俳句の世界では、魚や釣りをテーマに詠んだ俳句が数多くあります。
さまざまな種類が存在する「魚」は、季語になっているものがたくさんあります。春夏秋冬それぞれの季節ごとの魚を調べてみるのも面白いかもしれません。
今回は、一般の方が詠んだ「魚&釣り」を題材にした俳句を20句紹介していきます。
麗しき
山女を恋うる
山女釣り#haiku #kigo #写真haiku pic.twitter.com/49PDj2NVU3— とんぼ (@tonbo_yu_yu) July 19, 2016
苦楽の一句(10月23日)
魚釣りはひとりの思索秋の浜 (宇品吟行句) pic.twitter.com/szcKm5IG6x— 児玉苦楽 (@tomoyominayoi) October 23, 2016
魚釣り。
心の中で
俳句読む。 pic.twitter.com/yFe22z3mmL— じゅんじゅん【菩薩】 (@funassy_mm) December 9, 2015
魚&釣りを題材にした一般おすすめ俳句【前半10句】
【NO.1】
『 釣れて良し 釣れなくて良し 公魚(わかさぎ)釣り 』
季語:公魚(春)
作者が公魚釣りをとても楽しみしていること、そして公魚釣りが大好きなことがとても伝わります。凍った湖に穴を掘って糸を垂らす。ただひたすらじっと待つ、釣れても釣れなくてもこの「じっと待つ」時間が楽しいのかもしれませんね。
【NO.2】
『 びっしりと 竿の放列 あゆ解禁 』
季語:あゆ(夏)
鮎はいつでも釣れるものではなく、決まった期間で鮎釣りを楽しみます。鮎の解禁日を心待ちにしている方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。「びっしりと」という言葉から、多くの鮎釣りファンの方が集まっている光景が想像できます。
【NO.3】
『 糸垂らし 彼方に浮かぶ 蜃気楼 』
季語:蜃気楼(春)
「蜃気楼」は春によく見られるもので、場所によって地表近くの気温が違うときに、地上のものが空中に浮かんで見えたり、遠方のものが近くに見えたりする現象のことです。あたたかな春の一日、作者は糸を垂らして、のんびりゆったりと釣りを楽しんでいるのでしょう。心地良い穏やかな空気を感じます。
【NO.4】
『 公魚や 氷穴を天の 窓として 』
季語:公魚(春)
湖の厚い氷の下にいる公魚。公魚からの視点で詠んでいます。厚い氷の中に突如あらわれた氷穴。そこから差し込むきらきらと輝く光は外の世界への入り口だった。素敵な物語を読んでいるような一句です。
【NO.5】
『 鯊(はぜ)を釣る 東京湾の 風受けて 』
季語:鯊(秋)
作者は、東京湾で鯊釣りをしているのでしょうか、それとも東京湾の近くで釣りを楽しんでいるのでしょうか。東京湾の風を感じながら、じっと鯊が釣れるのを待つ。感じる風が少し冷たくなり、秋から冬へと季節の移ろいを感じているのかもしれませんね。
【NO.6】
『 岸壁の 釣り鯵追う子 声弾む 』
季語:鯵(夏)
岸壁から鯵釣りを楽しむ子どもたちの様子を詠んだ一句です。誰か一人でも釣れたら嬉しく大盛り上がりなのではないでしょうか。「声弾む」という言葉から、鯵釣りを楽しんでいる子どもたちの笑顔いっぱいの様子が目に浮かびます。
【NO.7】
『 有給の 海釣り小さき 鮫二匹 』
季語:鮫(冬)
有給を取得して海釣りにきた作者。釣りが大好きなのでしょうね。楽しみにしていた海釣りの釣果は小さな鮫が二匹。期待していた結果とは違い、悔しい表情をしている姿が想像できます。
【NO.8】
『 釣り上げし 竿の重さや 桜鯛 』
季語:桜鯛(春)
「桜鯛」は、産卵するために春に内海に集まる真鯛のことで、雄の腹部が桜色に染まって、桜の花時と重なるため桜鯛といわれています。釣りを楽しんでいた作者の釣り竿が大きくしなり、一生懸命奮闘し釣り上げた魚が桜鯛だった。作者の大きな喜びが伝わります。
【NO.9】
『 釣り竿の 先に輝く 春夕焼け 』
季語:春夕焼け(春)
「春夕焼け」とは、冬の夕焼けとは違い、穏やかで包み込むような柔らかな春の夕焼けのことをいいます。作者は長い時間釣りを楽しんでいたのでしょう。釣り糸を垂らしじっと待つ時間。そこで見えた夕焼けはしっかりと心の中に残るほど、あたたかでとても美しいものだったのではないでしょうか。
【NO.10】
『 鮎食べに 来いよと友の 電話かな 』
