
意味:田んぼにばったが飛んでいる、風に乗って飛んでいて風も目に見えるようだ
【NO.10】
『 保護色の ばつたや命 全うす 』
季語:ばつた(秋)
意味:ばったはその保護色を使って命を全うしようとしている
以上、飛蝗(ばった)をテーマにした俳句集でした!
身近な草むらに目をこらし、バッタを観察しながら一句詠んでみてはいかがでしょうか?