俳句は五七五の十七音に季節を表す季語を詠み込む文学で、江戸時代に始まりました。
現在では多くの人に親しまれていて、修学旅行などの行事で記念や宿題として俳句を詠む学生も多いでしょう。
今回は、「熊本県」の有名観光地で詠まれた俳句を20句紹介します。
石畳藩主も越えしか秋の風 (阿蘇二重峠 石畳にて)#jhaiku #俳句 #啓峰句 pic.twitter.com/QW8WX9GYQL
— 熊本清水 新地書道教室 (@keihouabeakira) November 26, 2015
熊本県・修学旅行の思い出俳句ネタ例集【前半10句】
【NO.1】
『 秋晴れや 阿蘇の煙の 真直ぐなる 』
季語:秋晴れ(秋)
秋晴れに阿蘇山の煙が真っ直ぐ立ち上っているという、風のない穏やかな天候を詠んだ句です。阿蘇山は現在でも活動している火山のため、噴煙が見える山であることで有名になっています。
【NO.2】
『 大阿蘇や 立派なホテルの 草泊まり 』
季語:草泊まり(秋)
「草泊まり」とは秋の草刈りのシーズンに仮の小屋を作って泊まりながら作業をする伝統的な行事です。ここでは草刈りのシーズンに阿蘇のホテルに泊まることを草泊まりの宿泊に例えて詠んでいます。
【NO.3】
『 阿蘇五岳 迷路の如き 高菜畑 』
季語:高菜(夏)
阿蘇山の麓では高菜栽培が盛んです。広大な敷地のあちこちにある高菜畑を見て、まるで迷路のようだと表現しています。
【NO.4】
『 ゴジラでも 今にも出そう 阿蘇の山 』
季語:無季
阿蘇山は独立峰ではなく連山と呼ばれる複数の山頂を持つ山です。その阿蘇山に囲まれたカルデラという噴火の後にできる大きな凹みの中に街があるため、今にも山の向こうからゴジラが出てきそうだと面白がっています。
【NO.5】
『 雨上がり トロッコ光る 夏の阿蘇 』
季語:夏(夏)
南阿蘇鉄道では観光列車としてトロッコ列車を運行しています。真夏の雨上がりにやってきた列車が日の光を反射している様子を詠んだ句です。
【NO.6】
『 天草の 海原高し 五月鯉 』
季語:五月鯉(夏)
天草諸島の海と鯉のぼりの様子を詠んだ句です。美しい海や島を渡る橋と、キリスト教の教会で有名な地域でもあります。
【NO.7】
『 天草の フワフワ小鰭(こはだ) 味も良し 』
季語:小鰭(秋)
天草諸島で捕れた魚料理について言及した一句です。天草諸島は漁業も盛んで、おいしい魚料理が食べられると評判です。
【NO.8】
『 天草の なつぞら青し 藍の海 』
季語:なつぞら(夏)
天草諸島は、江戸時代に島原の乱に連なる一揆が起きたことで有名です。そのような歴史を感じさせないほど青い空と青い海が広がる平和な光景を詠んでいます。
【NO.9】
『 絵にしたい 四郎ヶ浜の 夏の雲 』
季語:夏の雲(夏)
「四郎ヶ浜」とは、天草四郎が島原の乱のときに上陸したという伝説を元に名付けられた海岸です。現在は白砂が500m近く続くビーチになっていて、海を楽しむ観光客でにぎわっています。
【NO.10】
『 秋晴や 修学旅行の 草千里 』
季語:秋晴(秋)
ここで詠まれている「草千里」とは見渡す限りの草原ではなく、熊本県にある草千里ヶ浜です。噴煙を上げる阿蘇岳を眺めつつ、見渡す限りの草原に馬が放牧されているという風景を思い出して感動しています。
熊本県・修学旅行の思い出俳句ネタ例集【後半10句】
【NO.11】
『 熊本は 楓(ふう)の木の街 風光る 』
季語:風光る(春)
熊本の市街地に植えられている街路樹は「紅葉葉楓(もみじばふう)」という種類が多いため、この句では「ふう」と読ませています。同じ漢字のカエデよりも一回り大きく、美しい紅葉を見せる樹です。
【NO.12】
『 水前寺 加勢以多(かせいた)香る 小春かな 』
季語:小春(冬)
水前寺には細川家によって庭園として整えられた成趣園があります。また、「加勢以多」はマルメロやカリンを使った江戸時代から細川家で好まれていたお菓子で、現在まで続いている熊本の歴史を感じる一句です。
【NO.13】
『 復興の 天守を仰ぐ 冬うらら 』
季語:冬うらら(冬)
熊本城は2016年に起きた熊本地震によって被害を受けました。天守閣は2021年に修復が完了しているので、その年の冬頃に詠まれた一句になります。
【NO.14】
『 武者返し 見上げる先に 鰯雲 』
季語:鰯雲(秋)
熊本城の石垣は簡単に登れないように反り上がっており、「武者返し」と呼ばれています。そんな石垣の反りに沿って空を見上げると鰯雲が見えるという秋の風景を詠んだ句です。
【NO.15】
『 田原坂(たばるざか) 戦のあとや 冬隣 』
季語:冬隣(秋)
「田原坂」は明治時代に起きた西南戦争で激戦区となったことで知られています。現在は資料館や公園などがあるのどかな場所ですが、それだけに冬の寒さが迫ってくる季節もあいまって無常をかき立てられる句です。
【NO.16】
『 石垣の くずれ静かに 桜咲く 』
季語:桜(春)
熊本地震では熊本城の石垣も大きな被害を受けました。修復には時間がかかると言われていますが、そんな中でも桜は静かに、いつも通りに咲くのだという感慨を詠んでいます。
【NO.17】
『 沖を見る 天草四郎 春の凪 』
季語:春の風(春)
天草四郎は「四郎ヶ浜」という海岸の近くから上陸して島原の乱に加わったと言われています。そんな天草四郎が沖を見て故郷に思いを馳せているかのような春の凪いだ海を詠んだ句です。
【NO.18】
『 肥後寒し 杉戸に残る 九曜紋 』
季語:寒し(冬)
「九曜紋」とは細川家の家紋です。「杉戸」とは杉の一枚板を板戸に加工したものなので、細川家由来の場所で詠まれているのがわかります。
【NO.19】
『 楠若葉(くすわかば) 巨大山門 本妙寺 』
季語:楠若葉(夏)
「本妙寺」は江戸時代初期に熊本を治めていた加藤清正ゆかりのお寺です。クスノキの若葉が茂る中で、特徴的な大きな山門が参拝客を出迎えます。
【NO.20】
『 球磨川の 船旅終へて 秋惜しむ 』
季語:秋惜しむ(秋)
球磨川は日本三大急流の1つとも言われ、木船や屋形船、遊覧船など多くの川遊びの船が出ていることで有名です。落葉や気温の寒さから秋が終わっていく様子を惜しんでいます。
以上、熊本県の観光地で詠まれた俳句20選でした!
今回は、熊本県の有名観光地で詠まれた俳句を20句紹介しました。
国立公園にもなっている阿蘇山や、天草四郎ゆかりの天草、熊本の象徴である熊本城など、大自然の中の風景と歴史的な建造物が詠まれることが多いです。
熊本を訪れた際には、ぜひ一句詠んでみてください。