俳句は五七五の十七音の韻律に、季節を表す季語を詠みこむ文学です。
花鳥風月など自然を詠むものが伝統的な俳句ですが、風景に託して心情を詠むものも多くあります。
今回は、『両思いの恋』を題材としたおすすめ俳句を20句紹介します。
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— 薄荷光 (@hakkako_haiku) August 6, 2017
月は両方が欠けることはない。必ず片方から欠け始める。
十八夜
日々かげりゆく
両思い pic.twitter.com/OkeowQo1QQ— 俳句新派 (@shonan2591) October 15, 2018
両思いの恋!おすすめ俳句ネタ集【前半10句】
【NO.1】
『 恋人と 出会いし夜や 春祭り 』
季語:春祭(春)
恋人と出会ったきっかけとなったお祭りに再び2人で出向いた時の一句です。お互いの思い出を語り合いながら祭りを楽しむ様子を詠んでいます。
【NO.2】
『 春ならひ 恋人達の 肩寄する 』
季語:春ならひ(春)
「春ならひ」とは「春北風」と書き、春に吹く冷たい北風のことです。急に吹いてきた寒い風に恋人同士が寄り添って暖をとっています。
【NO.3】
『 つなぐ手に 試されているような 春 』
季語:春(春)
カップルとして手を繋いでいるけれど、将来への不安が少しにじんでいる一句です。春という恋にぴったりの季節に、2人のこれからの未来をお互いに考えていこうという気持ちが伝わってきます。
【NO.4】
『 チョコレート 貰うと春が やってくる 』
季語:春(春)
バレンタインのチョコレートをもらうと、まだ寒い中でも春がやってくるようだと喜んでいる一句です。春の心地に癒されながら、ホワイトデーに何を返そうか、今から考えているのかもしれません。
【NO.5】
『 君とゆく 君のふるさと 山桜 』
季語:山桜(春)
恋人と、恋人の故郷へ旅に出て山桜を見ている風景です。両親へのあいさつなのか、恋人が生まれ育った場所を見るための旅行なのか、想像がふくらみます。
【NO.6】
『 カップルが 指差していた 一等星 』
季語:無季
夜まで一緒にいたカップルが、一等星を指さして笑っている様子が浮かんでくる一句です。どの季節か明言はされていませんが、一等星が多い夏か冬の出来事でしょうか。
【NO.7】
『 まだ居たい 線香花火 落ちるなよ 』
季語:線香花火(夏)
2人で花火をしていて、少しでも長く一緒にいたいという作者の思いを線香花火に託した句です。最後に選んだ線香花火をしんみりと見つめている様子も伺えます。
【NO.8】
『 百合に問ふ こんな俺でも よかったか 』
季語:百合(夏)
「百合」が恋人の例えなのか、恋人の名前なのか想像が膨らむ一句です。こんな自分が恋人になっても良かったのかどうか、百合の花に問いかけているのか恋人に直接問いかけているのか、解釈によって浮かぶ風景が変わります。
【NO.9】
『 手花火や バケツの底に 溜まる恋 』
季語:手花火(夏)
「花火」は秋の季語とされていますが、「手花火」や「線香花火」は夏の季語となっています。遊び終わった花火をバケツの水で消火しますが、その時にたまっていく灰を恋に例えた面白い句です。
【NO.10】
『 夕立や 君の心に 掛ける傘 』
季語:夕立(夏)
急な夕立に2人で1つの傘を使って帰っているという解釈と、「夕立」を相手の悲しみなどに例えている解釈ができる句です。どちらの解釈でも相手に寄り添い、助けようとする作者の心が伺えます。
両思いの恋!おすすめ俳句ネタ集【後半10句】
【NO.11】
『 同じ月 観ている君へ LINEして 』
季語:月(秋)
「今何してる?」といったメッセージを送っている様子を詠んだ句です。現代のリアルタイムのやり取りと、月という昔ながらの題材とを絡めて詠んでいるのが時代の移り変わりを感じさせます。
【NO.12】
『 プロポーズ ゆっくり林檎 剥きながら 』
季語:林檎(秋)
一世一代のプロポーズというわけではなく、リンゴを向いている最中に行うというゆったりとしたカップルの様子を詠んでいます。円熟した大人の両思いの恋が「ゆっくり」という表現から浮かぶ句です。
【NO.13】
『 天の川 君の処へ 泳ぎ切る 』
季語:天の川(秋)
七夕伝説では天の川が織姫と彦星を遮っています。この句は「自分なら相手のいる対岸まで泳ぎきってみせる」という愛の宣言をしているユーモアのある句です。
【NO.14】
『 秋晴れの 今日はあなたを ひとりじめ 』
季語:秋晴れ(秋)
秋晴れという絶好のデート日和を詠んだ句です。「ひとりじめ」という表現から作者の嬉しそうな心境と、今日という日への期待が見えるようです。
【NO.15】
『 遠距離を 埋めるふたりの 日記かな 』
季語:無季
遠距離恋愛をしている2人の様子を詠んでいます。郵送での日記を交換し合うにはタイムラグがあるので、メールやLINEなどのメッセージアプリでの交換かもしれません。
【NO.16】
『 寄せ鍋や 絡まる箸の 恥ずかしさ 』
季語:寄せ鍋(冬)
2人で寄せ鍋をつついている様子を詠んでいます。家族なら恥ずかしがることもないので、初々しい恋人同士を詠んでいるとわかる一句です。
【NO.17】
『 年の市 恋人達も そぞろ行く 』
季語:年の市(暮)
「年の市」とは年末にお正月用の品々を売り出している場所のことです。「そぞろ歩き」の言葉通りにデート中なのか、2人で過ごすために品定めしているのか、どちらにも取れます。
【NO.18】
『 冬木立 抜けてふたりの 通学路 』
季語:冬木立(冬)
2人で冬木立(ふゆこだち)を抜けて話しながら歩く通学路の様子を詠んでいます。通学の時間は2人きりでいられる貴重な時間のため、ゆっくりと会話しながら歩いている様子が浮かびます。
【NO.19】
『 着ぶくれて 彼とおんなじやうな 顔 』
季語:着ぶくれ(冬)
あまりの寒さに2人とも着ぶくれてしまい、少し赤くなっている様子を詠んだ句です。デートで同じような格好をしていて思わずお互いに笑ってしまったのかもしれません。
【NO.20】
『 星冴(さ)ゆる 地球にふたり 観覧車 』
季語:星冴ゆる(冬)
冬の満天の星空を眺めながらゆっくりと動く観覧車に乗っているカップルを詠んでいます。まるで地球上で2人きりになっているようなロマンチックな空間を楽しんでいる一句です。
以上、両思いの恋の俳句20選でした!
今回は、両思いの恋人たちを詠んだ俳句を20句紹介しました。
両思いの俳句には、直接恋を詠む俳句の他に季節の風物詩や行事に託す俳句も多く、いろいろな表現方法があります。
恋の俳句を詠む際には、心情を直接詠むのかデートの様子から想像させるのか、決めてから詠むと方向性がわかりやすくておすすめです。