季語:鮎(夏)
鮎の解禁日を楽しみにしている鮎釣りの愛好家さん。作者のお友だちもその一人なのかもしれませんね。大切な友だちのために釣った鮎をご馳走してくれる、優しいお友だちですね。「鮎食べに 来いよ」は、鮎の季節を知る嬉しい電話ですね。
魚&釣りを題材にした一般おすすめ俳句【後半10句】
【NO.11】
『 食すには あはれに美しき 白魚なり 』
季語:白魚(春)
白魚は、透明なものは鮮度が良い証拠で、透き通っていればいるほど鮮度が良いそうです。向こうが見えるかのように透き通る姿はとても美しく、繊細で小さな白魚は透明度が高いほど食べる際には少し勇気が必要かもしれませんね。「あはれに美しき」という素敵な言葉が白魚の様子をとても上手に表現しています。
【NO.12】
『 大物に 負けぬ手応へ 小はぜ釣り 』
季語:はぜ(秋)
魚釣りと聞くと、釣り竿をしならせながら大きな魚を釣り上げるイメージがありますが、「小物釣り」という小さめの魚を狙う釣りもあるそうです。「負けぬ手応へ」という言葉から、小はぜ釣りが大好きでとても楽しんでいる様子が想像できます。
【NO.13】
『 春潮や 5歳の息子 釣りデビュー 』
季語:春潮(春)
「春潮」とは、春になり海の潮もあたたかく感じるようになり、潮の色がだんだんと明るい色に変わる季節のことをいいます。おだやかで心地良い春の日、5歳の息子さんが釣りデビューをした様子を詠んでいます。釣り好きの作者にとって、息子さんと一緒に釣りをする日をとても楽しみにしていたことでしょう。親子揃ってドキドキしながらも笑顔いっぱいに釣りを楽しんでいる光景が目に浮かびます。
【NO.14】
『 鯊釣りや 前夜楽しき 竿手入れ 』
季語:鯊(秋)
翌日の鯊釣りをとても楽しみにしている様子が想像できます。「前夜楽しき」という言葉に、作者の「釣りが大好き!」な気持ちがたっぷりと込められているように感じます。釣りの楽しみは当日だけではないのですね。
【NO.15】
『 民宿の 美味白魚の 卵とじ 』
季語:白魚(春)
白魚のお料理が美味しい民宿。作者はこの民宿の「卵とじ」の大ファンなのですね。白魚の卵とじへの作者の想いが込められていますね。是非食べてみたいなと思う一句です。
【NO.16】
『 隅田川 夜景背負って 鰻釣り 』
季語:鰻(夏)
鰻は日中に釣ることもできますが、基本的に夜行性のため、夜釣りがおすすめなのだそうです。隅田川で夜釣りをしている作者。「夜景を背負って」という言葉が夜釣りの様子をとても上手に表現しています。
【NO.17】
『 夏の海 テトラポットから 投釣りを 』
季語:夏の海(夏)
「テトラポット」とは、消波ブロックとも呼ばれる円錐状の4本の足からなるコンクリートブロックのことです。夏、テトラポットからの投げ釣りを楽しむ作者。青い空・美しく輝く海・そして釣り。まさに「夏!」という光景ですね。テトラポットはとても滑りやすいそうなので注意が必要ですね。
【NO.18】
『 仏前に 父好物の 白魚飯 』
季語:白魚飯(春)
「白魚飯」とは、白魚を炊き込んだご飯のことで、酒や醤油、みりん等で味を調えます。 椎茸や筍、人参等を一緒に炊き込むこともある料理です。作者のお父様が大好きだった白魚飯。お父様のためにしっかりと用意して仏前に供えたのでしょう。とても喜んでいらっしゃるお父様の笑顔がみえるようです。
【NO.19】
『 鮎解禁 待つて怠りなき 準備 』
季語:鮎(夏)
鮎の解禁日を心待ちにしていた作者。この日のために忘れ物等がないようにしっかりと準備をし、じっと我慢して待ち続けていたのでしょう。「鮎解禁」のお知らせとともにすぐに鮎釣りに行くことができそうですね。
【NO.20】
『 父と子の 竿を並べて 鯊日和 』
季語:鯊日和(秋)
「鯊日和」とは、鯊釣りに適した快晴、秋晴の日のことをいいます。清々しく心地良い空気の中で、親子で鯊釣りをしているのでしょう。「竿を並べて」一緒にじっと待つ。作者にとってとても嬉しい光景なのではないでしょうか。釣れても釣れなくても、この時間が良い思い出になりますね。とても穏やかな空気を感じる一句です。
以上、魚&釣りを題材にしたおすすめ俳句でした!
「釣り」と聞いてどのような光景を思い浮かべるでしょうか。
「魚」や「釣り」について、その奥深さや自分自身が感じたことなどを、ぜひ俳句にして詠んでみてください。