「ハイキング」は、歩きながら景色を楽しんだり、自然と触れ合うことが目的です。高低差があまりなく、歩きやすい場所を選ぶことが多いです。簡単にいうと「比較的短時間で気軽にできる山歩き」という感じです。
一方、「登山」は山頂まで到達することを主な目的としています。低い山やゆるやかな山を登ることもあれば、険しい山、危険な山を登ることもあります。登山用の装備が必須です。
同じような言葉にみえますが、改めて意味を確認すると目的が全く違います。
今回は、「登山&ハイキング」を題材にしたオススメ俳句を20句ご紹介します。
今日のことを俳句にすると、
山登り 調子に乗ると 無感情 pic.twitter.com/NbySK2IyCh
— いーやーばおおー (@XkgNhL6ChhAIawS) May 1, 2015
木漏れ日と
落葉を鳴らす
ハイキング (トバモリィ、心の俳句) pic.twitter.com/p6A6pOQIba— トバモリィ (@Tobermory90125) November 3, 2015
登山&ハイキングを題材にしたオススメ俳句【前半10句】
【NO.1】
『 一歩ずつ ただ歩むのみ 登山とは 』
季語:登山(夏)
「登山とは」という格言のような一句です。作者は登山の経験が豊富な登山上級者の方なのでしょう。ベテランの方の「ただ歩むのみ」という言葉は、とても重みがあります。
【NO.2】
『 強風に 軍手飛ばされ 初登山 』
季語:登山(夏)
初めての登山。きっといろいろと万全の準備をしたのではないでしょうか。でも何が起きるか分からない、そして思いもよらないことが起こるのが「自然」。そのことをとても分かりやすく表現しているように感じます。
【NO.3】
『 登山して 眼下に雲の 浮かびたり 』
季語:登山(夏)
頂上まで頑張って登った作者がみた景色はとても素晴らしいものだったことでしょう。雲の上にいる、というあり得ないようなことが今起きている。素晴らしい景色と経験は心の中に深く残ることでしょう。
【NO.4】
『 登山靴 夫婦仲良く 色違い 』
季語:登山(夏)
作者はご夫婦でとても仲良しさんなのですね。一緒に登山にチャレンジだなんてとても素敵です。そしてお揃い・色違いの登山靴。お二人で仲良く登山靴を選んでいる光景が目に浮かびます。心がほっこりする素敵な一句です。
【NO.5】
『 こけももの 赤鮮やかに 霧まとふ 』
季語:こけもも(秋)
「こけもも」とは、高山等に自生するツツジ科の植物です。秋に熟すると実が赤くなります。作者はちょうどこけももが赤くなる時期にハイキングに行ったのでしょう。霧をまとった鮮やかなこけももが広がる美しい光景が想像できます。
【NO.6】
『 ハイキング 秋風抜ける 袖の中 』
季語:秋風(秋)
「秋風」とは秋に吹く風のこと。秋のはじまりの頃の爽やかな風や冬が近い頃の冷ややかな風をいいます。作者は、どの時期にハイキングに出かけたのでしょうか。すーっと袖の中を通り抜けた風に季節を感じたのではないでしょうか。
【NO.7】
『 父と子の ハイキング道 山笑 』
季語:山笑ふ(春)
「山笑ふ」とは、草木が芽吹き、花が咲き、鳥がさえずる春の山の明るい感じのことをいいます。作者はお子様と一緒に、あたたかな春を感じながらハイキングに出かけたのでしょう。たくさんの自然を感じることができたのではないでしょうか。
【NO.8】
『 この風は 雲のためいき 登山小屋 』
季語:登山(夏)
作者は登山小屋で休憩中なのでしょう。もしかしたら風が急に強くなり、一時避難という形で小屋で様子をみている状況かもしれませんね。山の中で吹く風を「雲のためいき」と表現しています。とても素敵な言葉で、作者の感性がとても素晴らしい一句です。
【NO.9】
『 やまびこも 息切れ切れの 登山かな 』
季語:登山(夏)
山頂に近づいてきているのでしょうか。一生懸命歩き続け「息切れ切れの」状態の作者。「やまびこも」同じように息切れ切れかもしれない。とてもユーモアのある面白い一句です。
【NO.10】
『 人生も 登山と同じ こつこつと 』
季語:登山(夏)
