すこし堅苦しいイメージもある俳句ですが、最近は人気タレントが俳句にチャレンジするバラエティ番組があったり、大人の間では静かなブームという話も聞きます。
また、小学校の授業にも取りいれられ、宿題に出るケースも多いです。
そこで今回は、小学生向けに秋の季語を使った秋の俳句をご紹介していきたいと思います。
俳句に秋らしさを出す!秋の季語を知ろう
俳句は【五・七・五のリズムでつくる定型詩(言葉の数や並び方が決まっている詩のこと)】ですが、どこかに季節を表す言葉をひとつ入れる(2つでも3つでもよい)というルールがあります。
そして、この季節を表す言葉を「季語(きご)」と呼びます。
俳句に季節らしさを出すために使うのですが、実際に俳句を作ってみようとしたとき、季語をどのように使ったらいいのか、またどんな言葉が季語なのか、少し戸惑ってしまいますよね。
そこで、ここでは松尾芭蕉(まつおばしょう・江戸時代の有名な俳人)の
【 うつくしや 障子(しょうじ)の穴の 天の川 】
という作品を具体例として、季語を簡単に説明してみたいと思います。
この俳句の季語は「天の川」です。この季語を使って「障子紙が破れてしまっているけれど、夜になると破れた穴から天の川が見える。なんと美しいことだろう」とうたっています。
(※江戸時代は空が澄んでいたので、肉眼でも天の川を見ることができたのだそうです)
では、ちょっと試しに「天の川」にあたる部分を、別の適当な言葉「光る星」に置き換えてみましょう。すると・・・
【 うつくしや 障子の穴の 光る星 】
どうでしょうか?一見悪くはなさそうですよね。でも、障子の穴から星をみているみたいだけど、季節がいつなのかがよく判断できません。
ではあらためて、芭蕉作った正しい俳句に言葉をもどしてみます。
【 うつくしや 障子(しょうじ)の穴の 天の川 】
「天の川」が秋の季語と、なんとなくでも知っていれば「あ、これは秋の夜をよんだんだなあ」とひと目でわかり、ぐっと秋らしさを感じながら鑑賞することができますよね。
俳句では「天の川」のような季語を、春・夏・秋・冬・新年と季節ごとにわけて使います。
季語は身の回りにあるものばかりなので、おぼえなくても大丈夫ですし、自分で見つけたものを使ってもいいのです。
歳時記という季語の辞典のような本もあるので、機会があればめくってみてください。
【小学生向け】代表的な秋の季語を紹介!
では実際の秋の季語には、どのようなものがあるのでしょうか?
ここでは、代表的な秋の季語をたくさんご紹介していきます。
秋の季語【一覧】
「秋」「秋の海」「秋の山」「秋の~」「~の秋」「月」「三日月」「いわし雲」「星月夜」「プラネタリウム」「流れ星」「紅葉」「きんもくせい」「あさがお」「コスモス」「どんぐり」「まつぼっくり」「たなばた」「虫の声」「すず虫」「とんぼ」「柿」「ぶどう」「リンゴ」「梨」「栗」「とうもろこし」「スイカ」「サンマ」「きのこ」「運動会」「体育の日」「文化の日」「敬老の日」「花火」「美術展」「台風」「衣更え」「盆踊り」「ハロウィーン」
小学生向け!!有名な秋の俳句集【10選】
【NO.1】正岡子規(まさおか しき)
『 柿くえば 鐘が鳴るなり 法隆寺 』
季語:柿
意味:旅で法隆寺にやってきました。茶店で休んで柿を食べていると、法隆寺の鐘の音が鳴りはじめました。しみじみ秋の旅情を感じます。
【NO.2】正岡子規
『 うれしさや 七夕竹(たなばたたけ)の 中を行く 』
季語:七夕竹
意味:七夕のささ竹に、子どもたちが願い事を書いて、なんとうれしそうにしていることでしょう。そのなかを歩いて行くのはなかなかよいものですね。
【NO.3】前田普羅(まえだ ふら)