人生と登山は同じである。作者の言葉がとても深く重いです。長く生きている、からこそ、そして登山上級者だからこそ言える言葉ではないでしょうか。「こつこつと」歩むことはとても大切なことですね。
登山&ハイキングを題材にしたオススメ俳句【後半10句】
【NO.11】
『 ひたむきに のぼる背を見て 登山かな 』
季語:登山(夏)
作者の道しるべとなってくれる方が前を歩いてくれているのでしょう。ひたむきに、ただ前を向いてひたすら歩み続ける後ろ姿はとてもかっこいい姿なのではないでしょうか。とても素敵な一句です。
【NO.12】
『 山ガール 笑いはじける 登山かな 』
季語:登山(夏)
「山ガール」とは、今までの登山用品とは異なるおしゃれなアウトドア用品を身につけて山に登る若い女性のことをいいます。一時期、とても注目されましたが今もたくさんいらっしゃるのかな。登山を楽しむ気持ちはきっと皆さん一緒ですよね。あらゆる世代が楽しむことができる「登山」はすごいですね。
【NO.13】
『 黙々と 父のあと行く 登山かな 』
季語:登山(夏)
お父様と一緒に登山にきた作者。登山上級者のお父様は寡黙な方なのかもしれませんね。「黙々と」という言葉から、お父様と作者の親子ならではの心の会話のようなものを感じます。親子一緒に登山、良いですね。
【NO.14】
『 曼珠沙華 一直線に 咲き出づる 』
季語:曼珠沙華(秋)
「曼珠沙華」 は「マンジュシャゲ」と読みます。彼岸の頃に見ごろを迎えることから「彼岸花」ともいわれます。花茎を伸ばして赤色に咲きます。作者はハイキングの途中で真っすぐに伸びる曼珠沙華を見つけたのでしょう。「一直線に」伸びて咲いている姿はとても美しい姿だったのではないでしょうか。
【NO.15】
『 ハイキング 一緒に蝶も 食事かな 』
季語:蝶(春)
あたたかな春の陽気は絶好のハイキング日和ですね。自然豊かな場所での休憩タイム。蝶が作者の周りを楽しそうに飛んでいる光景が目に浮かびます。とても穏やかな時間を感じる一句です。
【NO.16】
『 植物の 図鑑片手に 行く登山 』
季語:登山(夏)
作者は植物をいろいろ調べることが好きなのですね。「図鑑片手に」行く登山はきっとさまざまな発見があり、あっという間に時間が過ぎてしまうのではないでしょうか。自分が夢中になれることがあることはとても良いことですよね。
【NO.17】
『 あの雲を 触りに行こう 登山靴 』
季語:登山(夏)
頂上を目指して、大きな空に広がる雲に手が届きそうな場所を目指して歩く。登山の醍醐味ですよね。「触りに行こう」という言葉がとても良いアクセントになっていると思います。雲に触ることができたでしょうか。
【NO.18】
『 ハイキング 嫁ぎ行く娘(こ)と 山笑ふ 』
季語:山笑ふ(春)
春のあたたかな陽気、心地良い空気を感じながらのハイキングはとても気分が良いことでしょう。結婚間近の娘さんとの親子2人だけでのハイキング。とても素敵な時間ですね。たくさんお話することができたのではないでしょうか。きっと最高の思い出になったことでしょう。
【NO.19】
『 ひらひらと 紅葉の葉が 落ちてゆく 』
季語:紅葉(秋)
秋の時期のハイキングは、自然の色が変わる時期でもあり、さまざまな変化を楽しめるのが良いですね。「紅葉の葉が」ひらひらと落ちていく風景。自然の動きをゆっくりと観賞することができる最高の時間ですね。
【NO.20】
『 空に手の 届く近さの 登山かな 』
季語:登山(夏)
高い山を一生懸命登る。頂上に着いた時、あんなに高く絶対に手が届かない場所にあるはずの空が今にも触れそうな場所にある。それだけ高い場所にいることがとてもよく伝わります。頂上から見える景色は格別だったことでしょう。
以上、登山・ハイキングを題材にしたオススメ俳句でした!
登山やハイキングは、目的は異なりますが、どちらも老若男女楽しむことができる素敵なアウトドアアクティビティです。
もちろん、どちらも「自然」と向き合いながら歩くので、やはりきちんとした準備が大切です。
自然の中にいると、日常では感じられない想いがふっとわくこともあるかもしれません。
そんなときは是非17文字に想いをのせてみてください。