『 山人の くしやみやとどく 秋の雲 』
季語:秋の雲
意味:山登りをしている人のくしゃみが聞えました。山の空気はひんやりして見上げると秋の雲が浮かんでいます。
【NO.4】中村草田男(なかむら くさたお)
『 葡萄(ぶどう)食ふ 一語一語の 如くにて 』
季語:ぶどう
意味:今日はぶどうをひとつぶづつ、言葉をかみしめるように味わって食べています。
【NO.5】富安風生(やすとみ ふうせい)
『 小鳥来て 午後の紅茶の ほしきころ 』
季語:小鳥来て
意味:秋の渡り鳥でしょうか、庭先に小鳥たちがやってきたのをみていると、なんだか気持ちがなごみます。ふと気がつくと午後もずいぶん過ぎていて、紅茶が飲みたくなりました。
【NO.6】芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)
『 海なるや 秋の夕日の 黍畑(きび畑) 』
季語:秋の夕日 黍(きび)
意味:黍畑一面に秋の夕日がさして、まるで海になったようだなあ。
【NO.7】松尾芭蕉(まつお ばしょう)
『 草いろいろ おのおの花の 手柄かな 』
季語:草の花
意味:草にはさまざまな種類があり、それぞれが工夫をこらした花を咲かせる。うつくしく可憐な花を咲かせたのは、大変お手柄なことですね。
【NO.8】皆吉爽雨(みなよし そうう)
『 コスモスや 風に撓み(たわみ)て もれもなし 』
季語:コスモス
意味:ゆらゆらゆれるコスモスのしげみが、さぁっと吹いてきた風に弓なりにあおられた。みないっせいにしなって、一本も風に逆らっていませんでした。
【NO.9】山口青邨(やまぐち せいそん)
『 舟べりに 頬杖ついて 月見かな 』
季語:月見
意味:船にのっていますが、船べりにほうづえをついてお月見していますよ。
【NO.10】及川貞(おいかわ てい)
『 野路をくる バス待ちをれば 渡り鳥 』
季語:渡り鳥
意味:田舎道の向こうからやってくるバスをじっとまっていると、バスより先に渡り鳥が来て、頭上を通り過ぎていきました。
こんな俳句もある!オリジナル俳句集【10選】
【No.1】
天の川 きれいな姿は 宝石だ
季語:天の川
意味:天の川のきれいな姿はまるで宝石のようだね。
【No.2】
秋近い 田んぼの近くに いるとんぼ
季語:とんぼ
意味:田んぼの近くにとんぼが飛んでいた。もう秋が近いんだなあ。
【No.3】
秋の海 サンマがたくさん パラダイス
季語:秋の海 サンマ
意味:秋の海にはたくさんのサンマが群れをなしています。いきいき、きらきらして、パラダイスみたいだな。
【No.4】
衣更え 姿も気分も 早変わり
季語:衣更え
意味:衣更えをしたら、服装も気分も、すっかり夏から秋に早変わりしましたよ。
【No.5】
大花火 山に響いた 大きな音
季語:花火
意味:花火大会、とびきり大きな花火がドーンとあがり、まるで山にひびくような大きな音でした。
【No.6】
木の葉っぱ 色が変わって もう秋か
季語:秋
意味:木の葉っぱの色が、いつの間にか変っていた。もう秋なんだなあ。
【No.7】
台風だ 風が強いぞ 飛ばされる
季語:台風
意味:台風がきた。風が強い。飛ばされたらどうしよう。
【No.8】
ぜったいに 運動会は 負けないぞ
季語:運動会
意味:(他のことならともかく)私、運動会はぜったいに負けないぞ。
【No.9】
山の奥 家族みんなで 栗拾い
季語:栗拾い
意味:家族みんなで山に遊びにいきました。山野の奥にはいっていくと、栗が落ちていて、家族みんなで栗拾いをしました。
【No.10】
りんご好き なしも好きだし くりも好き
季語:りんご なし くり
意味:秋のくだもの、りんごもなしも栗もぜんぶ大好きです。